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弁護士がベンチャー企業に就職して働くのは、無謀なのか?【コラム】

2018年03月14日

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弁護士人口の増加に伴い、法律事務所の独立開業を最終目標とせず、会社などの組織に所属するインハウスローヤー(組織内弁護士)という働き方が注目を集めています。
それも大企業の法務部ではなく、ベンチャー企業のインハウスローヤーを希望する弁護士も増えています。なぜ、このような潮流が起きているのでしょう。

現時点での大企業よりも希望を抱ける?

離婚、交通事故、刑事裁判、自己破産...弁護士業務というのは、ともすれば後ろ向きな案件に関わることが多いように思えます。
一方で、ベンチャー企業の経営支援は、前向きで明るいイメージがあり、若手の弁護士の間でも注目されているジャンルだといえます。社会にイノベーションを起こそうとチャレンジ精神に溢れています。

大企業のインハウスローヤーも安定しているという点が魅力的ですが、今後も安定した状況が続くとは限りません。同じ不安定さで言えば、ベンチャー企業に関わるほうが夢や希望を感じられるのではと考える弁護士は、決して少なくないでしょう。

では、法律事務所として外部から支援するのと、インハウスローヤーとして内部から支えるのとでは、何が違うのでしょうか。

法律事務所によるベンチャー支援とは、何が違うのか

法律事務所としての支援は、いわゆる顧問契約に基づくものが大半でしょう。
しかし、ベンチャー企業の運営で重要なのは「スピード感」です。企業の進化は、法律の変化などよりも遥かに速いスピードで展開していきます。

「今日と明日は法廷なので、あさっての午後イチからなら大丈夫です。」という調子では、まったく間に合いません。外部の顧問弁護士なら、どんなに頑張ってもせいぜい1日数回のやりとりかもしれませんが、組織内弁護士なら長短含めて数十回のディスカッションができる可能性があります。
また、Skypeやチャットアプリなどで、臨機応変な形で連絡を取り合うことができるのも、組織内弁護士ならではの強みといえるでしょう。

とはいえ、いくらベンチャー企業のメンバーがこぞって「イノベーション」を叫んでも、法律などの社会ルールは、国会議員が制定に関わる限り、そう簡単にイノベーションを起こせるわけではありません。
ただ、ルールに制約があるからこそ、その障壁の中で新たなイノベーションが生まれるものです。弁護士の役割は、先例が何もない世界で言葉ひとつにこだわり、悩み続け、そのベンチャー企業が、今現在許されているルールにおいて羽ばたける最大飛距離を見通すことです。しかし、悩みは抱きつつも、解決へのスピード感を忘れてはなりません。その点が、ベンチャー企業の組織内弁護士を務める難しさであり、同時にかけがえのない魅力だといえるでしょう。

ベンチャー組織内弁護士は、「リスク」すらも味方につける

20180314column-2.jpgもうひとつの特徴は、リスクの取り方でしょう。
弁護士は、その教育段階から「リスク回避」の発想が徹底して染みついています。法科大学院や司法試験では、常に「過去」の基準に照らし合わせ、既存のルールをヒントに現在の問題を解決しようとします。そこで個性を発揮しても好成績に結びつかないことも心得ています。

もちろん、既存のルールにこそ法的強制力が備わっているので仕方ないのですが、その過去に依存した発想が割りきりではなく、その弁護士の生き方にまで浸透しているとしたら、少なくともベンチャー企業のインハウスローヤーには向いていないかもしれません。

ベンチャー企業の経営者の中には、比喩的にいえば「丁か半か」で、50%程度で失敗しうるリスクを取っている人もいるはずです。そのような大胆なリスクの取り方を許せない弁護士は、別の領域で活躍したほうがいいでしょう。

ベンチャー企業は、「過去に正解はない」「未来に絶対はない」ことを前提として動いているところが多いので、その中では弁護士らしい発想が邪魔になることがあります。もし、そのような厳しい場でインハウスローヤーとして力を発揮させたいのであれば、必要以上の勉強がむしろ害悪になることも十分にありえます。

余談や思い込みを避けて、現在進行形で起こっている出来事を受け入れ、謙虚な姿勢で臨むことが求められます。

かといって、その立場上、現状の法律や過去の最高裁判例を無視するわけにもいきません。過去を振り返りながらも、明るい未来に向けて積極的にリスクを取っていく逞しさが求められます。

海外ベンチャーにも活躍の場がある

海外展開を目指すベンチャー企業にとっても、法律的な発想を身につけている人材は重宝されるはずです。貿易取引や、現地法人をつくる手続き、あるいは現地法人とのジョイントベンチャーを立ち上げる手続きなどで、法律的な知見がどうしても必要となるからです。
もちろん、日本の法律だけでなく、企業が進出しようとする先の法体系まで新たに勉強する柔軟性が大切です。それさえできれば、弁護士資格を活かして活躍できる場は、どこまでも広がっていくでしょう。

<参考>
・「法学セミナー」 2015年11月号 "私の仕事 法つながり"
・「企業診断」 2016年4月号 "シリーズ 挑戦する経営者 鬼頭政人さん"(2017年5月29日 朝日新聞朝刊)
創業手帳web-ベンチャー企業にとって「いい弁護士」の選び方とは?

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