弁護士が身に付けるべき営業方法とは

更新日:2023/04/01
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弁護士が身に付けるべき営業方法とは

管理部門・士業の転職

2000年以降、弁護士業界でも広告規制が解禁され、自らホームページで得意分野などをアピールしたり、大手弁護士事務所ではCMを流したりすることが多くなっています。
しかし、事務所に所属している弁護士の方は個人のブログを立ち上げるなど、広告等で宣伝をすることは難しいでしょう。
個人の弁護士として集客するための営業方法には、どのような手段があるでしょうか。

なぜ、弁護士の営業活動は難しいのか?

一般に、弁護士の営業活動は難しいといわれます。
その理由として、

1. ほとんどの弁護士は営業経験がない
2. 弁護士が営業活動することでイメージ悪化の可能性も
3. 提供するサービスが高額

の3つがあげられるでしょう。

1. ほとんどの弁護士は営業経験がない

弁護士の営業活動が難しい理由の第1として、「ほとんどの弁護士は営業経験がない」ことがあげられます。
弁護士は、弁護士になる前に、企業などでの営業経験がない人がほとんどであるのは、いうまでもありません。
そして、弁護士になってからも数年~10年くらいは、ほとんどの人にとって営業の機会はありません。

それは、弁護士事務所の組織体制がパートナー制度だからです。
パートナー制度では、勤務弁護士は、パートナーが受注した案件を確実に処理することを求められます。
自分自身で営業活動をすることなど、まず求められることがありません。
したがって、ほとんどの弁護士は、パートナーとして独立することになって初めて、営業活動に直面することとなります。

2. 弁護士が営業活動することでイメージ悪化の可能性も

弁護士の営業活動が難しいのは、弁護士が営業活動することでイメージが悪化する可能性があることも理由としてあげられます。
一般に、弁護士が案件を受注するのは、依頼者が刑事事件や、交通事故・借金・離婚・相続問題・労働問題など民事事件のトラブルに巻き込まれたときとなります。
弁護士は、いわば、不幸に直面した人を救済する立場にあるといえるでしょう。

それだけに、弁護士は、営業活動をする際にも品位が求められることになります。
あまり積極的な営業手法は、「不幸を飯のネタにしている」と捉えられ、反感を買ってイメージが悪化することになりかねません。
そのために、弁護士の営業活動は、どうしても受け身にならざるを得ないところがあります。

3. 提供するサービスが高額

提供するサービスの価格が、最低でも「数十万円」となり高額であることも、弁護士の営業活動が難しい理由の1つです。
一般に、価格が高額になればなるほど、そのサービスを購入するための意思決定には時間がかかります。
そのために、弁護士の営業活動は、より高度なテクニックが要求されることになります。

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差別化し独自のポジションをとることが大事

弁護士が営業活動を行うにあたっては、マーケティングをしっかりと行うことも大事です。
マーケティングとは、「売れる仕組み」を作ることです。

「現代経営学の祖」と呼ばれる経営学者ピーター・ドラッカー氏は、
「マーケティングの目的は販売活動を不要にすることにある」
と述べています。
マーケティングをしっかりと行うことにより、弁護士の営業活動をより容易なものにすることも可能です。
マーケティング戦略を立案する基本的な手順は、次のようになります。

1. 市場を分析し、顧客を特性ごとに細分化する(Segmentation)
2. 自分の事務所がターゲットとする顧客を決める(Targeting)
3. 競合と差別化できる独自のポジションを確立する(Positioning)

1. 市場を分析し、顧客を特性ごとに細分化する(Segmentation)

マーケティング戦略を立案するにあたって最初にしなければならないのは、市場の分析です。
地域や業種、企業規模、サービス内容、ニーズなどの特性ごとに、顧客を細分化していきます。
これまでは「一般民事」として括られていた領域も、実は、交通事故や借金、離婚、相続などに細分化することができます。
「労働問題」などについても、労働者側、使用者側に分けられます。
市場を分析することにより、どのような顧客のニーズが市場にあるのか、明確にすることができます。

2. 自分の事務所がターゲットとする顧客を選ぶ(Targeting)

次に、細分化した顧客ニーズのなかから、自分の事務所がターゲットとするものを選びます。
ターゲットを選ぶ際には、事務所の強みを生かせること、および競合が少ないことを考慮することが大切です。
一般に弁護士は、「法律問題なら何でも扱う」と考えがちです。
しかし、法律トラブルが複雑化・専門化している今日では、弁護士が自分の専門分野・得意分野をきちんと持っていることは重要です。

3. 競合と差別化できる独自のポジションを確立する(Positioning)

マーケティング戦略を立案するうえで最後にやらなければいけないことは、自分の事務所を競合と差別化できる独自のポジションを確立することです。
独自ポジションを検討するにあたっては、そのポジションが顧客のニーズを本当に満たすことになるのか、および内容面や価格の面で顧客に受け入れられるのか、を考慮することがポイントとなるでしょう。

法律事務所のポジショニングの例として、
知名度を高める…著名な学者や最高裁判所の判事経験者を事務所に迎えたり、大きく報道などがされているよく知られた事件の依頼を受ける
顧客満足度を高める…事務所のメンバーにトレーニングを実施したり、雇用や昇進の体制を顧客中心としたものに改める
などがあります。

また、確立したポジショニングを、顧客に対し、明確な言葉で伝達することも同時に必要となってきます。

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弁護士の営業方法について

1.弁護士相談サイトを活用する

依頼がたくさん舞い込むような集客のできる弁護士になるには、弁護士である自分という存在を世間に知ってもらうことです。
同時に、経験値を上げるため数多くの相談をこなすことが必要です。

すぐに始めることができる方法として、インターネットの弁護士サイトを活用するという手段があります。
これは、一般の人がオンライン上で弁護士に無料で法律トラブルを相談できるポータルサイトです。既存の弁護士相談サイトが複数あり、多くの弁護士が利用しています。
プロフィールや取り扱い分野、経歴などを書いて登録し、オンライン上で一般の人からの質問に回答します。
相談件数をこなして適確な回答をするほど人気弁護士としてランキングされ、自ずとアピールすることができます。
回答の要領をわかりやすくまとめ、法律知識がない人にもわかりやすく説明することは、自分にとっての勉強にもなります。

2.無料相談をこなす

現在、初回に限り相談料無料という法律事務所も増えてきました。
弁護士費用は高額というイメージがあるため、有料の場合は相談しない人でも無料であれば気軽に相談してみようという人もいるでしょう。
しかし、その中には深刻な法律トラブルや金銭問題が含まれているかもしれません。
無料の場合、30分から1時間という制限があることが多いです。
しかし、限られた時間の中でも依頼者が気付かない問題点を把握し、整理するよう努めます。法的に解決できる案件であれば正式な依頼につなげられるよう、弁護士が入ることによる解決の糸口を示してあげましょう。
無料相談の場合は正式依頼につながらないことも多い為、時間のロスだと感じることもあるでしょう。
しかし若手弁護士の場合、まずは相談を数多くこなして経験を積むことが大切です。
どのような依頼でも誠実に対応しましょう。

3.地域内での関係性を深め、講演会なども引き受ける

大都市にある法律事務所や大手の事務所に勤務していても可能な範囲で地域性を大事にするべきでしょう。
地域のコミュニティに積極的に参加し、住んでいる人たちと交流することで、地域内での人間関係を徐々に築くことができます。
その結果、地方公共団体や地域の団体が主催する講演会やセミナーの依頼がくることがあるかもしれません。
地道な活動に思われますが、口コミ力というものは以外と強いものです。信頼関係は地道な活動により生まれてくるのです。

4.異業種交流会などに参加し、人脈を広げる

弁護士は、業務以外で他の職業の人たちとあまり交流しない、したがらないという人も多いです。
しかし、これからは営業活動の一つとして、異業種交流会などがあれば積極的に参加し、他の業種の人とも話す機会をもつことが必要です。
特に企業に所属している人と接点を持つことで、企業法務の案件を得る機会があるかもしれません。
また、様々な人と交流してコネクションを作ることで、ビジネスチャンスが増えます。

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一番の「営業」は、弁護士としての業務をしっかりこなすこと

司法制度改革でロースクール制度ができたことにより、弁護士の数は年々増え続けています。
今後は弁護士といえども顧客を自ら集める営業力がなければ、弁護士としての仕事を続けるのは厳しいでしょう。
広告やCMが解禁され、弁護士としてのアピール方法が広がったことにより、弁護士に対する世間のイメージは変化したかもしれません。
しかし、弁護士業務の本質は変わりません。

自分の能力やキャパに合わない仕事を引き受けて業務の質が落ちるのは本末転倒であり、依頼された仕事に対し責任を果たすことが重要です。
この積み重ねこそが、次の依頼につながる一番の「営業」とも言えるでしょう。

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まとめ


弁護士として依頼を受けるためには、法律事務所としてどのような業務を担当しているのか、ホームページや広告、無料法律相談などで情報提供し、一般の人に幅広く認知してもらうことが必要です。

しかし、最終的に弁護士に依頼するかどうかは、結局のところどの事務所に所属しているかではなく、その弁護士の姿勢や人間性を信頼できるかどうかではないでしょうか。 そのためには、受けた依頼を一つひとつ誠実にこなし、弁護士としての経験を積み重ね、知識を増やしていくしかありません。
さらに、聞き方や話し方などを含めた個人としての資質や人格を磨き、弁護士としての総合力も磨いていくことが大切です。

<参考>
日本弁護士連合会『小規模法律事務所におけるマーケティング戦略』

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