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食えない弁護士が増えているって本当?格差が広がっている弁護士の実情【コラム】

2018年02月02日

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難関の司法試験を突破した人のみがなれる弁護士は、かつてはステータスだけでなく収入面でも花形なイメージの強い職業でした。しかし、近年は一般的なサラリーマンよりも収入が少なく苦しい状況にいる弁護士も一部で存在します。今回は、格差が広がる弁護士の実情について紹介します。

食えない弁護士が増えた背景とは?

まず、なぜ今「食えない弁護士」が生まれて問題になっているのでしょうか。

これには国の司法制度改革が大きく影響しています。改革の一貫で法曹人口を大幅に増やす路線に舵が切られ、新制度が導入された2006年から司法試験の合格者が大幅に増加しました。しかし、法曹三者のうち裁判官や検察官になれる人数は限られているため、必然的に弁護士になる人が増えたのです。

日本弁護士連合会(日弁連)によると、全国の弁護士数は1996年には15,456人でしたが、20年後の2016年には約2.4倍の37,680人まで増えています(※1)。弁護士の数が増えれば案件受注競争は激化します。

また、弁護士白書2015年版よると、弁護士の数の増加と時期を同じくして弁護士の収入(中央値)に減少傾向が見られます。2006年は2,400万円でしたが、2014年には1,430万円に減少しました。さらに経験年数別で見ると、5年未満の若手弁護士の収入(中央値)は、2006年は970万円でしたが、2014年は675万円まで下がっています(※2)。

さらに弁護士が取り扱う案件の内容も大きな転機を迎えました。2000年代後半から、債務者が消費者金融に対して払いすぎた利息の返還を求める「過払い金返還請求」の依頼が弁護士のもとに数多く舞い込みました。これは弁護士にとって手間をかけずに高額な報酬が手に入る割りの良い仕事であり、多くの弁護士がその恩恵を受けて潤いました。しかし2010年代に入ると過払い金バブルも収束に向かったのです。

このように、弁護士=高収入というイメージも今となっては必ずしもイコールで成立するものではないようで、収入面で厳しい状況に置かれている弁護士も少なくありません。

就職難で「食えない弁護士」に

では、弁護士の格差はどこで生まれているのでしょうか。

司法修習を終えた弁護士志望者は法律事務所に就職して先輩の下で実務を学ぶ道が一般的ですが、志望者が増えすぎて就職できない人が現れている問題があります。志望者同士での競争の激化に加えて、弁護士事務所側も採用に消極的になっています。これは東京や大阪といった都市部だけではなく、地方で就職を目指す人にとっても深刻な課題です。

就職活動に失敗した人の中には司法修習を終えていきなり開業する、いわゆる「即独」の道を歩む人もいます。しかし、独立して事務所を構えるにはまとまった開業資金や当面の運転資金が必要になります。それに実務経験がゼロでいきなり案件を受注して仕事を軌道に乗せることは難しく、経済的に苦しい状況に陥りやすいと言えます。「食える弁護士」になるためには、まずは就職活動で明暗が分かれるのです。

また、法律事務所に就職できても年収が300万円以下の弁護士も存在しており、弁護士の間でも社会的な問題として解決が必要だと訴える声が上がっています(※4)。

「食える弁護士」とは?

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では、「食える弁護士」になるためにはどうすればいいのでしょうか。

バリバリ働いて1年目から高額収入を得たい人は、弁護士業界でトップクラスを誇る五大法律事務所への就職を目指す方法があります。司法修習生の中でも一握りのハイレベルな人しか入れない難関ですが、1年目から年収1,000万円クラス、長年勤めて力をつけて昇格すれば年収1億円も目指せるという世界が広がっています(※3)。当然、報酬に見合う働きぶりが求められ、連日深夜まで仕事中心の生活となるでしょう。各事務所とも異なる得意分野や風土があるため、自分の目指す方向性や適性に合った事務所を選んでスキルアップに励めることもメリットです。

一方、近年は若い世代を中心に「高額な報酬は魅力的だけれど、家庭や趣味などプライベートを犠牲にしたくない」というワーク・ライフ・バランス重視派が増えています。弁護士業界も同様で、このようなタイプが選ぶ「ある程度食えて安定している」道として「企業内弁護士(組織内弁護士)」が注目を集めています。顧問弁護士とは違って組織の一員(社員や公務員)という立場になり、商社・銀行・証券会社などの企業や国・自治体でコンプライアンスや訴訟に関する業務を担うものです。企業内弁護士のうち約8割を弁護士経験10年未満の若手が占めています(※5)。

収入面では、事務所に所属する一般的な弁護士よりも少ない傾向がありますが、「残業が少なく休日も確保しやすい」という働きやすさが魅力です。競争が激化した弁護士業界で、安定した収入を確保しつつ時間のゆとりも手に入る進路として今後さらに注目を集めていきそうです。

まとめ

弁護士を目指している方は「困っている人の役に立つ、やりがいのある仕事がしたい」「こんな案件に携わりたい」という夢や希望を抱いていることでしょう。これらももちろん大切ですが、自分自身の生活が立ち行かないような弁護士では依頼者を支えることは難しいでしょう。将来の進路を考える際は、どうすれば「食える弁護士」になれるのかという視点も忘れないでください。

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<参考>
※1 弁護士白書 2016年版
※2 弁護士白書 2015年版
※3「週刊ダイヤモンド」 ダイヤモンド社 2017年2月25日号
※4 東京新聞「司法試験合格者の大幅減を 県弁護士会が日弁連に要求」(2017年6月28日)
※5 NIBEN Frontier 2016年6月号

 

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