法科大学院を修了することで、一般企業へ就職する際に気を付けるポイントやアピールするポイントは?

更新日:2023/06/01
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法科大学院を修了することで、一般企業へ就職する際に気を付けるポイントやアピールするポイントは?

管理部門・士業の転職

法科大学院を修了することで、一般企業へ就職する際に気を付けるポイントやアピールするポイントは?

法科大学院は本来、弁護士・裁判官・検察官を志望する者の登竜門として設置されています。そのため、院生は修了後、司法試験にチャレンジする人がほとんどです。
しかし、2~3年の法科大学院生活の中で、「司法試験より一般企業の就職に挑戦したい」と考える人もいます。

では、法科大学院を修了したことは、一般企業への就職活動でどのようにアピールすると良いでしょうか。

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法科大学院生のポテンシャル

法科大学院を修了すると、「法務博士」の学位が与えられます。
博士といっても、従来型の大学院法学研究科の博士課程とは区別されている点に留意すべきです。

それでも、大学の法学部出身なら2年、法学部以外なら3年にわたって、法律実務家を育成するためのカリキュラムをみっちりとこなしてきた法務博士の秘めているポテンシャルはかなりのものです。

法律の条文や裁判所の判例を知っているだけでなく、実際の事件に当てはめて使いこなす能力も求められますので、未知の問題にも対応できる論理的思考力も身についています。
そして、複雑で先行きの見えない現代社会においては、このような論理的思考力や推論力こそが、状況を打開する鍵となりうるのです。
もちろん、一般企業においても、営業やマーケティングなどの戦略的なプランが求められる部署では、法科大学院生が徹底的に訓練している論理的思考力が活かせます。
予測が的中すればそれに超したことはありませんが、例え予測が外れてしまっても仕方ありません。

それよりも、まずはその戦略に対する予測の根拠を、筋道を立てて説明し、社内の決裁者を納得させられる能力が重要になります。


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法科大学院生(法務博士)が、一般企業に就職するには?

一般企業の採用担当者は、このような法科大学院生のポテンシャルをよく心得ています。
法曹を養成するプロセスで、法律解釈や法廷でのプレゼンテーション力などを徹底的に身につけてきたのですから、才覚の高さはわかっています。

その上で面接の際には今まで「法律家を目指す」という共通の目標を持っている集団の中で、長い間研究生活を行ってきた環境から脱して、多種多様な性格や背景を持つ従業員のいる一般企業に溶けこみ、適応できるかどうかが重視されます。

さらに、理屈や正論を押し通して、一般企業の目的である利潤追求をないがしろにしてしまうのではないかと採用担当者は、そういった点も注意深く判断しています。

つまり、一般企業への就職を希望する法科大学院生・法務博士は、「組織に適応できる柔軟性がある」ことや、「企業が利益をあげられることを前提に物事を考えられる」人材であることをアピールしなければ、不採用になる可能性が高くなります。

法科大学院生・法務博士の転職先としては、大企業の法務部が人気です。
ただ、すでに企業内弁護士(インハウスローヤー)が所属していることが多く、そこに入り込むには、弁護士にはない強みを伝えなければならず、一筋縄ではいきません。

それでも、法科大学院から大企業の法務部への転職に成功した実例は少なくありません。
組織内で出世を重ねれば、CLO(最高法務責任者)の役員への道も開けます。

一般企業の採用面接で法科大学院生は、何を伝えるべきか

例えば、採用面接で「憲法が得意で、判例をよく勉強しました」とか、「模擬裁判には自信があります」などとアピールしても、一般企業での活動には直接結びつかないので、的外れになってしまいます。

憲法が得意、あるいは模擬裁判に自信があることは結構なのですが、それを踏まえて採用担当者が求める答えを導き出すことが求められています。

以下に、具体的な例を述べてみます。

・「憲法が得意で、判例をよく勉強した」とアピールしたい場合
「憲法の統治論が得意ですので、企業のコーポレートガバナンスとも共通するところがあり、その知識を活かすことができます」

・「模擬裁判には自信がある」とアピールしたい場合
「模擬裁判には自信があります。会議でのプレゼンテーションでも、その力を発揮したいです」

上記の様に一般企業で知識を活かすことができるといったアピールに展開していけば、面接担当者の心を打つことができるでしょう。

また、法科大学院生・法務博士は、新卒の学生に比べて年齢が高いので、若々しさや素直さ、柔軟性があるかも重視されます。
面接官と揉めたり議論したりするなど、頑固な一面を見せるのはもってのほかです。むしろ、柔軟性を意識してアピールするようにしましょう。
法科大学院生は、議論が好きで理屈っぽく、素直ではなさそうというイメージを持つ人もいます。面接での受け答えでそのイメージを覆すことに成功すれば、強い好感を与えられる可能性があります。


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一般企業での活躍の場

法科大学院修了生が企業法務の仕事に就きたい場合、就職先として企業の法務部が人気です。
 法務部の業務内容は大きく分けて

「契約・取引法務」
「商事法務」
「戦略法務」
「コンプライアンス・社内規定」
「紛争対応法務」

の5種類があります。

契約・取引法務は法務部の仕事のなかで最も多く、売買契約、秘密保持契約、業務委託契約などの文書内容の確認がメインです。
商事法務は株主総会、取締役会などの運営業務が中心で、ほかにも株式発行や株式分割、子会社の設立業務なども行います。
戦略法務は新規事業の立ち上げやM&A、海外進出などを行う経営戦略を法的な側面からサポートし、企業価値や利益の向上に繋げていきます。
コンプライアンス・社内規定の業務は、社員へのコンプライアンスの周知徹底、社内研修の実施、相談窓口の設置などがメインで、必要に応じて社内規定の整備・改善も担います。
紛争対応業務は、取引企業との間でのトラブルや、顧客からのクレームが訴訟などの法的手段に発展した際の対応業務などです。

こうした法務部の業務においては、法科大学院生の強みともいえる法的文書を素早く理解して活用する力を活かすことができます。

法務部の業務が関わる法令は多種多様ですが、学習過程で大量の法的文書を読みこなしてきた法科大学院生であれば、未知の法令に対しても条文、解説書、関連判例を読み、どの専門家が聞いても正しいと思える解釈を導くことができるでしょう。

また、法科大学院終了生にとっては馴染みのある「利益衡量」の考え方も、法務部の業務では役立ちます。
利益衡量とは双方の利益をはかりにかけて、より大きな利益をもたらせる結論を導き出すことです。
法科大学院での講義でもよく取り上げられる概念で、司法試験の学習過程でも登場するため、的確な利益衡量を行い、納得できる判断を導き出せるでしょう。

職務経歴書の書き方

一般的に職務経歴書は、「それまでの仕事で何をやり、どのような実績を出したか」に重点を置いて書きます。
過去に経験してきた業務経験を基にして、採用担当者は「この人は何ができるのか」を判断します。

そのため、募集職種に対して自分の経験をどう活かせるかを強調して記述することが、採用への近道になるわけです。

しかし、法科大学院生は即戦力となることを証明できるような法務関連の経験を持っていないことが多いです。
そのため、法科大学院生が職務経歴書を書く場合は、自分の将来性を売り込む必要があります。

たとえば、仕事で自分が活躍したことを示すエピソード、仕事を上手く成し遂げた経験について記述すると、採用担当者は潜在的な能力を認める可能性が高いです。

つまり、何の仕事をしたかではなく、「何をどのように行ったのか、何を成し遂げたのか」を誤字脱字なく、丁寧に書くことで、地頭の良さや今後の成長を期待・評価されるチャンスが生まれるわけです。

近年、とくに新卒採用においては、将来性を判断して行うポテンシャル採用を行うケースが増えています。
企業法務の経験がなくても仕事ぶりが採用担当者に評価されれば、潜在的な能力の向上を期待して採用されることは十分に考えられるでしょう。

また、職歴だけでなくインターン・エクスターン、大学でのサークル活動や部活、法科大学院での講義内容などで、募集職種に活かせるような法律関連の経験、勉強なども記述しましょう。

企業の法務部への就職を目指す場合、法科大学院の講義のなかで企業法に関わる勉強をしていたのなら、それを書いておくとアピールにつながります。
在学中に法務分野セミナーへの参加経験があれば、それも書いておくと印象アップにつながるでしょう。


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法科大学院修了生の自己PRのポイント

法科大学院修了生が就職活動をするにあたって一番のネックになるのが、「社会経験の有無」と「ドロップアウトのイメージ」です。

法科大学院修了生が就職活動を行う場合、ほかの一般新卒に比べると年齢が高いため、より円熟した人間性を求められます。
一度社会人になってから法科大学院に入学した人の場合、30歳を超えているケースも珍しくありません。
企業としては新卒の学生に対し、若さ・柔軟性などを求めていることもあり、プラスαの要素をアピールする必要があるでしょう。

 また、法科大学院は本来、法曹を目指すために進学する場所なので、一般企業の就職活動をしていると、採用担当者から「法曹を目指すはずが、どうして企業に就職しようとしているか」と疑問を持たれることがあります。

企業が正社員を採用する場合、人材の育成などに費用を掛けるため、長く企業に所属してもらうことを望みます。
そのため「法曹を目指すまでの腰掛にするつもりではないか」という疑念を抱かれる可能性があるのです。

しかし、不利な条件が明確にわかっているからこそ、事前の対策はしやすいといえます。
年齢が高いことに対しては、「その分だけ勉強してきました」などとありきたりな説明をするよりも、前向きで何かに挑戦する姿勢を持ち続けていることを示すこと、明るくはきはきとした受け答えをすること、自分の価値観に固執せずに柔軟性を見せること、などを面接の場で心がけましょう。

また、もし採用担当者から法曹を目指さないのかと尋ねられたら、司法試験合格に向けて勉強したことを社会人・企業人として活かしていきたい旨を強調しましょう。

ここでポイントなのは「法曹に未練がある」などとは言わない方が無難です。
法曹にまだ関心があることを示すと、司法試験の勉強を再開し、すぐに会社を辞めるのではないかと採用担当者に思わせてしまい、採用が遠のく可能性もあります。
会社の一員として活躍していきたいことを明確に伝えましょう。

法科大学院生の就職事例

法科大学院生の就職事例についてご紹介しましょう。

法科大学院修了生歓迎ポジションに転職

20代後半女性
年収280万円→年収370万円
法律事務所 弁護士秘書→東証プライム上場企業 サービス業界 法務担当


法科大学院修了生歓迎ポジションに転職

30代前半男性
年収180万円→年収400万円
アルバイト勤務→東証プライム エネルギー・インフラ業界 法務担当


法科大学院修了生歓迎ポジションに転職(司法試験短答式合格経験あり)

30代前半男性
アルバイト勤務→年収660万円
就業経験なし→IPO準備中 サービス業界 法務担当"

法科大学院生歓迎求人

続いて法科大学院生歓迎求人の事例をご紹介します。

東証スタンダード上場 商社 法務担当

年収380万円~年収650万円

業務内容

・契約書のリーガルチェック
・コンプライアンス関連業務(社内浸透・社員教育を含む)
・社外弁護士との折衝
・株主総会の準備、運営
・社内部門からの法務相談
・官公庁等への書類の提出


東証プライム上場 建築・不動産業界 法務担当

年収400万円~年収650万円

業務内容

<持株会社単体>
・契約書審査(和文9:英文1)
・弁護士との連携
・法制度調査

<グループ会社全体/持株会社>
・法務相談
・コンプライアンス体制/運営の企画立案、施策実施、管理
・リスクマネジメント体制/運営の企画立案、施策実施、管理
・内部通報制度の運用、改善強化 など

IPO準備中 サービス業界 法務担当

年収400万円~年収700万円

業務内容

・クラウドサービス契約や開発委託契約など取引関連や社内で利用するサービスなどの契約書のリーガルチェック(月30件程度)
・その他、事業提携などの各種契約書作成業務(月10件未満)
・契約書の管理
・営業社員など社内担当部門や弁護士事務所等との連絡窓口
・企業法務に関わる関連法令のチェックおよび社内対応や法務に関する社内から

の質問への回答

・新規取引先企業の反社チェック
・ISMS や社内のコンプライアンス強化に係る業務
・GDPRの対応


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法科大学院生の就職にはエージェントの活用がおすすめ!

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法科大学院修了生は、今まで勉強してきた知識を活かして、企業法務や法律事務所への勤務を希望するケースが多いです。

このような法律分野に限定した範囲で法科大学院生が就職活動をする場合、一般的な就活エージェントではなく、「特化型エージェント」を利用することでより詳細な情報収集ができ、適切なサポートを受けることができます。

MS-Japanでは法科大学院修了生を対象とした就職支援に力を入れており、法科大学院修了生を対象とする掲載求人数は業界トップクラスです。

実際、弊社を通してこれまで多くの方がご自分の希望に沿った就職先を決定されています。
具体的なキャリアのあり方や将来的な方向性など、今後の人生設計に合わせたサポートを行っていますので、就職活動が初めてという新卒の方にもぜひご利用頂きたいです。

すでに社会人としての経験が豊富な方など、早期の就職・転職を目指す方に対しては、提出するレジュメの添削や求人のご紹介など、より具体的な就職活動のサポートを行っています。
弊社が蓄積しているノウハウをもとに、的確なアドバイスを提供可能です。

法科大学院修了生の進路は、法曹界に限ったものではありません。
一般企業でもニーズは高く、活躍できる場は多くあります。ご自分の知見を活かし、ビジネスの場で能力を発揮していきたいとお考えなら、まずはMS-Japanにご相談ください。


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まとめ

法科大学院から一般企業への就職を目指すことは、決してイレギュラーな道ではありません。
法曹に漠然と憧れていたけれども、本格的に勉強をしてみて「やっぱり違う」と感じることも十分にありうるからです。
法科大学院で勉強してきた内容は、誰にでも身につけられるものではありません。ぜひ、その知識とスキルを一般企業の活動に還元し、仕事を通じて社会貢献する道を歩んでいただければと思います。

管理部門・士業の転職

この記事を監修した人

大学卒業後、新卒で国内外の通信サービス事業の会社に入社し店舗運営・人材育成に従事。
MS-Japanに入社後は、キャリアアドバイザーとして企業の管理部門、会計事務所などの士業界への転職支援を担当
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