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【コラム】企業法務に立ちはだかる社員のプライバシー!

2014年12月24日

【コラム】企業法務に立ちはだかる社員のプライバシー!

プライバシーの干渉はどこまでOKか?

若者ほどプライバシーを重視する傾向があると言われている。しかし現実は決してそんなことはない。中高年であろうと、高齢者であっても他者の干渉を嫌い、個を尊重する傾向は様々な場面でみられる。会社内でも例外ではないだろう。プライバシーの侵害が訴訟に発展し、企業法務を根底から覆す事態も考えられる。そもそもプライバシーといってもその捉え方には幅がある。どこまでをプライバシーの領域と判断するか、難しいケースが存在する。職務中の行動を把握することは、まさにその典型と言える。外回りする営業マンの所在確認は、私的領域の干渉にあたるのか、議論が分かれる問題である。

位置情報アプリで企業の追跡が始まる!?

スマートフォンの位置情報アプリが登場して、社員の行動を逐一監視することができるようになった。そんな中、監視アプリがプライバシーの侵害となるか、という新たな問題が浮上している。監視アプリを使ったからといって、直ちに違法行為となる訳ではない。いくつかの条件をクリアすれば、合法的に社員の行動を把握することは可能である。まずスマホは会社からの貸与にして、社員の私物であるスマホに位置情報アプリをインストールすることは避けるべき。行動確認のためのスマホを持たせる場合でも、位置情報アプリの存在、目的をしっかり伝え、社員の同意を得ることが重要だ。

徹底した監視態勢が企業法務にも影響?

アフター5の行動を干渉されないためにも、使用ルールの明確化が何よりも大切になる。秘密裏に監視アプリを使うと、トラブルとなり訴訟に発展するケースもあり得る。企業の社員に対するプライバシー侵害は、民法上の不法行為、時には債務不履行として争われてきた。思想、信条の調査が行われるととても厄介だ。関西電力事件は、政治思想が企業秩序に与える裁判として注目された。原告らが求める組合路線に危機感を抱いた会社が、原告社員のロッカーを撮影し、電話記録を調べるなど、徹底した監視態勢を敷いた。また、社内での孤立を画策するといった有無を言わせぬ糾弾施策もとった。

会社の措置をめぐり原告らは、不法行為に基づく損害賠償などを求めて提訴。最高裁(平成7年)は、「原告らが企業秩序を混乱させるおそれは認められないにもかかわらず、監視する態勢をとった上、職場で(原告らを)孤立させるなどした」として、プライバシー侵害及び人格的利益の侵害があり、不法行為を構成するものと言わざるを得ないと評した。京都セクハラ事件(平成9年)では、女子更衣室での盗撮が行われたが、その対策を怠り、再び盗撮が繰り返されたとして、債務不履行による損害賠償を命じている。プライバシー侵害による不法行為ではなく、プライバシー保護の怠慢について債務不履行責任を問うたのがポイントになっている。

第三者からHIV感染が密告され、派遣会社を解雇されたHIV感染者事件、女装姿での就労を禁じられた男性社員が訴えた性同一性障害者事件など、私的問題と労働契約が争われた訴訟は幾度となく繰り返されている。私的領域であるプライバシーと、企業の社員に対する干渉をどこまで認めるかは、議論の尽きない問題と言えそうだ。

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(記事提供/株式会社エスタイル)


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