リプロダクティブ・ライツを巡る法改正の新動向(後編)【コラム】

リプロダクティブ・ライツを巡る法改正の新動向(後編)【コラム】

2017/09/05

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今回は、前編で取りあげたリプロダクティブ・ライツを巡る動向を受けてなされた法的対応について、女性の再婚期間制限の改正を中心に概説し、今後のあり方について考えます。
(※前編はこちら)

女性の再婚期間制限に関する違憲判決

夫婦別姓制と女性の再婚禁止期間については最高裁大法廷で弁論が開かれ、後者について2015年12月26日に違憲判決が出されたことは記憶に新しいところです。
この判決では、民法第733条の立法目的は「女性の再婚後に生まれた子につき父性の推定の重複を回避し、もって父子関係を巡る紛争の解決を未然に防ぐことにある」と判示しました。そして、民法第772条2項は、「婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する」と規定して、婚姻中に懐胎したものと推定される子は、妻が婚姻中に懐胎した子、すなわちその妻の夫の子と推定されるものとしています。そうすると、女性の再婚後に生まれる子については、再婚禁止期間を100日間設けることによって父性の推定の重複が避けられることになります。以上の理由から、100日については合理性を有するが、それを超過する100日超過分については合理性を欠くものであり、憲法第14条1項及び第24条2項に違反すると判示しました。

改正の内容及び施行後の取扱いの変化

上記最高裁の違憲判決を受けて、民法第733条は、以下のように改正されています。
(再婚禁止期間)
第733条
1. 女は、前婚の解消又は取消しの日から起算して百日を経過した後でなければ、再婚をすることができない。 
2.  前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
 一   女が前婚の解消又は取消しの時に懐胎していなかった場合
 二   女が前婚の解消又は取消しの後に出産した場合

同条第1項は、上記最高裁の違憲判決を受けて、女性の再婚禁止期間を100日としたものです。また、同条第2項は、同条第1項が規定する場合以外であっても、父性の推定の重複が生じ得ない場合には、同条第1項を適用しないことを定める適用除外規定となっています。

さらに、民法第733条の改正に伴い、同法第746条も以下のように改正されています。

(再婚禁止期間内にした婚姻の取消し)
第746条
第733条の規定に違反した婚姻は、前婚の解消若しくは取消しの日から起算して百日を経過し、又は女が再婚後に出産したときは、その取消しを請求することができない。

前婚の解消若しくは取消しの日から起算して百日を経過したときは、既に再婚禁止期間を経過した以上は婚姻を取り消す実益がありません。また、女性が再婚後に懐胎したときは、同法第733条2項1号に該当し、そもそも同法第733条の適用除外となることから、当然に同法第746条の適用除外ともなります。そのため、こうしたケースでは、再婚禁止期間内にした婚姻の取消しを請求することができないものとされました。
なお、この改正法は、違憲状態を速やかに解消するために、公布のあった日から施行されています。また、本改正に伴って、再婚禁止期間既定の適用除外事由に該当するか否かを戸籍窓口において適切に判断することができるように、診断を行った医師が記載した証明書が様式化されました。

国民の意識の変化と女性差別撤廃の基礎にある思想の現代的変容を踏まえた議論を

かつてのウーマンリブ運動に代表される近代的個人としての不平等の是正という視点は、「男性並み」の取扱いを実現することを目的とするものでした。
ところが、この実現ないしその過程において、「男性並み」の取扱いを受けたとしても、誰をどのように愛し、親密な関係を取り結ぶかという当該個人の人格を基礎づけるに際し決定的な要因となる婚姻の形態や妊娠の自由など、自らが女性であることに起因する個人のあり方やライフスタイルの選択の自由というきわめて個人的・個性的な、近代的個人としての不平等の是正とはアンビバレントな関係にある視点に私たちは直面することになりました。
非嫡出子の法定相続分を嫡出子の2分の1とする民法第900条4号ただし書前半部分は最高裁によって2013年9月4日に憲法第14条に反し違憲であると判断され、これを受けて削除されました。また、上記女性の再婚禁止期間に関する違憲判決が下されたのとほぼ同時期である2015年12月16日に、夫婦別姓について、夫婦同氏制を定める民法第750条は合憲であるとの判示がなされています。そのほか、CEDAWからも勧告された女性の婚姻適齢を男性と同じ18歳に引き上げることも検討されています。
このようなリプロダクティブ・ライツを巡る民法が抱える男性と女性の区別的取扱いについて、国民の意識の変化とともに、上記した女性差別撤廃の基礎にある思想の現代的変容として直面することになった女性の個人のあり方やライフスタイルの選択の自由を考慮したうえで、その改正を考える必要があるといえるでしょう。

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