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リプロダクティブ・ライツを巡る法改正の新動向(前編)【コラム】

2017年08月28日

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リプロダクティブ・ライツに関わる民法の諸規定について、近年、最高裁の判断が相次いで出されています。とりわけ、女性の再婚期間制限に関しては、違憲判断が下され、これを受けて法改正が実現しました。こうした動向は、国連による勧告や、主に女性のライフスタイルに関する自己決定権が重視されている時代の潮流をその背景とするものであり、法律家として今後も注視すべき重要な事柄であるといえます。
そこで、今回は、リプロダクティブ・ライツに関わる民法の諸規定を巡る近時の動向について考えます。

リプロダクティブ・ライツとは

リプロダクティブ・ライツとは、性と生殖に関する健康を享受する権利を指します。具体的には、全ての人々が、自分たちの子どもの数、出産間隔、時期を自ら選択するという自己決定権の一つです。
また、リプロダクティブ・ヘルスとは、人間の生殖システム及びその機能と活動において、生理的のみならず、社会的に健康であることを言います。つまり、人々が安全かつ円満な性生活を営むこと、及び子どもを何時、何人持つかを決定する自由を持つことが含意されています。こうした理解は、国連により1994年にカイロで開催された国際人口開発会議において採択されたものです。これは、子どもを持たないライフスタイルを選択する人々も含めた、全ての個人が享受して然るべきものです。具体的には、生殖年齢にあるカップルを対象とする家族計画や母子保健、人工妊娠中絶、不妊、及びジェンダーに基づく差別を受けないことを含む広い概念です。

CEDAWからの勧告

国連のCEDAW(女子差別撤廃委員会)は2008年以降、CEDAW条約(女子差別撤廃条約)の批准国である日本に対して、民法改正について、選択的夫婦別姓、再婚禁止期間廃止、婚外子差別撤廃、婚姻年齢の男女の統一を求め、勧告をしています。
近時のものとして、2016年3月7日になされた第7回及び第8回報告に対する女子差別撤廃委員会最終見解で示された勧告があります。そのうち、リプロダクティブ・ライツを巡る法改正の新動向に関わる主な指摘として、以下のものが挙げられます。

勧告12
委員会は、既存の差別的な規定に関する委員会のこれまでの勧告への対応がなかったことを遺憾に思う。委員会は特に以下について懸念する。
(a) 女性と男性にそれぞれ16歳と18歳の異なった婚姻適齢を定めているように民法が差別的な規定を保持していること
(b) 期間を6ヵ月から100日に短縮すべきとする最高裁判所の判決にもかかわらず、民法が依然として女性のみに離婚後の再婚を一定期間禁止していること
(c) 2015年12月16日に最高裁判所は夫婦同氏を求めている民法第750条を合憲と判断したが、この規定は実際には多くの場合、女性に夫の姓を選択せざるを得なくしていること
(d) 2013年12月に嫡出でない子を相続において差別していた規定が廃止されたにもかかわらず、出生届時に差別的記載を求める戸籍法の規定を含め、様々な差別的規定が残っていること

勧告13
委員会は、これまでの勧告(CEDAW/C/JPN/CO/5)及び(CEDAW/C/JPN/CO/6)を改めて表明するとともに、以下について遅滞なきよう要請する。
(a) 民法を改正し、女性の婚姻適齢を男性と同じ18歳に引き上げること、女性が婚姻前の姓を保持できるよう夫婦の氏の選択に関する法規定を改正すること、及び女性に対する離婚後の再婚禁止期間を全て廃止すること
(b) 嫡出でない子の地位に関するすべての差別的規定を撤廃し、子とその母親が社会的な烙印と差別を受けないよう法による保護を確保すること


このうち、勧告12 (b)については、法改正がなされ、問題は解消されています。また、勧告13のうち(a)及び(b)の一部についても善処されつつあるといえます。

家族等に関する国民の意識の多様化

また、近年、夫が働き、女性は専ら家庭内において家事や育児に従事するというかつてあった家族像に関する国民の意識の変化、多様化という点も、考慮されるべきであるといえます。
そして、この点については、女性の再婚禁止期間制限を定める民法733条を違憲とする最高裁大法廷判決においても考慮されています。

後編では、今回みたリプロダクティブ・ライツを巡る動向を受けてなされた法的対応について、女性の再婚期間制限の改正を中心に検討したうえで、今後のあり方について考えます。
(※後編はこちら)

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(記事提供/株式会社エスタイル)


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