【コラム】 著者デビューというマーケティング

【コラム】 著者デビューというマーケティング

2013/08/13

「ブル弁」という業界用語がある。
「ブルジョワ弁護士」の略称で、プロ野球選手並みの高額収入を得ている人のことを指す。ただ、推測するにこの言葉は、お金を稼ぐことに悩んでいる弁護士が業界内でいかに多いことを示唆しているのではないだろうか。稼いでいる弁護士が自分たちのことをこぞって「俺はブル弁だ」などと勝ち誇るはずもあるまい。羨望なのか嫉妬なのか真相は分からないが、大方、稼ぎが今一つの弁護士たちが、高額収入の同業者に対して名付けたと考える方が自然だと思う。反面、年収200万円以下の弁護士が少数派とはいえ、増加傾向にあることも国税庁の統計で最近明らかになっており、格差の進む中で、いかに勝ち残るか知恵を絞らなければならないのは、弁護士とて例外ではない。

それでも、若くして独立への野望を燃やしている方も多いだろう。しかし独立は大きく稼いで「ブル弁」への一歩になれる可能性もある一方で、クライアントが見つからなければ、たちまち事務所の維持すら危うくなって困窮してしまう。しかも業界内には、ベテランの先生方を含め、多数の競合がいる。法律に詳しく、ただ訴訟手続きなどができると言うだけでは「差別化」ができない。

最近、同じ士業でも会計士や税理士が「チャンスがあれば」と狙っているのが出版デビューだ。それも自費出版ではなく、出版社からのオファーを受け、印税がちゃんと入ってくる商業出版だ。弁護士の仕事柄、なかなか頭を下げて営業するのは難しいが、もし、あなたが無名の弁護士でも顔写真入りでビジネス書を出すことができれば、全国各地の書店であなたの代わりに"営業"をしてくれる。しかも出版による"箔"が付くので、信頼度も増す。

もちろん、出版社も売れる本を書ける著者を優先したい。最近は出版セミナーが盛んで、高額の授業料を払ってエージェントに売り込むビジネスパーソンが増えているが、弁護士といえども本の世界では「無名の新人」。フジテレビアナウンサーから弁護士に転身した菊間千乃さんのように元々知名度がある人は例外として、大多数の若手にとっては企画がポイントだ。若手弁護士なら、ベテランの方よりも業務経験が少ないので、ここでもアイデアが試される。たとえば司法試験などの勉強法はどうだろうか。現在の司法試験は、ベテランの人が受けた頃と制度が違うので、志望者に向け、より実務に即した内容を書くことができるはずだ。

ほかにも人生の「成功体験記」を書くことで、弁護士志望者以外の多くの人にターゲットを広げる狙いも有効だ。金崎浩之さんは「ヤンキー、弁護士になる」(講談社)で、暴走族から大学進学、司法試験合格と這い上がった経験をまとめて執筆、出版した。その後、ワイドショーのコメンテイター出演などメディア露出も増え、2004年の出版当時は一人事務所だったのが、現在は30人近い弁護士を擁するまでに成長した。

離婚対応マニュアル、交渉術、論理的な文章術など、弁護士として培ったノウハウを生かしたネタも多数ある。あなたならではのキラーコンテンツを見付けて、出版社に売り込むことを考えてみてはどうだろうか。

会員登録がまだの方

転職者と求人側の現状や希望をコンサルタントが常に分析。
適職とのマッチングを第一に考え、
マンツーマンで質の高い求人情報をご提供します。

求人をお探しの方

法務・弁護士・弁理士等、法律領域トップクラスの転職サポート実績。企業法務や法律事務所、特許事務所の求人情報が豊富に掲載されています。

登録はお済みですか?

転職者と求人側の現状や希望をコンサルタントが常に分析。適職とのマッチングを第一に考え、マンツーマンで質の高い求人情報をご提供します。