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2016年改正刑事訴訟法の施行について【コラム】

2017年04月07日

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2016年5月24日、刑事訴訟法が改正されました。本改正は、同法制定後最大規模のものであり、その内容は多岐にわたるものとなっています。その趣旨は、主として取調べ及び供述調書への過度の依存や、公判の在り方を抜本的に見直し、適正かつ充実した公判審理を図る点にあります。この改正法は、2016年6月から段階的に施行されつつあります。
そこで今回は、改正法について概観し、今後の刑事司法の適正化について考えます。

改正の端緒

2010年9月、証拠の改ざんに基づく厚生労働省元局長無罪判決等の一連の事態を受けて、法務大臣の下に「検察の在り方検討会議」が設けられ、かかる事件が二度と起こることの無いように、不合理な取調べを防止する必要があるとされたことが、本改正の端緒です。

■改正の主な内容及び施行時期
改正の主な内容を列挙すると、以下のようになります(括弧内は施行時期)。

(1)裁量保釈における考慮事項の明確化(2016年6月23日)
(2)証拠隠滅等の罪等の法定刑の引き上げ(2016年6月23日)
(3)証拠開示制度の拡大(2016年12月まで)
(4)弁護人による援助の充実(2016年12月まで)
(5)通信傍受の合理化及び対象犯罪の拡大(2016年12月まで)
(6)証人の氏名・住居の開示に係る秘匿措置(2016年12月まで)
(7)被害者保護の充実(2016年12月まで)
(8)自白事件の迅速な処理のための措置の導入(2016年12月まで)
(9)被疑者国選弁護制度の拡充(2018年6月まで)
(10)協議・合意制度等の導入(2018年6月まで)
(11)ビデオリンク方式による証人尋問の拡大(2018年6月まで)
(12)取調べの可視化のための録音録画制度の導入(2019年6月まで)
(13)暗号技術を利用した特定装置の導入(2019年6月まで)

このように、本改正は非常に多岐にわたるものでありますが、その中でも、とりわけ(12)取調べの可視化、録音録画制度の導入が中心問題の一つとされています。そこで、この問題を中心に考えることにします。

99.97%の有罪と冤罪の温床

従来、日本においては、精密司法と言われる運用が当然のごとくなされてきました。そのため、起訴された場合、平成27年版「犯罪白書」によれば、99.97%が有罪となっているのが現状です。
しかし、密室における取調べにより自白の信用性及び任意性が認められなかったことが冤罪を生む要因となってきたという、精密司法の負の側面もまた、否定できないところです。

取調べの可視化のための制度

本来、刑事裁判は、公判において検察官及び弁護人が主張立証を十分尽くした上で、客観的な証拠に基づくことを原則として検察官と被告人及びその弁護人がお互いに攻撃防御方法を尽くすという、公判中心主義によるべきものです。
それにもかかわらず、取調室という密室における供述及びその供述調書によって結論がほぼ決まってしまうというのでは、刑事裁判の適正化は図れないと言わざるを得ません。
そこで、こうした事態を防止して、取調べを可視化するために、録音録画制度を厳格に運用することが求められました。他方、取調べ及びその供述調書に代わる物証等も必要となります。そこで、上記(2)証拠隠滅等の罪等の法定刑の引き上げ・(5)通信傍受の合理化及び対象犯罪の拡大等の措置が講じられ、均衡が図られることになったのです。

適正な刑事裁判の実現に向けて

刑事訴訟法第1条に規定されているように、被告人の人権を守りつつ、適正かつ迅速な手続きにより、実体的真実発見を目指すことが刑事訴訟の本来あるべき姿です。これを具体化するべく、取調べの可視化のための録音録画制度など、改正法を活用して、適正かつ充実した公判審理を図り、かかる理念を実現することは、法律家にとって重要な課題となることが予想されるところです。そこで、そのための準備も施行に併せて入念になされることが必要となるでしょう。

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(記事提供/株式会社エスタイル)
 


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