【コラム】訴訟戦略は裁判官のタイプに合わせて組み立てるべき

【コラム】訴訟戦略は裁判官のタイプに合わせて組み立てるべき

2015/02/02

【コラム】訴訟戦略は裁判官のタイプに合わせて組み立てるべき

裁判官には色々なタイプが存在する

民事事件において交渉や調停がうまくまとまらなかった場合、最終的には訴訟の場で決着をつけることがほとんどです。そして、訴訟において、判決を書くのは当然ながら裁判官です。また、訴訟で判決に至らなくても和解を主導するのは裁判官です。したがって、民事の訴訟の戦略や方針を立てる際、裁判官を味方につけることが最も重要であることは言うまでもありません。

ただ、弁護士の方ならご存じのとおり、裁判官と言っても主張と証拠だけで自動販売機のように機械的画一的に同じような判決が出てくる、というものではなく、裁判官それぞれに個性やタイプが全く異なっており、その訴訟指揮や和解の対応、判決内容も千差万別で、裁判官の個性が色濃く反映されることもしばしばです。

例を挙げると、法律論や要件事実論的な考え方を重視するタイプと事案の筋を重視するタイプ、執拗に和解の途を探るタイプとさっさと判決まで進めるタイプ、積極的に双方に釈明を求めるタイプと主張は当事者に任せて淡々と進めるタイプ、類似の事件や関連事件における判断や世間の風潮など外的な要素を重視するタイプと予断を排除して自らの考えを押し通すタイプ......。それこそ人間一人一人が全く異なることと同様、裁判官も人によって全く異なります。なかには法律知識が十分でなかったり、記録をあまり読まなかったりする裁判官もいないわけではありません。

裁判官に関する情報収集が重要

したがって、「裁判官がどのような考え方をする人物か」という点は、訴訟戦略を立てる上で最も重要な要素の一つになります。しかし、訴訟の当事者の側としては、裁判官を選ぶことはできません。なかには、行政訴訟を提起する際、行政側に不利な判決を書くという世評のある裁判官にあたるまで提訴と取り下げを繰り返す、という訴訟戦術をとる住民側弁護士もいると聞いたことはありますが......。

その事件において弁論をへる中で、どのようなタイプの人かを把握した上で訴訟戦術・方針を変えていくという方法をとらざるを得ません。それに加えて、担当裁判官がどのようなタイプの人か、どのような訴訟指揮をする傾向にあるかという情報を、周囲の弁護士や裁判官と同期の弁護士の口コミや裁判官評価サイト、インターネット掲示板等から予め仕入れておくべきと言えます。裁判官はあまりSNSをしないですが、なかにはツイッターやフェイスブックに登録している人も存在しており、それらから人となりをチェックしたこともあります。

突然の裁判官変更も― 「訴訟は生き物」

これだけ事前の情報収集や弁論期日を重ねる中で訴訟戦略の変更を経たとしても、いきなりある弁論期日で別の裁判官が出てきて「裁判官が交代しました」と言われることがあり、面食らってしまうことも少なからずあります。長めの合議事件では、関与した裁判官が10人近くということもありました。

事前にウェブサイトによって定年退官時期や転勤時期を探ることがある程度可能ではありますが、産休や病気等で急に予告なく代わるのも珍しいことではなく、この場合はもはや予測など不可能です。そして、裁判官交代によって一気に形勢逆転ということもあり(控訴審で一審判決が覆されることもたびたび起こっているのと同様です)、まさに「訴訟は生き物」と言われるゆえんです。やはり勝負事は最後までわからないので、どれだけ裁判官がこちらを勝たせるようなことを言っていたとしても、最後まで油断してはならないと言えます。逆に言うと途中で不利な心証を持たれたとしても最後まで諦めず全力を尽くさないといけない、ということが言えると思います。

【この記事を読んだ方におすすめのコンテンツ】
≪関連トピックス≫債務整理における、依頼者への「叱り方」
≪法務・弁護士・弁理士対象≫旬なリーガル求人情報はこちら
≪まずは気軽に話を聞いてみたい、そんな方へ≫無料転職相談会・無料転職セミナーはこちら

(文/弁護士  中村健三、記事提供/株式会社エスタイル)

会員登録がまだの方

転職者と求人側の現状や希望をコンサルタントが常に分析。
適職とのマッチングを第一に考え、
マンツーマンで質の高い求人情報をご提供します。

求人をお探しの方

法務・弁護士・弁理士等、法律領域トップクラスの転職サポート実績。企業法務や法律事務所、特許事務所の求人情報が豊富に掲載されています。

登録はお済みですか?

転職者と求人側の現状や希望をコンサルタントが常に分析。適職とのマッチングを第一に考え、マンツーマンで質の高い求人情報をご提供します。