企業が採用している弁護士の特徴

企業が採用している弁護士の特徴

2011/11/30

以前の記事にて、法律事務所で勤務されている弁護士の方が、企業内へ転職される傾向が強くなってきている事をご報告させて頂きました。
今回は企業がどのような弁護士を求めているのかという求人(企業)サイドのニーズについてレポートさせて頂きます。

 

法律事務所も事務所毎に特徴があり、大きく分けると企業に特化して業務を行う事務所と、個人や中小企業を相手に業務を行う事務所があります。
ほんの数年前までは、弁護士が企業で働くという事自体がめずらしく、企業も弁護士を採用することに慣れていなかったことから、法律事務所でどのような経験を積んでいるのかという事が、企業での採用選考において、あまり細かくチェックされていませんでした。
しかし、昨今では数多くの経験弁護士が企業への転職を希望している事で、企業サイドも「単に弁護士であれば」というスタンスが無くなり、「同じ弁護士でもどのような経験を積んできているのか」という点を見極める傾向が高まってきています。

 

企業が自社の社員として弁護士を採用する場合、やはり法律事務所で企業法務の経験をどれだけ積んでいるのかという点を選考ポイントに挙げる企業が多くなってきています。

・自社と同じ業界の企業をクライアントにもっていたのかどうか

・自社と同規模の企業をクライアントにもっていたのかどうか

・自社が取引するような法律事務所に在籍しているのかどうか

・企業法務の中でもどのような分野に強いのか

・単なる専門家としてではなく、社員として自社の組織風土に適合する人材なのかどうか

以上のような点について、絞込みを行っていきます。

 

このように、ある意味贅沢な選別を行えるようになってきた背景に存在するのは、やはり応募者の増加です。
では、なぜ企業への応募者がこれほど増加してきているのでしょうか。

 

そこには大きく分けると3つの理由があります。

①積極的理由

・法律事務所では、企業から相談があったときに「なんでもっと早く言ってくれなかったのか、自分が中にいればもっと事前に防げたのに」と思う事がある。

・法律事務所では、企業に対していくつかの方向性を提示するが、どの方針で行くかの決定権は主体者である企業が握っている。自分も主体者としてジャッジをする側に行きたい。

・法律事務所で案件に関わる範囲は、企業のビジネスや事業の一部分だけ。企業の法務部であれば、そのビジネスや事業がどのように展開されていったのかというストーリーを肌で感じることができる。そのような仕事にやりがいを感じる。

②消極的理由:

・事務所間・弁護士間での競争が激化し、事務所の収支悪化とパートナートラックの難化傾向から、長期的なキャリア形成が構築しにくい。

・企業の法務部が力をつけてきていることと、国内外の法律事務所を使い慣れてきていることから、企業と法律事務所との間のパワーバランスにおいて、法律事務所が苦しい立場にある。

・小さな事務所だけではなく、大きな事務所であっても、最終的には自分で営業してどれだけ自分のクライアントを獲得できるかということが法律事務所業界で生き抜くためには必須。自分にはそういう仕事が合わない。

③現実的理由:

・外資の事務所が中途採用を積極的に行っていないことと(所属人数を減らしている事務所もある)、日系の企業法務系法律事務所はコネクション以外であまり弁護士の中途採用を行わない傾向がある。仮に募集があったとしても、人気で選考倍率が高く、なかなか転職をするのが難しい。企業法務に興味があるのであれば、一般民事の事務所に転職するのではなく、もはや企業に入ってしまった方が良いかもしれない。

・法律事務所での働き方は、クライアントに合わせた仕事をすることになり、期限を守る為に深夜や休日に仕事をする機会も多い。結婚や出産、子育てといったワークライフバランスを保つ為には、企業の中の方が環境として適しているイメージがある。

・確かに企業では弁護士といっても特別な待遇が用意されているわけではないが、年金や退職金、手当などといった福利厚生等を考えると、見た目の年収差ほど生涯の可処分所得は変わらない。むしろ、今のような状況であれば、企業で勤めた方が可処分所得が増加する場合もある。

 

アメリカでは当たり前のように企業の法務部内に弁護士が存在しますが、日本でもそのような傾向は強まるばかりです。
事実、新司法試験が始まって以降、企業内弁護士の数は急激に増加しており、この10年で7倍以上に膨れ上がっています。
とはいえ、まだまだ求人数が追い付いておらず、採用する側に有利な「買い手市場」が形成されています。

 

当社も、「初めて弁護士を採用したい」という企業様から多数のご依頼を頂いていますが、「うちは年収が普通の企業水準ですが、果たして若くして1000万円とか1500万円等という高い給料をもらっている弁護士さんが応募してくれますか?」というご質問を頂くケースがあります。
しかし、実際に求人依頼を頂くと、大手法律事務所や外資系法律事務所をはじめとした多数の弁護士から応募が募れる現状に、非常に驚かれています。
特に、配偶者が家計の軸になっているような弁護士の場合、年収が半分以下になっても気にしないという方も多く、人気企業では強気の選考を行うことができています。

 

いわゆる、大手のグローバルメーカーや総合商社では、応募者が一定程度集まることから、ある程度名の通った企業法務系の事務所(渉外ファーム等)でジェネラルコーポレートを中心に経験を積んでいる方のみを選考するという傾向が強まっており、弁護士であればだれでもチャレンジできるというマーケットではなくなって来ました。
しかし、紛争系の業務が多い企業や、あまり専門家すぎるよりも現場でフットワーク軽く動いてほしいというニーズがあるような業界では、一般民事系の事務所経験者もターゲットに充てる事があり、そういった案件では、経験してきた仕事内容以上に人柄や仕事へのスタンスを強く問われることになります。
また、金融機関では法務部門以外のセクションでも商品組成や投資銀行部門などでファイナンス経験のある弁護士を採用される傾向があります。

 

いずれにせよ、どの求人も高倍率であることは間違いありませんので、企業への転職を希望される弁護士の方は、企業研究や経験の棚卸し等といった準備をしっかりした上で面接に挑む必要があると考えられます。

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(文/キャリアアドバイザー)

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