2024年02月07日

弁護士が転職でワークライフバランスの両立をするコツは?【転職成功事例あり】

管理部門・士業の転職

近年日本では、政府が進めている「働き方改革」の影響もあり、出産や育児、介護といったライフイベントやプライベートな生活と仕事を両立する、「ワークライフバランス」の考え方が普及しつつあります。

ワークライフバランスを重視する傾向は、弁護士のような高度な専門職においても同様です。ただ、1日の労働時間が10時間以上になることもざらであり、その実現には難しい面があるのも実情と言えます。

そこで今回は、弁護士が転職によってワークライフバランスを実現し、仕事と私生活を両立させるコツについて考えてみます。

管理部門・士業の転職

弁護士はワークライフバランスの両立ができない?

弁護士はワークライフバランスの実現が難しい職業の1つと言えます。

とくに法律事務所勤務の場合、労働時間は1日平均で10時間以上になることも珍しくありません。
事務所業務に加え、個人受任も請け負っていると、深夜・休日に働き続けることも往々にしてあります。また、仕事ではなくても、法律事務所横断的に弁護士が集まる弁護団の会議、弁護士が集まって行う勉強会などへの参加の機会も多く、そのことも弁護士の「忙しさ」を加速させます。

また弁護士は特殊な専門職であり、給与額は労働時間ではなく受任件数によって大きく左右されます。
働く時間を減らすには自分が担当する受任件数を減らす必要がありますが、その場合、収入減に直結せざるを得ません。
私生活を充実させようとすると、勤務先の法律事務所によっては大幅な収入減を生じさせる恐れもあり、その意味でも弁護士はワークライフバランスの実現は難しいと言えます。

とくに業界内で忙しいとのイメージが強いのは、企業法務系です。中でも多忙なのは上場企業等の大型クライアントから大規模な案件を受けることが多い法律事務所で、弁護士数名のチームにて対応するのが通例です。
クライアントとの打ち合わせに加えてチーム内での会議も頻繁に発生し、労働時間が長くなることが多いです。

ただ近年、国を挙げて働き方改革が進められる中、弁護士業界においてもワークライフバランスに配慮した働き方に注目が集まっています。しかし、日弁連で育児期間中の会費免除制度が始まったのも2015年からと、事業会社と比較すると働き方改革は遅れていると言えます。改善されつつありますが、子育てと両立しながら働く、といった就労環境が整っていない場合もあります。


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弁護士がワークライフバランスを改善しやすい就業先

弁護士がワークライフバランスを改善する場合、どのような職場を選択すべきでしょうか。以下で、それぞれの勤務先における注目ポイントをご紹介します。

一般企業

企業の法務部などで企業内弁護士として勤務する場合、勤務先の規模・役職によっても変わりますが、基本の労働時間は8時間、月当たりの残業時間は20~30時間前後となるのが一般的です。ただし大企業だと株主総会が開催される時期、M&Aをする時期などは繁忙期になり、月の残業時間が40時間を超えるケースもあります。

最近では法務部門でもフレックス勤務、在宅勤務などを導入する企業が増えていて、ライフスタイルに合わせた働き方がしやすいところも多く見受けられます。また、産休や育休、育休後の時短勤務などの支援制度が設けられているのが通例であり、慶弔休暇や介護休暇など、多様な休暇制度を導入している企業も多いです。

ただ、こうした支援制度が充実しているかどうかは、企業によって異なるので注意が必要です。ワークライフバランスの実現のために転職先を検討する場合、この点を事前に吟味しておくとよいでしょう。フレックス勤務制度についても、採用初年から利用できなかったり、制度の運用状況が公表している内容と異なっていたりすることもあり、事前の十分な情報収集が欠かせません。

企業法務系法律事務所

企業法務系の法律事務所は、事務所の規模が大きいほど多忙になるのが一般的です。たとえば五大法律事務所(西村あさひ法律事務所、アンダーソン・毛利・友常法律事務所、長島・大野・常松法律事務所、森・濱田松本法律事務所、TMI総合法律事務所)の場合、帰宅時間が日をまたいだ深夜になることも多いと言われています。土日勤務も珍しくなく、どちらか一方はフルタイム勤務になるのが通例です。まとまった休みが取れるのは、年末年始くらいになるようです。

ただしこうした就労状況は、勤務先の法律事務所におけるどのパートナーの下で働くかによって変わります。また、同じ企業法務系法律事務所でも、ジェネラルコーポレート(顧問業務)を中心に扱っている事務所だと、業務量の調整や見通しがしやすく、比較的ワークライフバランスを実現しやすいです。

民事系法律事務所

民事系法律事務所は勤務先によって働き方は大きく異なりますが、一般的な勤務時間は10~12時間ほどで、午前9時から勤務した場合、午後21~22時頃に帰宅するというケースが多いです。
やはり一般企業に比べると忙しいという印象ですが、刑事事件を受任した場合や、クライアントとトラブルが起こったときは、さらに忙しさが増すこともあります。

ただ近年では、時短勤務を認めている事務所も増えているようです。ライフワークバランスを重視して転職先を探す場合は、時短勤務の有無を尋ねてみるのも1つの方法と言えます。

弁護士が転職でワークライフバランスを改善するためのコツ

弁護士が転職でワークライフバランスを改善するためのコツ

弁護士がワークライフバランスを重視して転職活動をする場合、注意すべきポイントとして以下の2点を挙げられます。

自分にとって「ワークライフバランスが整っている状態」を明らかにする

転職活動を始める前に、「自分にとってワークライフバランスが整っているとはどのような状態なのか」を明らかにしておく必要があります。というのも、人によって理想とするワークライフバランスのあり方に違いがあるからです。

たとえば子育てをしている方の場合、朝夕の保育園への送り迎えができることが、ワークライフバランスが整っている状態となるでしょう。
あるいは独身の弁護士の場合、旅行のためのある程度まとまった休みが取れる状態が、ワークライフバランスが整っていることの条件として考えるかもしれません。

自分にとって望ましいワークライフバランスを明確にしておくことで、転職時に設定すべき就労条件が明らかになります。
つまり、自分の希望を認識することが、ワークライフバランスを整える上での大切なポイントになるわけです。この点があいまいなままだと、転職時には「ワークライフバランスが取れる職場に転職できた」と思っていても、働くうちに条件が合わないことに次第に気づくこともあります。そして早々に再転職を考えるようになる、という事態も起こるので注意が必要です。
失敗のない転職活動を確実に行うなら、専門の転職エージェントを利用することをお勧めします。

業務内容や労働条件を確認する

ワークライフバランスが取れる転職を成功させるには、事務所・企業が提示している求人票・求人情報の内容をしっかり確認することが大事です。

たとえば、一般的な傾向として企業法務系法律事務所は民事系法律事務所よりも忙しい傾向にありますが、それはあくまで全体としてみた場合の特徴であって、個別にみると必ずしもそうとは限りません。
企業法務系法律事務所であっても、ルーティン業務がメインの顧問業務が中心となる職場であれば、比較的業務量の調整はしやすいです。同様に民事系法律事務所であっても、刑事事件の受任が多かい事務所であれば、繁忙時期が多くなります。

こうした個別的な状況を正確に把握するためにも、求人票・求人情報の内容は細かくチェックしましょう。
法律事務所の場合、事務所がメインとしている業務内容を確かめると、繁忙期が多いかどうかをある程度予想できます。
求人票・求人情報内に、採用後に担当してもらいたい仕事内容・案件が具体的に記されていることもあります。その場合は、その内容からワークライフバランスの取れた働き方ができるかどうかを予測できるでしょう。
そのような具体的な情報を得るためには、専門の転職エージェントを活用することをおすすめします。より情報収集がしやすく、スムーズに転職活動を進められます。


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ワークライフバランスの改善を成功させた転職事例

転職によりワークライフバランスを実現した成功例を3つご紹介しましょう。

キャリアアップと家族との時間の両立を実現した転職例

Aさん(30代前半・男性)はかつて個人経営の民事系法律事務所に勤務し、民事および刑事事件を担当していました。
その後、企業法務の分野でキャリアアップを図りたいと希望し、企業弁護士として事業会社に転職。しかし転職後、想像以上に業務量が増えてしまい、慢性的に残業が発生するようになりました。そこで、自分が企業法務の弁護士としてキャリアアップを図れる一方で、家族との時間も大切にできるという「両立」を目指し、再度転職することを決意するに至ります。

Aさんは転職活動の結果、東証プライム市場に上場している企業から内定を獲得。前回の転職時に残業時間や業務時間のチェックが疎かになっていたため、今回の転職ではその点をしっかりとチェックしました。面談の場でも懸念点を払拭できるように質問をし、最終的に希望条件に合った職場から内定を得ることができました。年収面についても、それまでの業務経験が高評価を受け、希望額を上回る額を提示されています。

Aさんはいわゆる大企業への転職に成功したわけですが、Aさん自身、「大手企業は忙しい」という先入観があったそうです。
しかし近年、上場企業では働き方改革が進められ、ワークライフバランスを取れるような就労環境を整えつつあります。在宅ワークや時短勤務、フレックスタイム制といった柔軟な働き方も、経営資源が限られる中小企業よりも、大企業の方が積極的に進めている部分もあります。Aさんは転職活動を始める前にしっかりと情報収集を行い、大企業であってもご自身の希望に合う就労条件で働けることをチェックしていました。

仕事と子育ての両立は可能?インハウスへの転職を実現したママさん弁護士!

Bさん(31歳・女性)は中小法律事務所に勤務し、企業法務をメインとしつつ、民事や刑事事件も担当して多様な経験を積んできました。
しかし、結婚・出産を機に育児休暇を取得して仕事に復帰したものの、残業が多く家庭・育児との両立ができないために転職を決意します。ただし転職するにあたって、ワークライフバランスが取れることに加えてキャリアを落とさないことも条件に設定して、転職活動を開始しました。

キャリアを落としたくないとの理由から、転職活動先は上場企業を中心に実施しました。また語学が得意であることから、グローバル企業であるかどうかも判断基準として設定したそうです。最終的にBさんが転職先に選んだのは、大手商社でした。グローバルな法務経験を積むことができ、さらに自分の裁量で仕事を進めることができるので、育児との両立が可能という、まさに理想的な職場に出会ったのです。

以前は女性で子育て中の弁護士の場合、仕事と育児の両立は難しいことが多かったと言えます。
しかし現在では、多くの企業が働き方改革を進め、子育て中の女性が働きやすい職場づくりに注力しています。育児と仕事の両立をしたいというBさんの希望は、まさに日本企業が取り組みを進めている働き方改革の内容と合致するものであり、時代の流れうまく乗った形になった、とも言えるでしょう。

ワークライフバランスの改善・英語力を活かした働き方を実現したい!30代・女性弁護士の事例

Cさん(35歳・女性)は上場中堅メーカーに勤務していましたが、慢性的に残業が続く状況が続いたことから、家族との時間を確保できる職場への転職を決意します。また仕事面においても、Cさんは働きながら英語の勉強を続けていたことから、語学力を活かせる職場という条件を設定します。
プライベートを大切にできること、ご自身の能力を発揮できること、という2点の実現を目指して転職活動を始めました。Cさんとしては年収面の優先順位は低く、それよりもワークライフバランスの改善と働きがいを重視したそうです。

Cさんは求人情報の中から、英語を活かせること、残業時間が短いこと、育児中の女性が働きやすいことを実現できる企業に絞って応募を行ったところ、グローバル系企業から高評価を受けます。その中から最も希望条件に近いグローバルメーカーから内定を得ることに成功しました。

転職先に選んだ企業ではCさんと似た状況下で勤務している方が多く、入社後のイメージがしやすかったことも決め手になったと言います。当初、年収アップは重視していませんでしたが、英語スキルが高い点が評価され、年収アップも実現できました。

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まとめ

弁護士業界でも、ワークライフバランスを重視する傾向が強まりつつあります。しかし、なにを「ワークライフバランスが実現されている」と感じるかは人によって異なるので、まずはご自身の希望条件を明らかにしておきましょう。

また、弁護士の勤務先となる法律事務所・企業法務部により、実現できるワークライフバランスは違ってきます。転職活動を行う際は、自分の希望条件に合った職場を見つけられるように、求人票・求人情報の内容をしっかりと確認しましょう。より効率的に情報を集めるには、専門エージェントを活用するのが合理的です。

管理部門・士業の転職

この記事を監修したキャリアアドバイザー

林 良樹

大学卒業後、カーディーラ・小売業を経験し、2008年からMS-Japanでリクルーティングアドバイザーとキャリアアドバイザーを兼務しております。

会計事務所・監査法人 ・ コンサルティング ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ USCPA ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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