司法試験の勉強と就職活動は、両立できるのか
司法試験の勉強と就職活動は、両立できるのか
司法試験の勉強は大変です。法科大学院を修了した後、浪人をしながら受験準備の勉強に邁進する人もいます。その一方で、司法試験の勉強をしながら就職活動をする受験者もいます。その背景には何があり、そして両立は可能なのでしょうか。
司法試験の勉強と就職活動を両立できる人は、多いのか
社会人として働きながら、司法試験の勉強をしている人は、昔から少なくありませんでした。また、司法試験の勉強をしたが、夢半ばで諦め、就職活動を始めた方も多くいました。
その一方で、司法試験への挑戦は諦めていないものの、浪人を辞めて就職活動を始める人もいます。その人数は決して多くありませんが、決して無視することはできない存在です。
両立を検討する人は、どういう人が多いのか
法科大学院に通った人の中には、もともと会社に勤めていたけれども、法科大学院に合格したことをきっかけに、学業に専念するために仕事を辞めた人が少なからずいます。
仕事を辞めて司法試験を受験しながらも、あらかじめ「合格できなかったときのこと」を考えて、仕事を探す人がいます。その事情が「司法試験と就職活動の両立」を図ろうとする受験者の背景にあります。
毎日、司法試験のためだけの生活を続けていると、その結果の不確実性から将来に対して不安を覚えるようになります。ほとんど他人と会話を交わさずに、試験準備のみに集中する日々を繰り返すのは精神衛生上もよくありません。
また、司法試験予備校の答案練習や模擬試験などを受けていると、その費用負担もかさんできます。そのような生活を何年も繰り返していると、よほど裕福な暮らしをしていない限り、経済的にも大変なことになります。
また、奨学金を受けて法科大学院に通っていた場合、もし返済免除の恩恵を受けられなければ、毎月の返済金の負担も生じます。浪人をしながら返済金を捻出するのは至難の業ですので、収入のあてとして新たな仕事先を得るため、就職活動を始めるのです。
両立するために工夫できることは
司法試験の勉強と就職活動を両立させるのは、至難の業です。
まず、就職する動機が決して前向きなものではないので、面接官に対するアピール力不足が心配されます。就職するからには、その会社の収益を向上させるために働かなければならないからです。
それが「司法試験に受からなかったときの保険」や「とりあえずの収入確保のため」「浪人をしていると家庭内で肩身が狭い」といった自己本位の理由で就職活動をしていることが、言動から滲み出てしまえば、決して先方に良い印象は与えません。
そうなると、就職活動は苦戦するでしょうし、結果が出ない就職活動に時間と労力を奪われて、肝心の試験準備がおろそかになるおそれもあります。
もし、就職に成功しても、仕事のために時間を取られて、試験準備の時間を確保できなかったり、仕事に疲れて勉強する意欲が湧かなくなったりしたら本末転倒です。
勉強と仕事を両立させるには、まずは受験勉強のことは置いておき、就職希望先に対して仕事への情熱と自分の強みを伝えることが重要です。法科大学院修了生が得る「法務博士」という肩書きは、一般企業へのアピールとして決して強くありません。肩書きに頼らず、自分自身がどのようなことで会社に貢献できるかをしっかり伝え、「仕事が二の次」のようなイメージを与えないようにしましょう。
また、フルタイムの仕事にこだわらず、パートタイムの可能性を含めて検討したほうが、勉強との両立もしやすくなります。
司法試験の勉強をしながら、就職活動をすると有利な場合
予備試験の合格者は、司法試験に合格する前から、法律事務所から面接に呼ばれたり、説明会に招待してもらえたりします。
法曹界、特に弁護士業界では、旧司法試験に匹敵する熾烈な競争が巻き起こっている予備試験に合格している時点で、将来性のある有能な人材だとみなされます。また、予備試験合格者は法務博士よりも司法試験合格率がずっと高いのです。そのため、遅くとも3年以内には司法試験に合格するものと見込んで、法律事務所の間で「青田買い」のようなことも起きています。
予備試験合格者であれば、法律事務所のスタッフとして働いて、ある程度の収入を得ながら司法試験の勉強に取り組むことができるでしょう。法律事務所側も理解があるので、司法試験準備のために一時的に休職するなど、融通も利かせてくれるはずです。
両立して成功を掴もう!
「司法試験は資本試験」という言葉もあるとおり、試験勉強のための費用を出せなくなったら、司法試験からは撤退しなければなりませんので、費用捻出のために就職活動を始めるのもひとつの選択肢です。
仕事と司法試験を両立させる道は、決して平坦ではなく、厳しい目にも遭うでしょう。しかし、不可能でもありません。仕事をしながら司法試験に合格できれば、弁護士になってからも確固たる自信になるでしょうし、辛い目に遭っている相談者や依頼人の気持ちにも、優しく寄り添える、きっと頼りがいのある弁護士になれます。
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