【コラム】人気が高まる社外取締役の現実とは?

【コラム】人気が高まる社外取締役の現実とは?

2016/11/22

20161122column.jpg

 社外取締役を置く企業は増えている。東証一部上場企業に限ると、約80%もの企業が社外取締役制を導入している。同制度は、会社と利害関係のある常勤取締役を監視し、企業ガバナンスを見直す過程において、外部の視点を取り入れながら企業価値の向上を目指すことを目的としている。ただ、社外取締役の機能不全を危惧する声もあり、ここに来てさまざまな課題が浮かび上がっている。

人材難がもたらす官僚依存

社外取締役はどうしても社長らの「お友達」が選任される傾向にある。株式会社プロネッドが行った「独立取締役アンケート」によると、「社長・会長・役員・会社員などの個人的な人間関係だ」という回答が、監査役設置会社は70%、委員会設置会社は35%だった。
世間に対しては開かれた会社をアピールできるが、経営者には到底ダメ出しなどの批判は期待できず、会社お手盛りの社外取締役になってしまう。経営者との距離感の近さがすべて悪いわけではない。
近ければそれだけ意思疎通はうまくいく。ただしそれも経営が上手くいっている時の話だ。経営難に陥ると却って社外取締役の意見は重荷となる。ガバナンスの強化を後押しするどころか、社長にとってみれば疎ましい存在へと変化して、本来の社外取締役としての機能が働かなくなる。ソニーの事例をみれば一目瞭然だ。

特定の企業の失敗を取り上げて社外取締役制を否定するのも早計な話ではあるが、人材難が同制度の運営を歪めていると指摘されることもしばしばである。最適な人材が見つからなければ元官僚を招聘(しょうへい)する動きが勢いを増す。先ほどの株式会社プロネッドのアンケートによると、回答者の主な経歴の6%が政府機関出身者だという。
ではどうして官僚OBをチョイスするのか。端的にいえば高い能力を持っているからだ。出身官庁からの情報提供、パイプ役としての機能は群を抜く。また、民間人の経営者が社外取締役に就任すれば、競業避止や利益相反の規制を受けてしまう。会社役員としての経験が生かせても、会社法のしがらみが付きまとうのだ。その点、元官僚なら就任要請しやすく、報酬に見合うだけの見返りが期待できる。

とはいえ、元官僚が民間企業の社外取締役に就任することには批判が絶えない。出身官庁との癒着、新たな天下り先など、無節操な採用が官民の不正の温床になるとの指摘だ。

社外取締役として弁護士に期待を寄せるも......

元官僚のほかに、弁護士も社外取締役として候補に挙がりやすい。弁護士が起用される要因には次の3つのキーワードが挙げられる。それは「監視」「安心」「予防」だ。

監視......法令に照らしながら取締役会の監視機能を強化できる。
予防......不祥事が拡大する前に回避できる。
安心......株主からの理解を得やすい。

弁護士の社外取締役は適任との声も多くあるようだが、当事者の弁護士や法律事務者からは慎重な意見も目立つ。弁護士が特定企業の社外取締役に就任すれば、他企業との取引に支障が出るためだ。利益相反の問題が発生する。従来の企業法務に徹するのか、もしくは、新しい分野に進出するのか、迷いが生じているようだ。

民間人経営者、元官僚、そして弁護士、誰が社外取締役に就任しても、現状はなかなか厳しい。会社法のさらなる改正、ならびに社外取締役の発言力を高めていく等といった改善策を講じることで、機能させていくことができるのではないだろうか。

【この記事を読んだ方におすすめのコンテンツ】
◆≪リーガル領域の転職はプロにおまかせ!≫無料転職サポートサービスとは?
◆≪まずは気軽に話を聞いてみたい、そんな方へ≫無料転職相談会・無料転職セミナーはこちら

会員登録がまだの方

転職者と求人側の現状や希望をコンサルタントが常に分析。
適職とのマッチングを第一に考え、
マンツーマンで質の高い求人情報をご提供します。

求人をお探しの方

法務・弁護士・弁理士等、法律領域トップクラスの転職サポート実績。企業法務や法律事務所、特許事務所の求人情報が豊富に掲載されています。

登録はお済みですか?

転職者と求人側の現状や希望をコンサルタントが常に分析。適職とのマッチングを第一に考え、マンツーマンで質の高い求人情報をご提供します。