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弁護士が社会保険労務士の資格を取得するメリットとは

2018年10月30日

弁護士が社会保険労務士の資格を取得するメリットとは

社会保険労務士は、健康保険や年金、労働保険、企業労務管理などに関するコンサルティングなどを行う法律系の国家資格です。この社会保険労務士を、弁護士が取得する「ダブルライセンス」として注目されているようです。そこには、どのようなメリットがあるのでしょうか。

社会保険労務士の資格取得方法

弁護士には、税理士と弁理士の業務を無条件で行うことができる特権があります(弁護士法3条2項)。よって、弁護士は税理士試験や弁理士試験を受験せずに、これらの資格者として正式に登録することができるのです。

しかし、同じ法律系資格でありながら、弁護士は社会保険労務士の業務を無条件で行うことはできません。よって、社会保険労務士試験に合格して初めて、弁護士は社会保険労務士とのダブルライセンスで名乗ることができ、双方の職域で業務を行えます。

社会保険労務士試験は、年に1度実施されます。大学卒業者や、未卒者でも一般教養科目の取得を終了している者に受験資格が与えられていますので、弁護士であれば問題なく受験できるでしょう。

社会保険労務士の受験科目は、次の通りです。

  • 労働基準法
  • 労働安全衛生法
  • 労働者災害補償保険法
  • 雇用保険法
  • 労務管理その他の労働に関する一般常識
  • 社会保険に関する一般常識
  • 健康保険法
  • 厚生年金保険法
  • 国民年金法

司法試験の選択科目で労働法がありますので、労働法選択出身の弁護士であれば、労働基準法などの知識は持っているでしょう。また、日常業務の中で労働事件を受任した経験がある弁護士や企業の顧問を務めていることが多い弁護士も、労務管理になじみがあるはずです。ただ、保険関連の法制度には馴染みがないことが大半でしょうから、受験準備として改めて学習する必要があります。

試験形式には、択一式と選択式があります。択一式では、5つの選択肢から1つを選びます。また、選択式はいわゆる「文章穴埋め問題」であり、当てはまる言葉を組み合わせて回答します。いずれの形式も、司法試験の択一式試験で馴染みがあるはずです。

ただし、8問ある選択式で、1問でも正答基準を満たさないと、足切りによる不合格となりますのでご注意ください。特に選択式では、苦手科目の穴を作らないようにするなど、より安定的な得点力が求められます。

2017年度の実績では、受験者数が38,685人、そのうち合格者は2,613人、合格率6.8%という難関です。司法試験のような論述式の出題が存在しないため、受験対策の負担は比較的軽いですが、甘く見ていると痛い目に遭うかもしれません。

付加価値が提供できる弁護士は強い

司法試験の合格枠が拡張され、その拡張幅がそのまま弁護士人口の急増に繋がっています。昔のように、弁護士資格さえ取得できれば安泰という時代ではありません。
弁護士資格が世の中で希少性や特権性を失いつつあり、コモディティ化してきています。特に弁護士は都市部に偏在しており、顧客の獲得競争が激化しているのです。

そこで、他の弁護士と違う優位性(USP)を示し、差別化した特徴をアピールすることで、人々に選んでもらえるポイントを増やし、競争力を高める戦略が有効とされています。そうしたUSP戦略のひとつが、ダブルライセンスです。

企業法務を扱う弁護士は、労働法の案件に携わることが多いです。よって、労働法の専門家である社会保険労務士の資格を取得していれば、企業法務案件や顧問契約の獲得競争で優位に立つことができるでしょう。さらに、企業活動と社会保険は切っても切り離せないので、その点でも社会保険労務士の資格がある弁護士は、独自の付加価値を提供することができます。

ただし、弁護士に比べて「社会保険労務士」の社会的知名度は、決して高くありません。よって、ダブルライセンス取得者であることをアピールするとともに、社会保険労務士が労働法や社会保険制度に特化したコンサルタントで国家資格である事実も示す必要があります。

社会労務士資格を取得していると転職にも有利に働くのか

社会労務士資格を取得していると転職にも有利に働くのか

社会保険労務士の資格を取得している弁護士は、他の一般的な弁護士よりも、転職活動を有利に進めるカードを持っているといえるでしょう。特に、企業法務や従業員からの労働相談を多く受けている法律事務所からは、歓迎してもらえる可能性が高いです。企業の法務部などに入る組織内弁護士(インハウスローヤー)への転身にも有利です。

ただし、資格をひとつ多く持っているというだけで慢心してはなりません。面接でのコミュニケーション能力や、クライアントを尊重する姿勢など、弁護士として必須の資質が欠けていれば、せっかくのダブルライセンスも宝の持ち腐れになってしまうかもしれません。

まとめ

弁護士としての市場競争力の向上を図り、スキルアップを期すため、社会保険労務士の資格の取得が注目されています。しかし、その取得は決して簡単ではありませんし、社会保険労務士資格を取得したとしても、それだけでクライアントが寄ってくるわけでもありません。常に自己研鑽をしつつ、広告やブログ、SNSなどでこまめに独自性をアピールする地道な対策こそが、やはり法曹界で大成するための近道なのです。


<参考>
全国社会保険労務士会連合会 試験センター

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