【コラム】知的財産権は誰のモノ?発明者と企業法務の攻防を考える!

【コラム】知的財産権は誰のモノ?発明者と企業法務の攻防を考える!

2014/11/25

【コラム】知的財産権は誰のモノ?発明者と企業法務の攻防を考える!

特許権は企業法務のアキレス腱?

発明した特許は誰のものか、という問題は以前からあった。特許をめぐっては幾度となく裁判が行われてきた。企業法務にも多大な影響を与えてきた特許論争。現在の仕組みは発明をした社員から企業が買い取る制度になっている。そこで特許法を改正して、企業が特許を保有できるよう制度変更するという。来年の通常国会で法改正が実現される可能性もある。社員の発明を商品化する際、相当の対価を発明者に支払うことが特許法で定められている。企業にとってはこれが足かせになり、様々な支障が発生することがしばしばあった。産業界からの熱い要望もあり、条件付きではあるが発明は"企業のモノ"にすることで、経済活動がスムーズに行われることを期待している。しかし、技術者・研究者からの反発が懸念される。

知的財産権は個人のモノ?企業のモノ?

社員と企業の特許論争が裁判に発展したケースとして青色発光ダイオード訴訟が有名だ。日亜化学工業の社員だった中村修二氏(現:カリフォルニア大学教授)が、高輝度な青色発光ダイオードを使い製品化に成功した。詳しく述べるとツーフローMOCVD装置の発明により、青色発光ダイオードの量産化に成功したことだ。まさにココが世紀の大発明の所以とされる。ツーフローMOCVDは特許出願され1997年に登録された。いわゆる404特許と呼ばれるようになる。中村の功績によって日亜化学工業は、LEDの市場シェアを独走することになる。しかし、会社から開発者の中村への対価は、2万円の報奨金のみだった。もちろん中村は納得せず、紆余曲折の末、会社を去ることになる。中村氏の退職で技術流出を恐れた日亜化学と、中村との因縁のバトルがここから始まった。

億単位の支払いが企業法務に打撃?

話し合いは上手くいかず結局、中村は200億円の対価を求めて訴訟を起こす。一審の東京地裁は、404特許の相当対価額を604億円と評価し、中村の請求通り200億円の支払いを日亜化学工業に命じた。発明者の請求に対して巨額な対価額が裁判で認められたため、被告企業や産業界には激震が走った。控訴審では日亜化学工業と原告が歩み寄り、和解が成立した。中村は、和解額には全く納得していないとしながらも、8億円余りの和解金を受け入れることになる。技術者にしてみれば発明の証としての特許、その対価は適正に評価してほしいと願うところだろう。話題になった特許関連の訴訟として、味の素の人工甘味料「アスパルテーム」の特許訴訟、日立製作所の光ディスク特許訴訟などもあった。それぞれの企業が、発明者に1億9千万円、6千万円を支払うことで合意している。

大手製薬会社やメーカーなどの中には、職務発明に対する基準を設けている企業もあるが、その根拠ははっきりせず、曖昧な部分が少なくない。特許論争になると、開発者1人で発明できた訳ではなく、チームワークにより世紀の大発明ができた的な論調が必ず起こる。発明者が特許を主張すると、日本の集団主義には馴染まないと一部では指摘される。世間を騒がせた青色発光ダイオード訴訟の時も、同様な議論が展開された。発明した特定の個人を尊重するのか、それとも研究・開発部門のチームワークに重きを置くのか、はたまた営業効果に象徴される会社全体の功績を強調するかは、意見が分かれるところだ。ただ、今回の特許法の改正は、善きにつけあしきにつけ日本的なやり方に向かっているようにも見える。

青色発光ダイオード製品化の功労者である中村はアメリカの大学に移り、日本人技術者を引き抜く海外企業、大学は後を絶たない。特許法の改正案は、開発者に十分な報償金を支払う仕組みを設けた企業に限り、企業が特許を保有できるようにする方針だという。過去の特許裁判でも発明者を満足させる和解額は示されていない。改正案に盛り込まれそうな十分な報償金とは、どれくらいになるのか気になるところだ。日本人技術者の日本離れも心配されるものの、優秀な外国人研究者、技術者が、日本企業で働きたいと感じられる新しい制度になるのか、むしろその方が心配になる。

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