企業法務におけるコンプライアンス関連業務
企業法務におけるコンプライアンス関連業務のスペシャリストは、世界的に需要のある分野となっています。
背景としてはSNSが発達し、世界中に自社の行いや対応が一気に広まり、悪影響を及ぼす可能性があるためです。
社員の誰かが引き起こした法的な問題が社内に波及すれば、その火消しに追われることになり、長引けば業種全体の不信感にさえつながりかねません。
そのため、法務に直接関係しない社員に対して、事前に順守すべき法律全般を広くアナウンス・レクチャーするコンプライアンス関連業務は、非常に注目されている分野の一つなのです。
コンプライアンスの重要性が高まる環境は、法務のニーズさえ変えてしまった
インターネットが普及するまでは、世界的に一般人の発言が取り上げられるツールは少ない傾向にありました。
マスコミが取り上げた際にはすでに問題が大きくなっていることも多く、新聞・雑誌上で大々的なニュースになることも珍しくありませんでした。
それゆえ、食品事件を起こしたブランド、IT企業の粉飾決算、自動車メーカーのリコール隠しなどにより、各種方面で信用が失墜した企業のダメージは相当なものだったと推察されます。
SNSが広まり、一般人の意見もすぐに全国規模で広まるようになったことから、現代では「炎上」というキーワードに気を配る必要性が生じてきました。
このことから、何らかの理由により顧客が企業に対し不満を感じた段階で、拡大解釈から不正の疑いをかける一般人も少なくありません。
法律の面だけでなく、顧客の感情にも配慮しなければならなくなっており、コンプライアンスという言葉が含む意味の範囲が徐々に拡大しています。
言い換えれば、法務に求められている業務にも、変化が求められているのです。
多くの企業で求められている「コンプライアンス法務」像とは
コンプライアンス法務を一言で表現すれば「不正をしない・できない企業体制を構築する」業務と言えます。
もともとは契約業務・法的なトラブルに対処する部署と考えられてきた法務ですが、その流れは「トラブルを未然に防ぐ」方向へと向かっています。
個々の取引案件について、営業職などとやり取りを交わしたり、人事職と社内評定制度や退職者の訴訟問題について対応したりするなど、時として社員と距離の近い組織に考えられてきた法務は、その先の顧客を見る必要性に迫られているのです。
一部の企業製品を購入しない不買運動や二次クレームなど、企業の対応が不適切だという理由から不満が生じ、そこから風穴が開いて不正が露見するケースも少なからず存在します。
そのため、顧客の厳しい目をクリアするために求められているのは、企業全体・社員一人ひとりが法令に則った体制に整えることなのです。
それぞれの職種において、社員が守るべき法律全般について法務研修を実施している企業は多く、それもコンプライアンス法務が行う業務の一つです。
他には、各部署において日常行っている業務に関する法律相談を受けたり、業務マニュアルの作成・推敲に携わったりするなど、法律の知識に乏しい人材への教育が、コンプライアンス法務において大きな要素を占めています。
コンプライアンス関連業務を担当した場合、人事評価・年収にはどのように影響するか
コンプライアンス関連業務での対応経験は、言うまでもなく法務職においては大きなアドバンテージになります。
重要性が認められてきた時代が比較的新しいこともあり、実績のある経験者が少ない分野の一つだからです。
そのため、転職時のアピール内容としては申し分ないものと言えるでしょう。
しかし、新しい勤め先で評価してもらえるかどうかは、その会社の評価体制に左右される傾向にあります。
具体的には「プロセス評価」が適用される企業であるかどうかが重要になります。
能力主義の会社においてしばしば問題になるのが、法務をはじめとした管理部門人材をどのように評価するのかという問題です。
管理部門は、売上や顧客対応などで評価されやすい営業職・販売職とは違い、目に見える評価をアピールしにくい特徴があります。
そのため、転職を考える際は、求人条件の年収だけを確認するのではなく、評価基準についても可能な限り確認しておきましょう。
プロセス評価とは、従業員の仕事ぶりが、会社で標準化されたプロセスに対してどれだけ沿っているかを、定量的に把握したうえで評価基準に反映する評価方法です。
簡単に言えば、社員としてふさわしい振る舞い・行動をとっているかを評価基準に含めたものです。
コンプライアンス関連業務で言えば、新たな発案だけでなく、複雑な業務を滞りなくこなせるかどうかなど、幅広い目線で評価してもらえればもらえるほど収入アップの機会が増えることになります。
自分が評価されやすい評定方法を使っている会社を選ぶことが、収入アップを狙うには重要です。
まとめ
コンプライアンス関連業務は、法務職の中でも非常に対応する幅が広い業務と言えます。
法律という「見える部分」から、顧客の評判という「見えない部分」への配慮を考えるところまで発想を展開させる必要があるため、思考・振る舞いともに柔軟性が要求されます。
それだけに、法務職におけるニーズも高く、コンプライアンス関連業務担当者を明確に募集している求人も数多く見られます。
法務職は、通常業務を行っているだけでは、なかなか目に見える評価を得にくいところがあります。
プロセス評価のような、自分自身の全容を評価してもらえる体制が整っている環境であれば、納得のいく評価を受けやすいと言えるでしょう。
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