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【コラム】女性活躍推進法は女性の救世主か?

2016年09月28日

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労働現場において女性を登用する動きが絶えない。今年4月、女性活躍推進法が施行された。この法律を平たく言えば正式名称にもある通り、「女性の職業生活における活躍の推進」に関する法律なのである。法律のタイトルだけを見ると何とも希望が湧いてくる。

政府は以前から女性の採用、活躍、昇進を政策の目玉に据えてきた。それを具現化する目的で制定されたのが女性活躍推進法だ。法律ができたことではっきりとした方向性が示された。それはそれで喜ばしい。ところが現場サイドの企業や事業所からは戸惑いの声があがっている。

数値目標の義務化

同法は、法律が施行される4月1日までに、目標値の策定、届出、公表というプロセスを課せられていた。企業によっては苦労したところもあっただろう。ただ、これはすべての企業を対象にしたものではない。従業員301人以上の企業に対し、女性の採用や管理職の割合を数値目標として作成しなさい、というものである。

従業員300人以下の企業は努力義務とされているから、法律の直接的な影響はないともいえる。しかしながら、対象から外れていても、いずれは法律の趣旨に沿った義務規定が課せられることも予想される。
女性管理職の目標数などを策定、公表すれば、企業イメージや採用活動にも少なからずのインパクトを与える可能性がある。ある意味、死活問題になりかねない。女性活躍推進法が企業にとって重みとなり、行動計画を義務づけられるも、「いったい、どのように扱ったらよいのか」悩む企業も目立ち始めた。

これは企業カルチャーや女性従業員の割合が行動計画に反映されるためである。具体的にいうと、業種により女性従業員の少ない企業、または部署は厳然と存在する。技術者の比率が高い製造業などではどうしても男性の雇用が優先される。さらに出産・育児等でいったん離職すれば能力を有している女性の管理職の道を閉ざしかねない。

業種、職種により男性優位、女性劣位という構図がみられ、行動計画に沿った結果が出るかは不透明だ。そもそも今、主流の能力重視の人事制度と、女性を取り込む推進法が両立するのかも検証が必要になる。また、どれほど女性労働者が管理職を望んでいるかも疑問だ。

女性の再雇用が増え、管理職として活躍するのは歓迎できても、企業の実情を無視して数値目標ばかりに関心が行けば、結果的に女性活躍推進法がザル法になりかねない。その証拠に法律には罰則規定がなく、あくまで目標設定だけが独り歩きしている。労働問題に詳しい弁護士からは実効性に乏しい法律との声も漏れる。

退職理由はさまざま

法律が担保になり女性が活躍できる職場は評価できる。ただ、同法にあるような数値目標がどれほどの効果をもたらすのか測りきれないし、それどころか企業間の女性登用率のPR合戦になる雰囲気さえ出始めている。せっかくの女性サポート法が政府の人気取りに利用され、当の女性たちからもそっぽを向かれかねない。

働く女性たちのホンネはどこにあるのか、仕事の対価に何を求めるべきか、実はここが一番の大きなポイントになる。総合職の女性ともなれば役職を求める傾向は強い。出産・子育てで離職する女性も少なくないが、すべての女性が育児を理由に職場を去るのではない。

女性の人材紹介などを手掛ける株式会社Waris(ワリス)のアンケート調査がその内情を示す。

〈退職・転職・独立を検討したきっかけ〉複数回答
1位 キャリアアップができない(39%)
2位 家族との時間のバランス(38%)
3位 新しい環境で仕事がしたい(36%)
4位 仕事を「やり切った」感覚(31%)
5位 目標となるロールモデルがいない(28%)

この調査の回答の8割は子を持つ女性たち。回答結果をみると、家庭との両立や育児の忙しさだけが退職・転職の理由ではないことが分かる。

彼女たちは、復職後の職域への不満、人事評価の不透明さを指摘する。管理職の女性比率を上げるなら、子育て世代の女性がカギを握っている。現在の女性管理職は、未婚女性や子どものいない既婚女性たちが圧倒的に多い。子育て中の女性でも管理職に就くことができる環境整備こそが女性管理職の増加要因になり得る。

その一つの環境要因が短時間勤務だ。欧米では管理職でさえ短時間勤務が浸透しているという。それどころか週休3日、4日という企業も存在する。一概に欧米の真似がすべて良いわけではないが、女性管理職のモデルケースとしては大いに参考になる。

推進法で企業の尻を叩くのも一定の効果はあるだろう。しかし、やるべきことは短時間勤務を一般化し、フレキシブルな勤務体系を実現しながら、女性の再雇用を促進する。さらには女性管理職の外部登用など思い切った施策が必要なのかもしれない。女性活躍推進法は始まったばかりだ。今後を注視していきたい。

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(記事提供/株式会社エスタイル)


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