法科大学院夜間コースの一日
法科大学院夜間コースの一日
法曹界を目指そうとする人にとって、法科大学院の入学は有力な選択肢といえます。しかし既に社会人として働いている人の場合、朝から大学院に通学することは難しいでしょう。
その場合、夜間コースがある法科大学院に通うという方法があります。夜間のみの通学であれば、昼間仕事をしている人でも司法試験を目指して勉強を続けやすいです。
そこで今回は、どこの法科大学院であれば夜間通学できるのか、一日のスケジュールはどうなっているのか、などについて詳しく解説しましょう。
法科大学院の夜間コース
法科大学院に通学する人は、大学を卒業後すぐに進学する人が多いです。その一方、大学を卒業後に企業などに就職し、その後改めて法科大学院に入学し、法曹を目指すという人も少なからずいます。 働きながら法科大学院に通う場合、夜間コースは大変便利です。大学によって違いはあるものの、一般的には昼間コースだと朝の9時前から一限目がスタートします。しかし夜間コースの場合、平日の夜から一限目がスタートするので、昼間働いている人でも通学しやすいです。
また、夜間コースの場合、土曜日の朝~夕方にかけて授業が行われています。平日は夜に通学し、仕事が休みである土曜日は朝から通うというのが、夜間コースでの通学方法です。
ただ、昼間の仕事の内容によっては、残業で夜まで仕事が続く日もあるでしょう。そうなると、思うように大学院に通えないという日も出てくるかもしれません。
法科大学院は通常、3年が満期となっていますが、大学院の中には長期履修制度を設けて、3年以上かけて卒業できる場合もあります。夜間であっても毎日通学できるか不安な場合は、長期履修も視野に入れて通学先を選ぶ必要があるでしょう。
夜間コースを設置している大学院
では、実際に法科大学院の夜間コースを設置している大学をご紹介します(2020年5月現在)。数はそれほど多くないため、通学を検討される場合、最寄りの大学院はどこになるのかを確認しておきましょう(なお、2020年度中に行われる法科大学院の説明会については、新型コロナウィルスの影響により中止や延期が決定されている場合がありますので、随時ホームページ等でご確認ください)。
●筑波大学法科大学院・・・所在地:〒112-0012東京都文京区大塚3-29-1(筑波大学は茨城県つくば市にありますが、法科大学院については東京都文京区が通学先です)
●甲南大学法科大学院・・・所在地:〒658-8501兵庫県神戸市東灘区岡本8-9-1(秋入学も可。西宮キャンパスでも受講可)
●成蹊大学法科大学院・・・所在地:〒180-8633 東京都武蔵野市吉祥寺北町3-3-1
●福岡大学法科大学院・・・所在地:〒814-0180 福岡市城南区七隈八丁目19-1
夜間コースの一日のスケジュール
法科大学院の夜間コースに入学した場合の一日のスケジュールについて、筑波大学法科大学院の例を取り上げてご紹介しましょう。
筑波大学法科大学院では、授業は月~金曜日と土曜日に行われています。授業時間は、月~金曜日は午後6時20分から午後9時まで、土曜日は午前中が午前10時20分から午後1時まで、午後は午後1時45分から午後5時50分までです。 時間割は、月~金曜日が一日2時限、土曜日が午前と午後を合わせて5時限で、1時限あたりの授業時間は75分となっています。
ただ、これらの時間割はあくまで授業が行われている時間帯です。どの授業を受けるかによって通うべき時間は変わります。授業の取り方によって、日にちごとに通学する時間は変わってくるでしょう。なお、期末試験の受験資格またはレポート提出資格を得るには、1つの授業につき3分の2以上の出席が必要です。それ以上欠席した場合は、単位は取得できません。
夜間コースが減っている理由
法科大学院の夜間コースを開講している大学は、年々減少しています。その大きな要因の一つとして、法科大学院に進学せず、予備校に通って司法試験対策を進める人が増えている、という点を挙げられるでしょう。 法曹になるには、司法試験に合格し、司法修習を受ける必要があります。そのためのルートは大きく分けて2つあり、1つは法科大学院の修了、もう1つは司法試験予備試験に合格することです。
司法試験予備試験に合格すれば、法科大学院を修了していなくとも法曹を目指すことができます。法科大学院は2年以上の通学が必要な上、学費も高額です。その時間的・経済的負担の大きさゆえに、司法試験予備試験合格のルートを選ぶ人が近年増えています。 法務省のデータによると、平成23年の試験では、司法試験予備試験の受験者数は6,477人でそのうち合格者は116人、合格率は1.79%でした。一方、平成29年の試験では、同試験の受験者数は1万743人となり、合格者数は444人、合格率は4.13%となっています。 平成23年から平成29年までの6年間で、司法試験予備試験の受験者数は約4,000人も増加しているわけです。しかも受験者数が増えたからといって合格率は下がったわけではなく、むしろ2ポイント以上も上昇しています。
法科大学院の入学に伴うコストの大きさ、さらに司法試験予備試験の合格率の上昇傾向を考えると、司法試験予備試験合格ルートを選ぶことには一定の合理性があるといえるでしょう。こうした状況の中、法科大学院の夜間コースに入学する人が減り、大学側も閉校を決めるケースが増えているのです。
まとめ
法科大学院の夜間コースに通うことは、働きながら法曹を目指す人におすすめの方法といえます。授業開始時間が18時以降ですので、残業をしなければ十分に通うことができるでしょう。ただ、全国的に夜間コースを開講している法科大学院は減りつつあるため、地域によっては通うのが難しい場合もあります。
法科大学院の夜間コースが減少している理由の一つが、司法試験予備試験ルートで法曹を目指している人の増加です。法科大学院の通学は時間的、経済的な負担が大きいため、それを避け、司法試験予備試験の合格を目指す人が増えています。
<参考>
・筑波大学法科大学院
・甲南大学法科大学院
・成蹊大学法科大学院
・福岡大学法科大学院
・法務省 司法試験予備試験の結果について
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