広告は「勧誘」に該当、企業法務の新たな見解に混乱必至か?【コラム】

広告は「勧誘」に該当、企業法務の新たな見解に混乱必至か?【コラム】

2017/05/23

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企業活動において宣伝・広告はとても重要な意味をもつ。企業の生命線といっても過言ではないが、その広告の解釈を揺るがしかねない最高裁判決が出された。この判決は物議を醸し、企業法務にも多大な影響を与えるとの懸念が弁護士などから出されている。

【裁判概要】
企業チラシ、いわゆる広告が「勧誘」に該当するかを争った"クロレラチラシ配布差止等請求事件"の判決が最高裁で下された。この裁判は、適格消費者団体が景品表示法に基づいて健康食品の新聞・折り込みチラシの差止めを求めたものだ。

裁判では、不当な勧誘を誘ったチラシが優良誤認表示にあたるかなどが争われた。1審判決は、原告の請求を認め、優良誤認表示にあたるのが相当との判断が示された。2審では、チラシの配布が停止していたこともあり、優良誤認表示の判断は避け、原告の差止め請求は1審同様に認めた。

ところが、上告審の最高裁判決で、新聞の折り込みチラシは「勧誘」に該当するとの新しい見解が示された。原告の訴えは、2審で示されたチラシの配布停止がなされているため、上告は棄却された。

消費者契約法の大幅変更か?

この判決で示された、広告は「勧誘」との判断に各方面から驚きの声が上がっている。というのも、従来、「勧誘」というのは、不特定多数に向けられた広告は含まれないとの見方が支配的であったためだ。監督官庁である消費者庁も同様の見解を示していた。それだけに今回の最高裁が提示した「勧誘」との新しい解釈には戸惑いが広がっている。

特定の者に向けられたメッセージなら「勧誘」との認識は理解できる。しかし、新聞などと一緒に配布される広告や、街で配られている呼び込みチラシは、不特定多数の人に向けられた媒体との解釈であった。その解釈が一変する可能性があるだけに物議を醸しているわけだ。

広告の「勧誘」は、消費者契約法4条により規制の対象となっている。事業者が「勧誘」にともない不実の告知をした場合、同法によって契約の取消しをすることができる。不実の告知とは、嘘の話とまではいわなくても、事前説明と違う誤った表示をすることである。

不当勧誘の拡大解釈?

事業を展開している場合、そのようなシチュエーションに遭遇する可能性はあるものだ。例えば、美術展で当初の告知とは異なり、急遽、別の絵画が展示されることはよくあるが、告知のパンフレットと違うため、これらは不当勧誘に該当するということになるのだろうか?

このようにさまざまな事態を想定すると、あらゆる場面で広告やチラシと異なる記載が発生するたびに、消費者契約法違反になりかねない。ただ、以前から一部識者の間では、「勧誘」の適用範囲を拡大するようにとの要望は出されていた。そのような観点からすると、今回の最高裁判決はタイムリーなものだったといえる。

消費者契約法の規制対象の議論は、国の調査委員会で審議されているところだという。不特定多数に向けられた広告を「勧誘」に含めるかはとても難しい問題ではあるが、経済界や産業界からは反対の声が上がっている。広告は紙媒体だけなく、eコマースの普及により、仮想空間でも急速に拡大をみせる時代である。

企業と消費者(B to C)の関係は広告と深く関係する。今回の件に関する判決は、企業法務にとても大きな課題を残したことは間違いないようだ。

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