2024年03月18日

社会人から弁護士になるには?勉強時間や注意点、転職先など

管理部門・士業の転職

現在社会人として別の職種で勤務しているものの、「キャリアチェンジして弁護士になりたい」とお考えの方もいるのではないでしょうか。

弁護士の司法試験は“超難関試験”として有名で、決して気軽に目指せる職業ではありません。とはいえ働きながら司法試験にチャレンジし、合格して弁護士になった方も一定数存在しており、努力次第では社会人でも、何歳からでも弁護士になれる可能性が大いにあります。

そこで、今回は社会人から弁護士になるための方法目安となる勉強時間注意点について詳しくまとめました。さらには弁護士資格を活かせる転職先にも触れながら、「社会人経験のある弁護士は事務所とインハウスのどちらが就業しやすいのか」といった点についてもあわせて解説します。
働きながら弁護士を目指したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

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社会人から弁護士になることは可能!

まずは、実際に社会人から弁護士になることは可能かどうかを探るべく、司法試験受験状況に注目してみましょう。

法務省大臣官房人事課によって公表された令和3年度・4年度の司法試験受験状況によると、合格者の年齢構成は以下の結果となりました。

令和3年度 令和4年度
平均年齢 28.3歳 28.3歳
最高年齢 69歳 68歳
最低年齢 18歳 18歳

【参考】
令和4年司法試験の採点結果

上記の平均年齢や最高年齢を見ると、社会人から弁護士になった人は一定数存在することがうかがえます。
また、過去の司法試験予備試験(※1)における年齢構成を見ても、20代後半や30代、あるいはそれ以上の年代の合格者が一定数みられることから、社会人として働きながら司法試験にチャレンジし、弁護士になる夢を遂げるケースは少なくないといえます。

(※1)司法試験予備試験:「法科大学院修了者と同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定する(司法試験法5条)」試験のこと

ちなみに、社会人経験があり、年齢を重ねてしまっているから弁護士として就職・転職がしづらくなるかというと、年齢や経験にもよりますが、一般的にはそこまで大きなネックにはなりません。
弁護士に法律相談を持ちかける相談者も社会人であることが多く、相談内容も実際の社会で勃発したものであることから、社会人経験がある新人は「即戦力がある」などと魅力を感じてもらいやすいことが理由です。
そのため、司法試験に合格できれば就職・転職は比較的スムーズに行えるでしょう。

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社会人から弁護士になるには

社会人として働きながら弁護士を目指す場合、まずは以下のどちらかの方法で司法試験の受験資格を得る必要があります。

  • ・法科大学院に通う
  • ・予備試験を受ける

それぞれの特徴について、以下で詳しく見ていきましょう。

法科大学院に通う

法科大学院とは、弁護士や検察官、裁判官に必要な知識や能力を養うための専門職大学院です。
基本的には大学時代に法学部だった場合は2年間、それ以外の学部だった場合は3年間通い、全過程を修了すると司法試験の受験資格を得られます。

一般的に昼間に通うコースが多く、社会人においては仕事を退職してから法科大学院へ入学するケースも少なくありません。ただし、なかには夜間コースや土日コースを設けている学校もあるため、働きながら通いたい方はチェックしてみるとよいでしょう。

なお、法科大学院の受験にあたっては「4年制大学卒業」が要件となっており(一部飛び級などの例外あり)、2年間通う既習者コースに入学するためには法律論文試験に合格する必要があります。
そういった要件が定められていること、さらに高額な費用がかかることなどいくつかの懸念点はありますが、修了すれば確実に司法試験の受験資格を得られる点や、少人数制教育によって知識だけでなく実践的なスキルも身につけられる点が法科大学院に通う大きなメリットです。

予備試験を受ける

司法試験予備試験は、先述のように法科大学院を修了した人と同等の学識を有するかどうかを判定し、司法試験の受験資格を付与するか否かの判断基準となる国家試験です。最終合格率は例年3~4%ほどの非常に難易度の高い試験ですが、受験資格はなくどなたでも受けられるメリットがあり、社会人から弁護士を目指す方のスタンダードなルートとなっています。

仕事と勉強を両立しやすい方法である点も魅力的ですが、働きながら自主的に勉強して予備試験合格を目指すことはそう簡単ではありません。限られた時間の中でいかに効率的な学習を行えるかを模索し、空き時間にしっかりと勉強に励む強い意志が求められるでしょう。

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司法試験の合格率や勉強時間

続いては、司法試験の合格率や勉強時間に注目し、弁護士を目指すにあたっての心構えをしっかりと固めていきましょう。

司法試験の合格率

過去10年間における司法試験の合格率は以下の通りです。

年度 受験者数 司法試験合格者数(合格率)
令和5年度 3,928 1,781(45.3%)
令和4年度 3,082 1,403(45.5%)
令和3年度 3,424 1,421(41.5%)
令和2年度 3,703 1,450(39.2%)
令和元年度 4,466 1,502(33.6%)
平成30年度 5,238 1,525(29.1%)
平成29年度 5,967 1,543(25.9%)
平成28年度 6,899 1,583(22.9%)
平成27年度 8,016 1,850(23.1%)
平成26年度 8,015 1,810(22.6%)

上記の結果を見ると、近年は受験者数としては年々減少傾向にあるものの、対受験者合格率は上昇傾向にあることがわかります。また、司法試験の合格率は司法試験予備試験の合格率に比べると圧倒的に高いです。

つまり、司法試験予備試験に合格することは至難の業ですが、合格して受験資格を得られれば弁護士への道は大きく開けるといえるでしょう。

勉強時間の目安

司法試験予備試験合格までにかかる勉強時間は、一般的に3,000~10,000時間程度を要するといわれています。また、予備試験合格後に司法試験合格を果たすまでに必要とされる勉強時間は約1,000時間です。

なお、法科大学院に通わずに働きながら予備試験合格を目指す場合は早い方でも2年以上かかることがほとんどで、週に15時間以上の学習が目安となります。いかに効率的に勉強できるかが大きな鍵となるため、緻密な学習計画を立てて取り組む必要があるでしょう。

ちなみに、完全なる独学では司法試験予備試験合格は非常に困難とされており、法科大学院以外では専門学校や予備校などに通って学習するケースが一般的です。

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社会人から弁護士を目指す時の注意点

ここまでの解説の通り、社会人から弁護士を目指す道のりはハードではあるものの、努力次第では達成できる可能性は大いにあります。ただし、以下の2点に注意が必要です。

年収が下がる可能性がある

それまでの職種や会社規模によっては、弁護士への転職によって年収が下がることもあります。特に前職で培った知識や経験が弁護士の仕事内容に直結しない場合は、一からキャリアを築いていく必要があることから年収ダウンの可能性が高いでしょう。

大手企業法務事務所への就職はハードルが高い

社会人から弁護士になる場合、大手企業法務事務所への就職は新卒者よりも難しい傾向があります。大手の事務所においては若者育成のための教育体制が整備されており、社会人よりも新卒者を積極的に採用して長いスパンで育成しようとするところが多いです。

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弁護士資格を活かせる勤務先

ここでは、弁護士資格を活かせる主な勤務先をご紹介します。勤務先によって仕事内容や勤務スタイルなどが大きく異なるため、「どのような職場が自分に合っているのか」を早めに見極めたうえで弁護士の道を具体的にイメージしていきましょう。

法律事務所

弁護士の勤務先としては、法律事務所が最も一般的です。ただし、一口に法律事務所といっても「国内大手」「国内準大手」「外資系」「ブティック型」「一般民事系」といったさまざまなタイプがあり、以下の通りに特徴が異なります。

事務所の種類 特徴
国内大手法律事務所 企業法務の中でも高度で報酬単価の高い案件を多く取り扱っているため年収が高い
国内準大手法律事務所 企業法務が中心ではあるものの、事務所によってどのような案件に強みを持っているかが違う
外資系法律事務所 国内の案件だけでなく海外の案件も取り扱うため、高い語学力が求められる
ブティック型法律事務所 特定の分野に特化したリーガルサービスを提供しており、専門領域を磨くことが可能
一般民事系法律事務所 日常生活で起こるトラブルを取り扱う法律事務所で、チームではなく個人で仕事を行うことが多い

企業内弁護士(インハウスローヤー)

弁護士資格を取得したら、企業内弁護士(インハウスローヤー)として働く選択肢もあります。文字通り一般企業に就職・転職し、その企業専属の弁護士として企業内法務を行う仕事です。

具体的には、契約関連の業務や法律相談、コンプライアンス対策、法令調査、労務・労働問題への対応などが挙げられます。企業内弁護士の場合は在籍する会社の勤務体系や福利厚生が適用されるため、法律事務所に勤務する弁護士に比べてワークライフバランスを実現しやすい点が魅力です。

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事務所とインハウスはどちらが就業しやすい?

社会人経験のある弁護士にとって馴染みがあるのは、インハウスローヤー(組織内弁護士)でしょう。
インハウスローヤーは、一般企業の法務部に勤務する弁護士を指します。
社会人経験があれば、会社組織の中で溶け込む術も心得ていますし、慣れ親しんだ雰囲気もありますので、違和感がないことが多いでしょう。

インハウスローヤーは、いくら弁護士だからといって「先生」としていられません。
あくまでも一従業員として勤務しますので、弁護士としてのプライドが高いのは逆効果というしかありません。
時にはプライドを捨ててでも、会社の利益を最大限に図るために、法律的にどのようなアドバイスを送ればいいか、あるいはどのように他部署と連携し、チームを組んで会社に貢献すべきかを考えられる弁護士が重宝されます。

とはいえ、もともと会社組織になじめずに弁護士を目指した社会人もいることでしょう。
そのような社会人出身弁護士は、法律事務所のアソシエイトとして勤務するほうが実力を発揮しやすいかもしれません。

ひとつの企業のために尽くすより、多種多様な背景や業種のクライアントから相談を受けて、さまざまな事情を勘案しながら、独自の回答を出せることに喜びを感じられます。
法律事務所のほうが肌に合うと感じるなら、そちらのほうが転職先としてふさわしいでしょう。

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まとめ

社会人から弁護士になるには、まずは「法科大学院に通う」あるいは「予備試験に合格する」のいずれかの方法で司法試験の受験資格を得る必要があります。

もし働きながら法科大学院へ通いたい場合は、夜間コースや土日コースを設けているところを選ぶとよいでしょう。また、予備試験の合格を目指す場合は、予備試験の対策を行っている専門学校や予備校を活用しながら効率的に学習を進めることをおすすめします。

どちらの方法においても、数年にわたって膨大な勉強時間を確保する必要があることを認識し、覚悟を持って取り組むことが大切です。「絶対に弁護士になる!」といった強い意志を持ち、綿密な学習計画のもとで司法試験合格を目指しましょう。

管理部門・士業の転職

この記事を監修したキャリアアドバイザー

町田 梓

大学卒業後、新卒でMS-Japanへ入社。企業側を支援するリクルーティングアドバイザーとして約6年間IPO準備企業~大手企業まで計1000社以上をご支援。
女性リクルーティングアドバイザーとして最年少ユニットリーダーを経験の後、2019年には【転職する際相談したいRAランキング】で全社2位獲得。
現在は法科大学院修了生~法務経験者、管理職経験者、弁護士の方までリーガル領域を中心に幅広く担当しております。

会計事務所・監査法人・公認会計士・税理士・税理士科目合格・USCPAを専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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