2018年03月22日

弁護士の初任給はいくら?全職業で一番高給な弁護士の初任給は?

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弁護士といえば、日本最難関の国家試験といわれる司法試験を突破した文系エリートの代表格で、高給取りといわれてきました。しかし近年、弁護士人口が増えているにもかかわらず、事件数は増えず、収入が減っていると報道されています。実際のところはどうなのでしょうか。

若手から中堅までを対象にした弁護士給与調査

司法修習53期から67期までの全弁護士を対象に、法務省・最高裁判所・日本弁護士連合会が合同で行った給与調査(2016年3月集計)があります。

収入については、まず、「収入」と「所得」、そして「平均値」と「中央値」を混同せず、別に分けて考えなければなりません。
収入は、事業によって得られた金銭すべてであり、所得は収入から必要経費を差し引いた額で、所得税などの課税の基礎となります。
また、平均値は対象となる額を足し合わせて人数で割ったもので、中央値は対象となる額を並べて中央に来る値を指します。平均値の場合、極端に高い収入・所得の人に引きずられて上がることがあり、全体の傾向・実態を捉えるには中央値を用いた方がよいと考えられています。

経験年数別 弁護士の収入

まず、収入の中央値を見てみましょう。
2013~15年にかけて、3年間の流れを比較してみます。
旧司法試験合格組と新司法試験合格組が併存している場合は、便宜上、両者の平均値を示しています。

2013年 2014年 2015年
1年目 579万円 530万円 543万円
2年目 729万円 744万円 654万円
3年目 900万円 839万円 831万円
4年目 1,040万円 999万円 946万円
5年目 1,128万円 1,115万円 1,108万円
6年目 1,318万円 1,215万円 1,226万円
7年目 1,490万円 1,400万円 1,303万円
8年目 1,786万円 1,575万円 1,472万円
9年目 1,810万円 1,783万円 1,605万円
10年目 1,968万円 1,842万円 1,796万円
11年目 1,911万円 1,985万円 1,926万円
12年目 2,014万円 1,856万円 2,076万円
13年目 2,227万円 2,076万円 1,986万円

全体的に、年を追うごとに収入が減少していることが見て取れます。
収入面では、新人時代から10年目頃まで、一気に増えていくのが特徴的だといえます。慣れてくると、多くの仕事を任されるようになり、収入の確保先が増えていくことが原因だと考えられます。ただ、10年目を過ぎると、収入の伸び率はいったん落ち着いてきます。

収入額の年推移を見たとき、絶対額で比較すれば、新人時代にもそれなりの下落は見られますが、年を追うごとに大幅な下落傾向を読みとることができます。

経験年数別 弁護士の所得

次に、収入から必要経費を差し引いた所得(中央値)について見ていきます。
弁護士にとっての必要経費は、個別の事件処理でかかった費用の実費だけでなく、日弁連や所属弁護士会に納める会費、独立開業している場合は、事務所の家賃や人件費、社会保険料なども加わってきます。

2013年 2014年 2015年
1年目 316万円 301万円 317万円
2年目 406万円 409万円 391万円
3年目 492万円 451万円 444万円
4年目 540万円 562万円 472万円
5年目 562万円 581万円 582万円
6年目 662万円 613万円 614万円
7年目 692万円 671万円 624万円
8年目 740万円 693万円 721万円
9年目 780万円 759万円 732万円
10年目 900万円 823万円 739万円
11年目 878万円 935万円 816万円
12年目 757万円 782万円 884万円
13年目 982万円 769万円 832万円

収入と同様、全体的には下落傾向にあります。

ここからさらに、国税や地方税を差し引き、場合によっては奨学金の返済や司法修習における給与の貸与分の返済もありますので、手取りはこれ以下になります。

なお、厚生労働省が発表している賃金構造基本統計調査(2015年)によりますと、一般的な大学卒、大学院卒の平均給与は、初年度で330万円、5~9年目で512万円、10~14年目で604万円とされています。


ただし、このアンケートの回答率は3割から4割程度であり、6~7割の弁護士について、この統計によっては収入や所得の水準を補足できていない点に注意が必要です。

「弁護士とお金」について

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法科大学院に通い、司法試験を突破し、司法修習も受けたうえで弁護士になったものの、一般的な民間企業に勤める大卒・院卒の会社員と比べて、所得水準がほぼ変わらないという事実が、統計上判明しました。

もちろん、弁護士が今よりも遥かに少なく、希少価値があった時代には、全般的な所得水準はもっと高かったのです。司法試験の合格枠が増えて、法曹増員政策が本格化したあたりから、弁護士の所得水準は着々と下がっています。

その点では、もはや弁護士という職業には「ほとんど旨味がない」と感じる人もいるかもしれません。
とはいえ、職業の魅力は所得額だけでしょうか。たとえ法律事務所に勤務する新人弁護士であっても、ボスに対して対等に意見を述べることができ、自分の裁量で仕事ができる自由度や創造性の高い職業です。
もちろん、おかしなクライアントの指示に振り回されることはありますが、取引先から無茶をいわれることはどの職業でもありうることです。

まとめ

弁護士の所得は、昔に比べるとかなり減少しているのは否定できない事実です。
しかし、弁護士ほど人から感謝される職業はありません。同じ500万円稼ぐのでも、自分の自由な判断と力量で稼いだ実感が持てる場合と、すべて会社の指揮命令下で、我慢を重ねて長時間労働に耐え抜いて稼ぐ場合とでは、意味合いが異なるはずです。
現在でも、弁護士は目指す価値が充分にある職業ですし、今後、お金ではなく、やりがいや意義を重視する法律家が増えることは、社会的にも大変意義があることです。

<参考>
LEGAL NET-貴方の希望はどれ?弁護士年収をタイプ別に比べてみた
LEGAL NET-【年収編】弁護士にとって、どっちがお勧め?!法律事務所とインハウスを徹底比較。
法務省-法曹の収入・所得,奨学金等調査の集計結果(平成28年7月)
日本弁護士連合会-弁護士の活動実態

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