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【コラム】ブラック企業と企業法務の関係

2014年04月23日

ブラック企業と評されることが多い居酒屋。いつからであろうか、ネットなどを中心に居酒屋の労働環境が問題にされることが多々ある。そういえば、大手居酒屋チェーン創業者の渡邉美樹さんがテレビに頻繁に出ていた頃には、居酒屋にはブラックのレッテルは張られていなかったように思う。以前は、安くて飲むことができる庶民の味方のように語られていた居酒屋だが、今やブラック企業の代表格のように見られている。「居酒屋」のブラック企業が表立って批判されだしたのは、2008年に某大手居酒屋グループ入社して2か月後に自殺した女性社員(当時26歳)の事件だったように感じる。この問題では女性の遺族が、横須賀労働基準監督署に過重労働による労災申請をするも退けられた。

労災相談は法律事務所で

ところが、神奈川労働者災害補償保険審査官による再審が行われ、労基署の決定を取り消し、過労による労働災害であることが認定された。過労自殺した女性の遺族は、昨年、勤めていた居酒屋に対して約1億5千万円の損害賠償請求を東京地方裁判所に起こした。2月17日に開かれた一回口頭弁論で、遺族側(原告)は「居酒屋」の過酷な労働環境を指摘。自殺に至るまでの真相を裁判で明らかにしたい旨を述べた。居酒屋の裾野は広い。個人経営の居酒屋は数がしれない。問題になるのは決まって大手の居酒屋だ。

ブラック企業の労働組合は?

居酒屋にはバイトが多いが、正社員の従業員については低賃金で労働環境が劣悪と言われることがしばしば。民間の有識者で企画されているブラック企業大賞に2012、13年連続で居酒屋がノミネートされた。大手居酒屋チェーンの中には労働組合が存在しないところもある。憲法第28条では、団結権、団体交渉権、争議権が行使できる労働組合の設立が認められている。うがった見方をすれば経営サイドに従順な社員を集めたいがために、労働組合の設立を見送ってきたのではとも思える。

弁護士事務所がネットの誹謗中傷を対処

ネットでは、居酒屋を格好のネタとして取り上げることに躍起になっている輩が多くいる。しかし、「居酒屋のブラック企業」を批判する人達も少なくない。その根拠は居酒屋的企業が他にも存在する、というもの。厚労省が初めて行ったブラック企業調査によると、調査対象の約8割の企業がブラックに該当する結果となった。サービス残業や時間外労働などが見つかり、労働基準法違反を指摘された。今回の調査は、若者の離職率の高い事業所に的を絞って行われたため、労基法違反が目立つ結果になったとも言える。ただ、長時間労働などはどの企業にもあり、ブラック企業の線引きは難しい。

労働基準法は形骸化し、事実上ザル法として機能している面がある。そもそも時間外労働が許される条件は、災害等の特別な場合を除いて、労使が協定を結ぶことが必要になる。いわゆる36協定(労働基準法36条)だ。多くの企業で違法行為がまかり通っている事態を、厚労省が黙認してきたとの見方がある。解雇規制があるため、多少の労基法違反にも盲目的な姿勢で臨む風潮が、経営者・役所にもあるのかもしれない。居酒屋の正社員の中には、ここで得られたものは多いと語る従業員もいるが、自殺者まで出ている事実は看過できない。

飲食業、介護業界の離職率は異常に高い。「いやなら辞めろ!」と高を括ると、今以上の慢性的な人手不足になり、誰も寄り付かない業界になるだろう。ブラック企業問題が、労働環境の改善に繋がるのか注視していきたい。

(記事提供/株式会社エスタイル)

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