司法試験三振...。諦めるのはまだ早い!三振後の進路とは
司法試験三振...。諦めるのはまだ早い!三振後の進路とは
裁判官・検察官・弁護士になるための登竜門である司法試験は、長い間、日本最難関の国家試験と言われてきました。かつてより合格率が上がった現在でも、狭き門であることは変わりありません。
では、司法試験に三振、受験資格を失った法曹志願者は、どうすればいいのでしょうか。
司法試験の受験回数制限について
毎年の合格率が約2~4%で推移していた旧司法試験では受験回数制限がなく、優秀な受験者が不合格を繰り返しながら受験し続け、ずっと夢を諦めきれず、挙げ句の果てに人生を棒に振ってしまうケースが後を絶ちませんでした。しかし、司法制度改革で新装された司法試験では、「5年間で3回」という受験制限が設けられ、そのころの名残で、3回の受験制限を使い切ってしまうことを「三振」と呼びます。
※2015年以降は「5年間で5回」と制限が緩和されています。
三振をはじめ、受験制限を使い切ってしまった場合、その制限を解除するには、再び司法試験受験資格を取得する必要があります。すなわち、法科大学院に入り直し、改めて修了するか、予備試験に合格するか、いずれかを達成することが条件です。いずれも、さらなる期間や費用がかかってしまいます。
そもそも、三振・5回の不合格となり司法試験の受験制限を使い果たした時点で、法曹に携わるための必要知識が不足している可能性が高いです。優秀な頭脳を受験勉強ばかりに消耗しないよう、世の中に具体的なかたちで役立ててもらうことが受験制限ルールの趣旨です。そのような経緯から、三振してしまった人は、早めに見切りを付けて方向転換を決断する人もいます。
司法試験に失敗、三振してしまっても、絶望する必要はない
もちろん、努力が実を結ばずに、5回の司法試験受験制限の中で、結果が出なかったことは悔やまれることでしょう。受験準備のためにかけた時間や費用が無駄になり、大きな損害を被った気分さえするのではないでしょうか。しかし、弁護士への道は断たれてしまったものの、人生はまだ何も終わっていません。
むしろ、視野が広がり、「新たな始まり」だと思うべきです。まずは、思いっきり泣いてもいいでしょうし、悔しさを発散させましょう。そして、合格のための司法試験対策という鎖に縛られていた頭と心を、まずは解放させてみませんか。
長い人生の中で、不合格という出来事が絶望のきっかけになるか、別世界への転機となるかは、自分の心持ち次第だといえるでしょう。
まずは、別の資格取得を検討する
司法試験に合格し、司法修習を修了すると、弁護士になれる資格を取得しますが、同じ法律系国家資格として「隣接」している士業がいくつかあります。そのうち、代表的なものは司法書士と行政書士です。
司法書士は、登記や供託の代理、あるいは成年後見人や遺言執行者などの役割を果たしますし、条件付きで認定を受ければ、簡易裁判所の法定に代理人として立つことができます。示談交渉の場でも前面に出ていけます。そのため、司法試験に失敗したものの法曹関連の仕事に携わりたいと考える人々の次の選択肢として人気があります。司法書士試験は、憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法が司法試験科目と重なります。
行政書士も、書類の作成や提出の代行を通じて、さまざまな法的手続きに関われますので、やはり法律実務家としてのやりがいを実感できるのではないでしょうか。行政書士試験では、憲法・民法・行政法・会社法が司法試験科目と重なります。
ただし、司法書士試験は合格率2~3%、行政書士試験の合格率は10%前後と、いずれも難度が高い試験ですので、司法試験より格下だと油断するのは禁物です。
このほか、社会保険労務士や中小企業診断士、宅地建物取引士なども、法律知識を活かせる国家資格として、司法試験を三振・失敗してしまった人から注目されています。独立を前提とせず、取得した資格を就職活動での切り札としてアピールすることも有効です。
企業への就職を目指すなら?
もっとも、資格を取らなくても法律事務所や一般企業への就職を目指すことは十分に可能です。法科大学院を修了していれば「法務博士」の学位を取得しているわけですし、さらに司法試験に何度も挑戦したというガッツと集中力は、通常の社会人よりも上回るはずです。
ただ、全ての企業の採用担当者がそのことを理解し、事情を酌み取ってくれるわけではありません。「何故その歳まで働かなかったのですか?」「もっと諦めずに司法試験を続けるべきでは?」などと、面接で厳しいことも言われるかもしれません。
それでも、司法試験合格に向けて勉強を重ね、法律的な素養が身についている方は就職市場では貴重な人材ですので、粘り強く挑戦することが重要です。法務部に限らず、法律知識を活かせる職場はたくさんありますし、法律と直接関係がなくても、司法試験に何度も食らいつき続けた根性や心意気は、今後の社会人人生で必ず活きるはずです。
まとめ
昔から言われてきたことですが、司法試験三振に終わってしまったり落ち続けた場合、挑戦し続けることよりも、諦めることのほうが精神的によほど難しいとされます。受験回数制限に行く手を阻まれたことは、人生の方針転換と考えることも、前向きな決断だと思います。
法曹になることへの執念を、次の就職にぶつけるぐらいの気迫を持って取り組めば、きっと道は開けます。
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