2018年06月21日

法律事務所で働く弁護士の残業は?9時5時説は本当?

管理部門・士業の転職

弁護士は自由業のエリートで、残業や休日出勤とは無縁なイメージがあります。実際には、どのくらい残業しているのでしょうか。いわゆる「定時」で上がれることはあるのでしょうか。今回は、法律事務所で働く弁護士の残業事情についてご紹介します。

弁護士に残業はあるのか?

そもそも、弁護士に残業があるかないかを問題にする場合、法律事務所や企業に雇用されていることが前提です。つまり、労働基準法が適用される「労働者」であって、職場の責任者による指揮命令に服するかどうかです。

労働基準法9条は、「この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(※中略)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう」と定めています。

独立開業して自身で法律事務所を立ち上げている弁護士に、残業という概念はありません。自分自身の意思や裁量で働くことができるからです。

起業したり招かれたりして、企業の代表や役員となっている弁護士も同様です。大手法律事務所であれば、「パートナー」と呼ばれる弁護士は、法律事務所の共同経営者を意味するために、やはり残業は問題になりません。

労働基準法32条は「使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない」「使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない」と定めています。

この基準を超えて働く場合が、残業(時間外労働)というわけです。

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法律事務所に勤務する弁護士の方が、残業が長い

やや古い統計となりますが、2010年の日本弁護士連合会が「弁護士の活動実態」について調査ならびに集計した際、「弁護士の就労時間(1週間の平均)」もまとめています。

その統計によると、弁護士の週の平均就労時間は、46.5時間となっています。単純計算で週6.5時間の残業です。月あたりに直すと約200時間ですので、40時間ほどの残業をしていることになります。

この統計は、法律事務所内における「地位」ごとの就労時間も集計しています。
1人の弁護士が切り盛りする法律事務所の場合、週に40~49時間の時間外労働をしていると答えた人が、全体の28.9%を占めていて、週60時間以上の時間外労働をしているのが13.5%、そのうち、週80時間以上が1.5%となっています。

週80時間であれば、平日に1日16時間働いていることになり、休日出勤をしていると考えられます。

複数の弁護士が所属する法律事務所のボス弁も、週に40~49時間の時間外労働をしていると答えた人が全体の30.2%を占めていて、定時か毎日平均1~2時間の残業をしていることが標準的となっています。週60時間以上の時間外労働をしているのが20.3%、そのうち週80時間以上が2.1%となっています。

一方で、法律事務所の勤務弁護士(アソシエイト)の場合は、ピークが上へ移る傾向が見られます。週に40~49時間の時間外労働をしていると答えた人が、全体の22.2%となっている一方、50~59時間の時間外労働をしていると答えた人が、全体の29.0%となっており、ここにピークが来ているのです。毎日平均2~4時間の残業をしているのが平均となりますので、かなりの長さといえるでしょう。
週60時間以上の時間外労働をしている勤務弁護士が30.7%、そのうち、週80時間以上が4.0%となっています。

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ある程度経験を積んだアソシエイトが、長く残業する傾向

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 法律事務所で働く弁護士の勤務時間が長くなりがちなのは、新人でもなくベテランとまでもいえない、キャリア5~15年ほどの中堅というべき勤務弁護士(アソシエイト)です。
新人の弁護士は、依頼の件数自体がそれほど多くなく、複雑な事件も任されないため、要領を掴むことができれば、定時で帰ることも十分に可能です。

一方で、業務に慣れて精通したベテラン弁護士も、残業は少なくなる傾向にあります。法律事務所内の他の弁護士に案件を任せることができ、任せた仕事の出来映えを事後的にチェックする管理業務の役割に専念できるためです。あるいは、若手弁護士の教育係となったり、ともに訴訟案件に取り組んだりすることもあることから、実質的な労働負担は軽くなり、残業も減るでしょう。

そこで、いずれでもない中堅の弁護士は、処理能力のわりに多くの仕事を抱え込みがちになってしまい、残業時間が長くなることが考えられます。長時間労働が慢性化しないよう、法律事務所内でチームを組める案件は手分けして取り組む工夫も大切となります。

一方で、労働事件を多く扱う法律事務所では、クライアントに範を示す意味でも、残業や休日出勤を例外扱いとして、なるべく1日8時間で帰宅するように心がけ、「ワークライフバランス」を確保している傾向が見られます。

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まとめ

相談や依頼があるクライアントの都合に合わせて、休日に対応しなければならない場合もあります。顧問先で逮捕や刑事訴追などが行われれば、深夜や早朝、休日にも駆けつけなければならないこともありえます。人脈を広げるためにも、ゴルフやパーティなどに参加し、積極的に交流すべき場面もありえます。
相手あっての弁護士業務ですので、プライベートの時間を十分に確保できない時期がある点は、やむをえないところもあるでしょう。

弱い立場に置かれた人の味方となり、社会正義を実現するため、長時間業務がやむを得ないケースも多い弁護士ですが、健康管理にも十分気をつけるようにしたいものです。

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<参考>
日本弁護士連盟-弁護士の活動実態

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