【所長弁理士に聞いてみた】成長中の特許事務所、その秘密は?~特許事務所業界二極化の真相に迫る~

【所長弁理士に聞いてみた】成長中の特許事務所、その秘密は?~特許事務所業界二極化の真相に迫る~

2016/05/20

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特許事務所にいらっしゃる方の転職理由、実はその大半が「経営の悪化」「今後の経営状況への不安」という現状があります。一方で、そのような中でも着実に成長中の事務所があり、その差は徐々に広がっているようです。成長中の事務所を経営する所長は、一体何を考え、特許事務所業界について、どのような展望を抱いているのでしょうか。
今回のリーガルトピックスでは、2011年に開業し安定的に成長中である、創光国際特許事務所の、所長弁理士である泉先生へのインタビューを通して、特許事務所業界の現状についてお伝えできればと思います。

久しぶりに知人と飲んだことがトリガーになった

―メーカーで開発に携わられていた泉先生が、開業に至るまでの経緯を教えてください。

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新卒でメーカーに入社し、オフィス用の電話やFAX等、通信機器の開発等に携わっていました。特許事務所にキャリアチェンジをするきっかけとなったのは、たまたま久しぶりに会った知人と飲んだ時でした。その知人は特許事務所を経営しており、「弁理士にならないか?」と誘われたのです。弁理士になる気はなかったので断ったのですが、当時携わっていた製品の事業化が難しそうな流れとなっていたこともあり、新しい道に進んでみるのも良いのではないかと思い直して、悩んだ末に転職に踏み切りました。開発をしている中でも知財の大切さは実感しており、今までの技術開発の経験を別の形で生かせるのではないかと思ったことも一つの理由です。
43歳で特許事務所に入所し、特許事務所で経験をしている中で、徐々に自分のイメージしていた弁理士像である、『開発者としての経験を生かし、技術者が発明を生み出すお手伝いをする』というビジョンを達成したいという思いが強くなり、独立をするに至ったのです。

特許事務所における悪循環

―開業して5年程かと思いますが、昨今では、経営が危ぶまれている特許事務所も多く見られますよね。

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 リーマンショックが一つのきっかけだったのではないかと思います。大企業が特許の出願数を減らす傾向になりました。そして、特許事務所の報酬も下がっていきました。報酬が下がることによって、特許事務所が特許明細書の作成にかけられる時間が減り、結果として質の低下に繋がるようなケースもあったのではないでしょうか。特許事務所が作成する特許明細書の質が低いと、企業としては、特許事務所に依頼するメリットを見出せなくなります。その結果、企業が、特許明細書を社内で作成することを検討したり、さらなるコストダウンを要求したりするという悪循環が、近年発生していたのではないかと想像しています。

質の高い仕事で差別化

―そのような中で、今後、特許事務所はどうしていくべきなのでしょうか?

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 多くの知財部の方は、事業の役に立つ権利の取得に繋がるような質の高い特許明細書はそれなりのスキルを持った人が時間をかけないと作れない、という事を理解してくださっています。そのため、付加価値がある特許明細書に対しては、相応の対価を支払うべきであると考えてくださっているように思います。
そこで、特許事務所がやっていくべきことがあるとすれば、まずは、リーズナブルな予算の枠内で質の高いものを作るスキルを身に着けることだと思います。そのスキルを差別化要素として、プロフェッショナルとして企業からの期待に応える。それにより相当の対価を払っていただくというサイクルになれば良いのではないでしょうか。
弊所では、私が開発の経験があるものですから、発明発掘のコンサルティング等、開発者の気持ちに寄り添い、踏み込んだサービスをすることで、お客様にご支持を頂いております。誰もが簡単にできる範囲のことしかできない場合、お客様からすると、依頼する仕事を選ばないといけないので、頼みづらいのではないかと思うのです。そこで、ここぞという時に力になれるポテンシャルを持った事務所でありたいですね。

アイデアをビジネスに繋げるお手伝いをしたい

―泉先生は今後、どのようなところを目指しているのでしょうか?

20160520-4.jpg技術者の生み出すアイデアが、特許の力も活用してビジネスにつながるようにするためのお手伝いがしたいと思っています。良いアイデアを考えて事業化しても、知的財産権を持っていないと簡単に模倣されてしまうおそれがあります。そのため、アイデアを持っている企業が成長するには、知的財産権が大切なのです。中小企業のお客様には、アイデアを実現していこうという熱い気持ちがあるお客様も多いのですが、特許が取れるかどうかが、事業が成功するかどうかに関わることも、少なくありません。ですから、事業の成功に役立つ特許を取得することを手伝っていきたいと考えています。
アイデアを活用して事業を成功させたいと考えている企業はたくさんありますので、たくさんの企業のお手伝いをしたいと思っています。ただ、一人でやるには限りがあります。そのため、今後そのようなことができる人を、少しでも多く育てていきたいと思っています。まずは所員にそれを身につけてもらい、将来的に特許事務所業界全体に広がることで、日本全体の産業に繋がればいいですね。

特許事務所を目指す皆様に一言

―開発から特許事務所にキャリアチェンジをされた泉先生から見て、特許事務所の魅力って何ですか?

20160520-5.jpgメーカーにいた当時は、正直なところ、弁理士の先生は明細書を綺麗に清書してくれる存在、というイメージがありました。しかし、特許事務所に入ってみると、特許の世界は奥が深く、プロの世界は違うということに気が付きました。
また、特許事務所の仕事は、実は思った以上にクリエイティブな面があります。抽象的な発明を文章にまとめるということは、作品を生み出すことに似ており、その作品ができたときには満足感があるものです。私のように、技術も語学も、両方に興味があるという方もいらっしゃるかと思いますが、そのような方にとっては、両方のスキルを生かせるので、特にお勧めの仕事ですね。
私は開発から特許事務所にキャリアチェンジをしましたので、開発者の気持ちが良く理解できます。これから特許事務所を目指される方も、できれば一度技術の現場を経験して頂くと、よりお客様に踏み込んだサービスができるようになれるかもしれませんね。

泉先生へのインタビュー まとめ

今回の所長弁理士インタビューは、いかがでしたでしょうか?
現在特許事務所にいらっしゃる方も、新卒から特許事務所にいらっしゃる方、企業の知財部にいらっしゃった方、開発をされていた方、全く違う業界にいらっしゃった方、様々なキャリアの方がいらっしゃるかと思いますが、今回は20年間開発に携わっていた泉先生ならではの視点でお話しを伺う事ができたかと思います。
筆者としては、このような形でインタビューをすることは初めてでしたが、先生の熱いお気持ちを伺うことができ、心を打たれました。特許事務所業界がより良く、若い方々にとっても魅力的な業界となるよう、私も尽くしていきたいと思いました。
今後も、様々な方の視点をお借りして特許事務所業界に踏み込んでいきたいとおもっております。次回も是非、お楽しみに。


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今回お話を伺ったのは、創光国際特許事務所の所長、泉通博先生。
学生時代は学級委員長タイプだったとのこと。笑顔の素敵な、優しい先生です。


【泉先生プロフィール】
愛媛県愛光高校出身、東京大学工学部電気工学科卒業。新卒でキヤノン株式会社に入社し、約20年にわたって研究開発から事業部門まで幅広い経験を積み、管理職まで昇格。43歳の時にキャリアチェンジし、特許事務所に入所。3年後に独立し、2011年創光国際特許事務所開業、現在に至る。
◆公的職務
公的試験研究機関向けマニュアル作成委員、2013年~2015年
アジア途上国等の知的財産権人材育成のための動画研修教材 シナリオ検討委員、2013年
日本弁理士会 ソフトウェア委員会、2012年~2013年
◆創光国際事務所HP⇒ http://soco-pat.com/


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(文/リクルーティングアドバイザー)

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