法科大学院を出て、一般企業への就職を目指すのは有利か?

法科大学院を出て、一般企業への就職を目指すのは有利か?

2018/08/23

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法科大学院は本来、弁護士・裁判官・検察官を志望する者の登竜門として設置されています。そのため、院生は修了後、司法試験にチャレンジする人が多いです。しかし、2~3年の法科大学院生活の中で、「司法試験より一般企業の就職に挑戦したい」と考える人もいます。では、法科大学院を修了したことは、一般企業への就職活動で有利に働くのでしょうか。

法科大学院生のポテンシャル

法科大学院を修了すると、「法務博士」の学位が与えられます。博士といっても、従来型の大学院法学研究科の博士課程とは区別されている点に留意すべきです。
それでも、大学の法学部出身なら2年、法学部以外なら3年にわたって、法律実務家を育成するためのカリキュラムをみっちりとこなしてきた法務博士の秘めているポテンシャルはかなりのものです。

法律の条文や裁判所の判例を知っているだけでなく、実際の事件に当てはめて使いこなす能力も求められますので、未知の問題にも対応できる論理的思考力も身についています。
そして、複雑で先行きの見えない現代社会においては、このような論理的思考力や推論力こそが、状況を打開する鍵となりうるのです。もちろん、一般企業においても、営業やマーケティングなどの戦略的なプランが求められる部署では、法科大学院生が徹底的に訓練している論理的思考力が活かせます。予測が的中すればそれに超したことはありませんが、例え予測が外れてしまっても仕方ありません。それよりも、まずはその戦略に対する予測の根拠を、筋道を立てて説明し、社内の決裁者を納得させられる能力が重要になります。

法科大学院生(法務博士)が、一般企業に就職するには?

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一般企業の採用担当者は、このような法科大学院生のポテンシャルをよく心得ています。法曹を養成するプロセスで、法律解釈や法廷でのプレゼンテーション力などを徹底的に身につけてきたのですから、才覚の高さはわかっています。

法務博士の問題は、今まで「法律家を目指す」という共通の目標を持っている集団の中で、長い間研究生活を行ってきた点です。そこから脱して、多種多様な性格や背景を持つ従業員のいる一般企業に溶けこみ、適応できるかどうかが問われています。
さらに、理屈や正論を押し通して、一般企業の目的である利潤追求をないがしろにしてしまうのではないかと採用担当者は、そういった点を特に心配しているのです。

つまり、一般企業への就職を希望する法科大学院生・法務博士は、「組織に適応できる柔軟性がある」ことや、「企業が利益をあげられることを前提に物事を考えられる」人材であることをアピールしなければ、不採用になる可能性が高くなります。

法科大学院生・法務博士の転職先としては、大企業の法務部が人気です。ただ、すでに企業内弁護士(インハウスローヤー)が所属していることが多く、そこに入り込むには、弁護士にはない強みを伝えなければならず、一筋縄ではいきません。
それでも、法科大学院から大企業の法務部への転職に成功した実例は少なくありません。組織内で出世を重ねれば、CLO(最高法務責任者)の役員への道も開けます。

一般企業の採用面接では、何を伝えるべきか

例えば、採用面接で「憲法が得意で、判例をよく勉強しました」とか、「模擬裁判には自信があります」などとアピールしても、一般企業での活動には直接結びつかないので、的外れになってしまいます。

憲法が得意、あるいは模擬裁判に自信があることは結構なのですが、それを踏まえて採用担当者が求める答えを導き出すことが求められています。

以下に、具体的な例を述べてみます。

・「憲法が得意で、判例をよく勉強した」とアピールしたい場合
「憲法の統治論が得意ですので、企業のコーポレートガバナンスとも共通するところがあり、その知識を活かすことができます」

・「模擬裁判には自信がある」とアピールしたい場合
「模擬裁判には自信があります。会議でのプレゼンテーションでも、その力を発揮したいです」

上記の様に一般企業で知識を活かすことができるといったアピールに展開していけば、面接担当者の心を打つことができるでしょう。

また、法科大学院生・法務博士は、新卒の学生に比べて年齢が高いので、若々しさや素直さ、柔軟性などがイメージ的に不利になりやすい場合があります。
面接官と揉めたり議論したりするなど、頑固な一面を見せるのはもってのほかです。むしろ、柔軟性を意識してアピールするようにしましょう。
法科大学院生は、議論が好きで理屈っぽく、素直ではなさそうというイメージを持つ人もいます。面接での受け答えでそのイメージを覆すことに成功すれば、強い好感を与えられる可能性があります。

まとめ

法科大学院から一般企業への就職を目指すことは、決してイレギュラーな道ではありません。法曹に漠然と憧れていたけれども、本格的に勉強をしてみて「やっぱり違う」と感じることも十分にありうるからです。
法科大学院で勉強してきた内容は、誰にでも身につけられるものではありません。ぜひ、その知識とスキルを一般企業の活動に還元し、仕事を通じて社会貢献する道を歩んでいただければと思います。

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