【コラム】「同一労働同一賃金」制定に向けて必要とされる取り組みとは?

【コラム】「同一労働同一賃金」制定に向けて必要とされる取り組みとは?

2016/03/24

20160324column.jpg

2016年2月5日、安倍晋三内閣総理大臣が衆議院予算委員会にて「非正規労働者の『同一労働同一賃金の原則』を実現する法制化を検討する」という旨の発言をした。

この法制化は、以前より掲げている一億総活躍社会の実現に向けた方策の一環であり、非正規の労働者の待遇改善を図ることが目的であるという。

賃金に差を設ける場合のガイドラインも含めた具体的な方策の内容については、これから検討されるそうだ。しかし、安倍首相は同じ委員会の中で「わが国の雇用慣行に留意しつつ、待遇の改善に実効性のある方策にしたい」と述べており、早ければ来年の通常国会に提出する方針だという。

この法制化の実現に向けて、今後どのような取り組みが行われるのだろうか? 
ここでは上記のような発言がなされた背景と、その実現までに考えられる課題について説明したいと思う。

「同一労働同一賃金」制度化検討へと至った経緯

そもそもこの「同一労働同一賃金」の原則は、欧米では職種別賃金制度(企業を超えて職種が同一であれば同一の賃金が支払われる制度)として、すでに導入されている。

欧米にこの制度が存在している理由は、以前から職種を基本とした外部労働市場が存在していたことが大きいだろう。

日本でも2015年に「労働者の職務に応じた待遇の確保等のための施策に関する法律」、いわゆる「同一労働同一賃金推進法」と呼ばれる法律が制定されている。

しかし、この法律は「同じ価値の仕事には同一の賃金水準を適用すべき」という同一労働同一賃金の原則に基づいた、正社員と派遣社員との賃金や待遇の格差を是正するための法律で、「労働者が、その雇用形態にかかわらずその従事する職務に応じた待遇を受けることができるようにすること。」という基本理念が掲げられただけだった。
今回の発言がされた際の答弁で、安倍首相は先述の理念を念頭においている。そのため、この「同一労働同一賃金」制度化は、先述の「同一労働同一賃金推進法」から踏み込んだ形で検討されるものと考えられる。

「同一労働同一賃金」制度化実現の課題とは

同一労働同一賃金の法制化には、正社員と非正規労働者の賃金格差を是正する目的がある。法制化を実現するにあたっては「改正『パートタイム労働法』の規定を他の非正規にも拡大」「習熟度や技能等を評価する『熟練度』といった基準を新設」「企業に対して正規・非正規の賃金差の合理的理由についての説明責任を課す」といった取り決めを検討している。

しかし日本では、職務だけで賃金が決まるわけではなく、年功序列制度や企業の規模といった、賃金を決める要素の多い労働条件が一般的になっている。欧米ではすでに、同一労働同一賃金が導入されているが、日本の企業が導入することは、現状では難しいだろう。

また、欧米では同一労働同一賃金の原則と同様に、仕事の内容が異なっていても、労働の価値が同一であるなら同等の賃金が支払われるべきという、「同一価値労働同一賃金」と呼ばれる原則も導入されている。これは、職業間の格差や仕事内容における性別的役割分業の格差、たとえば女性が就くことの多い仕事は賃金が安く、男性が就くことの多い仕事は賃金が高いといったケースを正すことが目的とされている。

日本もこれと同じ、同一労働同一賃金を導入するためには、派遣法の改正も含めたさまざまな立法政策の作成も不可欠である。
同一労働同一賃金に向けた取り組みについてはまだ未確定な部分も多く、課題への対策も明らかになっていない。しかしこの制度が実現すれば、日本の労働環境は大きく変化することになるだろう。それに備える意味でも、今後の動きを注意深く見守っていきたい所である。

【この記事を読んだ方におすすめのコンテンツ】
≪リーガル領域の転職はプロにおまかせ!≫無料転職サポートサービスとは?
◆≪まずは気軽に話を聞いてみたい、そんな方へ≫無料転職相談会・無料転職セミナーはこちら

会員登録がまだの方

転職者と求人側の現状や希望をコンサルタントが常に分析。
適職とのマッチングを第一に考え、
マンツーマンで質の高い求人情報をご提供します。

求人をお探しの方

法務・弁護士・弁理士等、法律領域トップクラスの転職サポート実績。企業法務や法律事務所、特許事務所の求人情報が豊富に掲載されています。

登録はお済みですか?

転職者と求人側の現状や希望をコンサルタントが常に分析。適職とのマッチングを第一に考え、マンツーマンで質の高い求人情報をご提供します。