もしも従業員が裁判員候補者に選ばれたら? その時の会社の対応は?【コラム】

もしも従業員が裁判員候補者に選ばれたら? その時の会社の対応は?【コラム】

2017/08/03

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裁判員制度がスタートしてから8年が経過した。導入時には制度の賛否を含め議論が絶えなかったが、いつのまにか司法の現場にすっかり馴染んでいる。しかし、いくつかの課題も残る。裁判員と仕事の両立もその一つである。その対策が遅れる企業にとっては、裁判員制度は悩ましい問題になっているようだ。

辞退率の上昇

裁判員候補者の辞退率がここ最近、高まりをみせている。制度開始当初は53.1%だった裁判員候補者の辞退率が、直近の今年2月現在では、66.4%まで上昇した。ただ、制度が始まった年でも、過半数の候補者が裁判への参加を見送っているので、辞退率の高まりは今に始まったことではないともいえる。

また、裁判員に選ばれた候補者の出席率の低下も著しい。スタート時には83.9%だったのが、今年になって56.6%まで低下している。こうした辞退率の高さならびに出席率の悪さの原因は、仕事への影響が大きいためとみられている。

担当となる事件にもよるが、審理が長期化すればたびたび仕事を休まなければならない。会社員にとっても大変なことだが、自営業やフリーランスで働く者にとっては死活問題にもなる。

さらに興味深い分析もある。雇用形態の変化が裁判員候補者の辞退率を押し上げているという。年々、非正規労働者は増え続けている。その非正規労働者の辞退率が、正規労働者よりも高く推移しているのだ。

最高裁判所が民間に委託した調査では、裁判員裁判への参加希望者が、正社員では31.8%だったのに対し、派遣社員では24.5%、パート・アルバイトでは18.6%まで低下している。正規労働者よりも、非正規労働者の参加希望率が低くなるといった特質すべき現象が見てとれる。

分析をした最高裁判所では、非正規労働者の増加が裁判員候補者の辞退率の上昇につながっているのではないかとみている。労働者が仕事を休んで裁判員に加わる動機づけを模索する必要があるのではないだろうか。

企業の対応は?

もし社員が裁判員に選任された時の対応は、会社によりまちまちの状況だ。労働基準法第7条により、裁判に参加する社員への休暇は法律によって認められているが、有給とするか、または無給とするかは、企業ごとの判断にゆだねられている。

実はこれが混乱に拍車をかけている。裁判員になると1日1万円以内の日当が支払われるが、企業で無給扱いになれば、裁判の日当があっても収入が減ってしまうという人が多いだろう。

さらに休暇をとってまで裁判員になることへの理解が企業には浸透していない。会社の繁忙期に裁判員をした社員に、上司や同僚が嫌味をいったケースもあるという。厚労省の調べでは、裁判員のための有給休暇を設けている企業は30%あまりであった。

法律で裁判員のための休暇を義務付けていても、企業の理解、制度が進んでいなければ元も子もない。裁判員裁判は多様な市民の声を広く取り入れることを目的に導入された。しかし、非正規雇用者ほど参加率が低いという事態が生じていては、その趣旨が成り立たなくなってしまう。

従業員の裁判員裁判への参加時の対応や注意点を企業は想定しておかなければならない。従業員が裁判員候補者に選ばれた時の「もしも」の対応を企業は、もっと真剣に考える時期に来ているのではないだろうか。

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