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多様化する弁護士のキャリアパス

2015年12月07日

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弁護士の就職難、インハウスローヤーの増加など、司法試験合格者を取り巻く環境は変化し、そのキャリアプランも多様化しはじめています。長期的なキャリアパスを考えるうえで転職という選択肢も一般的になり、弊社にご相談にお越しいただく司法試験合格者の方の中には、情報収集に苦戦し、どの道に進み、どのようなキャリアプランを描くべきか迷われている方も多くいらっしゃるのが現状です。
そこで今回は、司法試験合格後の「弁護士のキャリアパス」を今一度整理し、長期的な目線で転職も視野に入れられる方の為に、ポイントをまとめました。今後のキャリアを考える際のご参考になれば幸いです。

司法試験合格者の就職先の傾向

司法試験合格者が司法修習を終えた後、基本的には大きく4つの進路があります。「法律事務所」、「一般企業(インハウスローヤー)」、「検事」、「裁判官」です。
これまでは、司法修習修了後、法律事務所に入所する選択肢が最も一般的でした。現在も多数派ではありますが、最近では修習修了後に事業会社の法務部門に就職しインハウスローヤーとして最初のキャリアをスタートさせる方も増えてきています。検事、裁判官は公務員にあたるため、今回は法律事務所と企業でのキャリアに注目し、それぞれの特徴について述べています。

法律事務所のキャリア

弁護士事務所に就職する、いわゆる「イソ弁」からスタートした場合、どのようなキャリアが待っているのでしょうか。
法律事務所の弁護士に求められるのは、法律の専門家としてクライアントの役に立つアドバイザーの役割です。法律事務所はその事務所が主に担当している案件の種類によって、3つのタイプに大別できます。

1.企業法務系法律事務所
主に大手企業をクライアントとし、ジェネラルコーポレートに加え、専門性の高い業務(プロジェクトファイナンス、M&A等)を扱います。複雑な契約書やプロジェクトに関わることも多いため、年数を重ねるほど専門特化する傾向があります。また、業務で英語を使用する頻度は高い傾向があります。

2.総合系法律事務所
企業、個人をクライアントとします。もっとも業務の領域が広く、幅広い法令を扱うことができ、訴訟も多く経験することができます。企業法務については主に中小企業の各種法律相談を受けることが多く、いわば「社外の一人法務」としての役割を担うことになります。年数を重ねるほど、幅広い業務をこなせるスキルが身に付きます。また、多くはないものの、英語を使う可能性があります。

3.一般民事系法律事務所
個人をクライアントとし、一般民事の案件を主に扱います。訴訟を多く経験できるでしょう。専門性よりも事実認定が勝負になる領域で、専門性は企業法務系事務所や総合事務所よりも低くなる傾向があるため、得意分野を形成し深める自助努力が必要になります。年数を重ねるほど、取り扱える業務範囲が広がる傾向にあります。また、英語を使う頻度は低い傾向があります。

ちなみに、各事務所により違いはありますが、一般的には総合的な年収はインハウスローヤーとして働く場合と比較して水準は高く、労働時間も長くなる(ハードワークになる)傾向があります。

インハウスローヤーのキャリア

インハウスローヤー(企業内弁護士)を選択する場合はどのようなキャリアが待っているのでしょうか。インハウスローヤーは、法律事務所に勤務する弁護士と異なり、個人事業主ではなく企業内の法務部門の一員という位置づけになります。そのため、法律の専門家というだけでなく、組織の一員として仕事をする能力が求められます。

クライアントやカウンターパートに当たるのは自社の経営陣、外部の顧問法律事務所の弁護士等です。法務部門の業務の幅は広く、契約法務、商事法務、戦略法務、コンプライアンス、訴訟法務、知財法務等多岐にわたります。企業や法務部門の規模等により、一人が行う業務の専門性の高さや幅広さは異なりますが、年次が上がりスキルが向上するにつれ、任せられる範囲も広がる傾向があります。
外資系企業、グローバル展開している日系企業では英語の使用頻度は高い傾向があり、会話力も求められます。ただし、海外に出張する機会や駐在するケースはあまり多くはありません。

ちなみに、インハウスローヤーとして企業に勤める場合、各企業により異なりますが、比較的福利厚生が充実していて、法律事務所勤務の場合と比較して労働時間は短い場合が多いです。年収については青天井というわけにはいかず、法律事務所と比較すると水準は高くありません。
また弁護士会費は企業側が負担をするのが一般的で、弁護士を採用している企業の8割以上が弁護士会費を会社負担としています。

長期的なキャリアプランと転職のポイント

これまで、法律事務所に勤務した場合とインハウスローヤーとして企業に勤めた場合のキャリアの特徴について述べてきました。それぞれに特性があり、専門性や業務の幅広さなど築けるキャリア、経験できる内容は異なります。
転職という選択肢を選ばない場合、法律事務所であればアソシエイト弁護士として数年間の経験を積んだ後、パートナー弁護士として自ら顧客を取り、業務を行うようになるのが一般的です。企業であれば、法務部門内で経験を積み、将来的には社内の法務部長や執行役員のポジションに就くという道があります。

では、それ以外の選択肢を取る場合、どんな道があるのでしょうか?転職、独立などの選択肢を考える場合のポイントを下記に述べています。

A.独立を考える
独立を視野に入れる場合、個人受任のできる法律事務所で経験を積んでおく必要があるでしょう。法律事務所の中でも独立するための経験を積むために最も適しているといえるのは、スキルを幅広く積むことのできる総合系法律事務所です。
事業会社では個人受任はできないため、独立することは難しいといえます。

B.法律事務所から法律事務所への転職
経験年数とそれに応じた実務経験を問われます。

<企業法務系事務所、もしくは総合系事務所で経験していた場合>
5年未満の経験があるアソシエイト弁護士は、強みをお持ちの分野により引き合いが変わってきます。7年以上の経験のあるアソシエイト弁護士の場合は、パートナー候補として事務所に売り上げをどのくらいもたらすことができるか、を問われる傾向があります。

<一般民事系事務所で経験していた場合>
アソシエイト弁護士としての転職が基本であり、パートナーとしての入所は少ないです。また、一般的には、一般民事系の法律事務所から渉外事務所や総合事務所への転職は難しくなる傾向があるので、経験が重視される年齢になる前に転職を考える必要があります。

C.法律事務所から事業会社への転職
上述しているような3つのうちどのタイプの法律事務所で弁護士業務を行っていたかにもよりますが、基本的に法律事務所から事業会社への転職は30代前半までに(できれば30歳までに)することをお勧めします。

<企業法務系もしくは総合系法律事務所で経験していた場合>
アソシエイトとしての経験を積み、経験年数3~5年程度で転職をするとよいでしょう。
企業法務の案件で英語を使用していた場合には、語学もアピールするとより良いです。業務で英語を使用しない場合には、TOEIC700点以上を目指し努力をする必要があります。

<一般民事系法律事務所で経験していた場合>
経験年数3年程度、できれば30歳までに転職することをお勧めします。企業法務案件を取り扱った経験を求める求人が多いため、民事事件の経験がメインの場合は英語力等でアピールできるポイントを増やしておくとより良いでしょう。TOEIC700点以上を目指し、努力する必要があります。

D.事業会社から事業会社への転職
事業会社間での転職の場合は、インハウスローヤーの数がまだ少ないため、比較的多様な選択肢を取りやすい状況です。ただ、同業種、同程度の規模の企業での経験が有利にはたらく傾向があります。英語力も重要なポイントになるため、TOEICの点数のみでなく、英文契約書に触れる機会をもっておくとより良いでしょう。

E.事業会社から法律事務所への転職
企業内から法律事務所への転職は難しい傾向にあります。インハウスで国際法務やM&Aなど専門性の高い経験があると、アソシエイトとして採用されるケースがありますが、その場合、ご年齢が若いことがポイントになります。インハウスでの経験年数が5年以上になると、法律事務所への転職は難しくなる傾向があります。

弁護士のキャリアパス まとめ

ここまで、法律事務所で働く弁護士のキャリア、事業会社でインハウスローヤーとして働く弁護士のキャリアとその長期的なキャリアプランについて解説してきましたが、参考になりましたでしょうか。やりがいや求められる役割、働き方などそれぞれ異なりますが、この情報を参考に、皆様が自分に合った道を選択され、活き活き活躍いただけるとうれしく思います。


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(文/キャリアアドバイザー 松井 千春)

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