法律事務所で働くには、学歴や偏差値は重要になるのか?
法律事務所で働くには、学歴や偏差値は重要になるのか?
弁護士資格者であれば司法試験や二回試験にパスしている時点で、一定以上の能力を有するとのお墨付きがあります。しかし、人気のある法律事務所に就職しようと思えば、それ以外の要素でライバルとの差別化を図らなければなりません。では、弁護士の就職にとって、学歴や偏差値はどれほどの重要性を占めるのでしょうか。
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そもそも、学歴とは何か?
学歴とは本来、「どのような専門知識を身につけているか」を知るための指標です。「○○学部卒」であり、「○○学士号」を持っていれば、○○について詳しいだろうから業務の役に立つはずだと、採用担当者が判断することができます。これが、学歴の本来的な役割だと言えます。
ただし、学歴には受験勉強による偏差値の高低によって、人材の品質の一面を「輪切り」で分類してしまうところがあります。記憶力や理解力、事務処理能力、継続して努力を重ねられる能力などのポテンシャルを、入学した大学の偏差値によって測るわけです。
受験での競争が激しかった時代には、その「輪切り」が露骨に出てしまうところがありましたが、今でも人材の質を測るために、入学できた大学等の偏差値で判断される場合があります。エントリーシートでは書面上でしか判断できませんし、面接では一時的に態度を取り繕うこともできます。受験勉強であれば、継続的で効率的な努力の蓄積を、ある程度測ることができるので、偏差値は人事担当者にとって重宝される指標となっているのです。
また、応募者の出身大学が、法律事務所の代表者や採用決定権者の出身大学と同じであれば、共通点ができ、採用に有利に作用する場合もあります。こうした営みが繰り返されることで、いわゆる「学閥」が形成されることもあるでしょう。
弁護士も同様です。大学の受験偏差値だけでなく、法科大学院制度が始まってからはその偏差値も加味されるようになりました。法学部以外の出身者であれば、その専門的な素養が法律知識と組み合わさることで、独自性のある弁護士人材だと判断されることもあるでしょう。
しかし、法律事務所の求人に応募をしてきた弁護士たちが法学部の出身同士であれば、どうしても出身大学や出身大学院の偏差値で比較されがちです。その場合、学歴が人材を選別する「フィルター」として作用することがあります。
学歴が重視される度合いは、法律事務所によって差がある
渉外系の大手法律事務所など、人気のある職場の求人に対しては、多数の新人弁護士からの応募が寄せられます。採用に向けての競争は必然的に激化しますし、高偏差値の最終学歴を誇る応募者ほど有利になるでしょう。司法試験の合格順位の提出を求める法律事務所もあるようです。
学歴に自信のある弁護士は、そうした競争率の高い法律事務所に積極的に応募することが、それまでの努力のリソースを最大限に活かせる道となり得ます。
学歴にあまり自信のない弁護士も、その競争の中に飛び込んでいけないわけではありません。ただ、学歴や偏差値以外にアピールしてライバルに対抗できるだけの、何か十分なインパクトある要素を持っていなければ、競争に勝ち抜ける見込みは薄いと言わざるをえません。
しかも、その要素を法律事務所側が求めていなければ採用には至らないでしょう。このマッチングが成立するかどうかは、運次第です。
であれば、学歴以外の要素を重視していそうな法律事務所を探していくほうが得策です。決められた型に沿って、職務を計画的に淡々と進めているところよりも、一般には、独自の意見や活発なコミュニケーションを重んじ、ある程度自由な雰囲気を醸し出している法律事務所のほうが、学歴以外の要素を求めている傾向が強いと言えます。
このような雰囲気の違いは、弁護士仲間同士の情報交換によって掴むこともできるでしょうが、実際に事務所を訪問して感じ取るのが一番です。
これから、学歴や偏差値の価値は徐々に目減りしていく
AI(人工知能)が、大学の入試問題をかなりの割合で正答できるようになったと報じられるようになりました。このままいけば、東京大学合格レベルに達するのも、時間の問題でしょう。
つまり、テストの点数を多く獲得するような学習は、人間がする必要性の乏しい営みになっていく。そんな時代が、間もなく到来しようとしているのです。
もちろん、偏差値の高い大学に合格できるに超したことはありませんが、その価値の重みが徐々に目減りしていくことは間違いありません。
これからは、既存の価値を組み合わせて新たな価値を創造するクリエイティビティや、仕事仲間やクライアントと円滑な関係性を構築するコミュニケーション能力など、受験勉強の成果では測定できない要素が、重要性を増していきます。
今後、法曹界で活躍していくにあたって、AIでは実現困難なことを成し遂げる能力を磨いていくほうが、合理的な選択だと言えるでしょう。
まとめ
長い間、知識人が社会のエリートとしての立場を独占してきましたが、今後は、弁護士が行うような知的労働がAIに置き換わる可能性が高まっています。知的労働の潜在能力を測る受験偏差値も、今までのように重要性を維持できるとは限りません。今後は、受験勉強が苦手な弁護士こそが活躍できる余地が広がる可能性もありますので、希望を捨てずに頑張っていただきたいです。
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