2023年04月01日

立つ鳥跡を濁さず~弁護士が転職するとき、引き継ぎはどうすべき?

管理部門・士業の転職

弁護士が転職を考えるときは、大きく2つのパターンが考えられます。1つは弁護士を継続しながら別の職場へ転職する場合と、もう1つは弁護士の仕事そのものを辞めてから転職活動をする場合です。ただ、いずれにしても、未完了の仕事の引き継ぎは行わなければなりません。それでは、弁護士の転職活動時には、どのような点に注意すべきなのでしょうか。

弁護士の転職先は?

弁護士資格という強力なカードを持って転職をすることは、法律をフィールドにする職場を選ぶ限り、一般的な転職よりもずっと有利になると考えられます。

弁護士が転職を考えた時のオーソドックスなキャリアパスは、勤務していた法律事務所から、別の法律事務所に移ったり、独立して新しい事務所を構えたりする場合でしょう。また最近では、企業や自治体などに勤務するインハウスローヤー(企業内弁護士)への転職も増えています。
法律事務所であれば、クライアントの代理人として動くわけですが、企業内弁護士はビジネスや政治の当事者として働けるため、違った魅力があります。コンプライアンスを充実させたり、知的財産権などの企業の権利を積極的に活用したりするため、内部に弁護士を取り込んで味方に付ける企業の需要が増しているのです。
大企業であれば法務部などの専門部署もありますが、中小企業やベンチャー企業なら、弁護士が入ることで新たに法務部を立ち上げることもあるでしょう。また、弁護士任官制度を使って、裁判官に転身する人もいます。

一方で、弁護士という資格に頼らず、新天地に転職する例もあります。弁護士が自身でビジネスを企画して起業することも珍しくなくなりました。弁護士として仕事をしているときに気づいた不都合や社会問題を解決するために起業することもあれば、法律や裁判に関連しないビジネスもあります。
弁護士はクライアントとして多くの実業家・経営者と接する立場であり、ビジネスを身近に感じられる機会が多くあります。さらに、論理的思考力に長けていることから、企業で働く適性や潜在能力は大いにあると考えられます。

他にも、政治の世界に転身する弁護士もいます。こちらも、仕事の中で社会の理不尽さに気付くなどして、法律や条例から変える立場になるべきであると考え、政治家を志すことがあるでしょう。また、最初から政治家を目指していたものの、有権者に一定の信頼性をアピールするため、弁護士の肩書きを得る人もいます。

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弁護士が業務を引き継ぐときの注意点

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弁護士に限ったことではありませんが、別の職場などに転職をするときは、今の職場に居続ける別の同僚や部下などに、まだ完了していない業務の引き継ぎを頼まなければならない場合があります。
弁護士であれば、法律事務所全体として依頼を受けている共同案件と、事務所に勤務しながらも個人で依頼を受けている案件もありえます。どちらのタイプなのかは、事務所や案件の性質ごとに異なりますので、個別に考えなければなりません。

■法律事務所として依頼を受けている場合
チームを組んでいる弁護士の人数が減ったとしても、他の弁護士たちがある程度はカバーしてくれますが、新たにチームに加入した弁護士へ引き継ぎをする必要があります。法律事務所が受任して弁護士単独で進めていた案件ならば、そのまま転職しては業務が完全にストップしてしまいます。よって、他の弁護士へ引き継ぎの手続きを踏むことが欠かせません。

■個人で依頼を受けている場合
弁護士個人としてクライアントから依頼を受けている案件であれば、転職後も引き続いて担当できる可能性があるため、引き継ぎは不要でしょう。

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弁護士業務の引き継ぎ次第では、クライアントとの関係が悪化

もし、適切な引き継ぎができないまま転職してしまったせいで業務の継続が不可能となれば、クライアントと事務所が結んでいた準委任契約を解除せざるをえません。
民法651条2項は「当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない」と定めているため、事務所に多大な迷惑をかけるおそれがあります(同条項は改正されますが、適切な引き継ぎができないと迷惑をかけるおそれは変わりません)。
業務の継続性を保つために、転職を考える際は『立つ鳥跡を濁さず』で、適切な業務の引き継ぎができるようにしましょう。

弁護士業務の引き継ぎが、一般的な事務系業務の引き継ぎと異なるのは、外部のクライアントの存在です。弁護士ひとりで受任した案件で引き継ぎが行われれば、弁護士の変更はクライアントにとって重大な利害関係にある事柄です。よって、クライアントに必ず通知をして、承諾を得るようにしましょう。
共同案件ならば、チームのうち1人の弁護士が入れ替わったとしても、実質的な影響は少ないですが、クライアントに無断で引き継ぎを実行したこと自体が信頼を損ねるかもしれません。この場合も必ず事前に、引き継ぎの事実をクライアントに通知するようにしましょう。

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引き継ぎ時のチェック項目

・案件を進めるために必要な書類や資料はどのようなものがあるか、漏らさず説明し、手渡していますか?(あるいは、どこに保管されているか教えていますか)
・案件がどこまで進んでいるか、今後どのように進めるべきかを、正確かつ具体的に説明していますか?
・クライアントや相手方代理人などの特徴や注意点などの個別事情を、正確かつ具体的に説明していますか?
・引き継ぎが行われる事実を、前もってクライアントに通知し、承諾を得ていますか?

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まとめ

転職して新天地へ赴くのは楽しみでしょうが、前ばかりを向かずに、残された業務にも目を向けなければなりません。たとえ去りゆく職場であっても、責任をもって適切な引き継ぎを行うようにしたいものです。法曹界の中で「いい加減な人間」だとの評判が立てば、転職後の職場でも影響してしまいます。

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