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企業法務を揺さぶる改正外為法の狙いとは?【コラム】

2017年06月27日

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企業活動が国境を超える時代である。それに伴い高度な技術の流出も懸念される。その法律的な基盤である外為法が今年、改正される見通しになった。改正案は企業法務にも多大な影響を与えるため、改正のポイントをまとめてみたい。

改正外為法のポイント

外国為替及び外国貿易法、すなわち外為法は、製品やサービス、外国為替など、国外取引を行う際、その規制対象となる法律であるが、今回、大きな改正ポイントも含まれているため注目を集めている。

改正外為法は3つの柱からなる。

(1) 輸出入・技術取引に関する罰則の強化
(2) 輸出入規制に関する行政制裁等の強化
(3) 対内直接投資に関する規制強化

(1) については、最先端技術の流出を防ぐため、輸出入違反などについて現行の最大1000万円から最大3000万円まで引き上げる。さらに重科制度を創設し、違反をした企業に対しては最大10億円までの罰金を科せるようにした。これこそが今回の最大改正ポイントといえるだろう。

(2) の行政制裁等も罰金と組み合わせることで相乗効果が期待できる。違反行為を指摘され、行政制裁を命じられた法人役員については、同業種企業への役員就任禁止や、個人業として同じ業務を営むことを禁止した。また、行政制裁の期間を現行の1年から3年まで延長することになった。

(3) の直接投資に関する規制は、審査付事前届出制を強化することとし、具体的には、外国投資家が他の外国投資家から非上場株式を取得する場合、「国の安全」を損なうか否かで審査が追加される。そして無届けで直接投資を行った外国人投資家に対しては、「国の安全」基準に抵触すれば、株式の売却命令などを実行できる制度をあらたに設けた。

外為法改正の目的

欧米各国では国内企業の技術流出を国ぐるみないし国家主導で取り組んできた。最先端の技術は軍事転用が可能なため、独裁国などへの転売を警戒するための法整備を進めてきた。その結果、一定の効果が得られている。

これに後れをとってきた日本だが、外為法を改正することで国際的に歩調を合わせ、自国の安全保障を守る狙いもあるようだ。対外貿易では中国などとの間で活発な動きになっており、投資の面からも外為法の規制をさらに強化することが求められていた。

軍事、投資という2大要素は、国家の存亡にかかわるといっても過言ではないため、ハイテク技術やノウハウを従来の許可制では対応できないと政府は判断したようだ。

企業法務への影響は?

海外投資はいまや企業には欠かせない経済活動である。さらには企業合併や買収も盛んに行われ、外為法の規制にかからない範囲で対応を迫られている。ところが予期しない形で政府から「待った」の声が出されることも予想される。

現在、経営再建中の国内大手メーカーがそのリーディングケースとしてあてはまる。経営難に陥っている同社は事業分割で生き残りをかける。その売却先に海外企業の名が浮上しているが、政府はこれが外為法の規制対象(事前審査)になるとの認識を示した。

特に同社の強みである半導体部門の売却先が外資となれば、国家安全保障の観点からも過誤できない恐れがあるからだという。半導体は軍事には欠かせない基盤である。日本メーカーの得意分野だけに、これが海外企業へ渡れば国内産業への影響も計り知れない。

一企業の売却問題が国の安全保障や経済に直結することをまざまざとあらわにした。同社の事業部門がどの国の企業に買収されるかは不透明だが、外為法の規制対象にかかる可能性がありそうだ。

最大10億円の罰金刑が導入されることや、行政規制を強化することなど、今回の改正外為法が後々、企業法務に具体的にどのような影響を与えるかはまったく予期できない。けれども輸出入や投資が盛んな現代にあって外為法の改正が与える影響は間違いなく大きいといえるだろう。

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(記事提供/株式会社エスタイル)


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