2024年02月28日

弁護士が留学に行く意義は?留学前の準備から留学後についても解説!

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さまざまな業界でグローバル化が進んでいる昨今、弁護士にとっても留学という選択肢は一般的なものになりつつあります。
かつては大手弁護士事務所に所属する一部の弁護士向けのキャリアでしたが、留学後の選択肢も増えていることから、今後のキャリアについて考える上でも、弁護士の留学は重要なポイントとなってくるでしょう。

本記事では弁護士のキャリアアップについて留学が本当に必要であるかどうかを解説するとともに、その後のキャリアの選択肢についてもご紹介していきます。

弁護士が留学する意義とは

弁護士の留学先として選ばれることが多いのはアメリカのロースクールです。この理由は、アメリカのロースクールを卒業することで、州の司法試験の受験資格が認められ、その試験に合格すれば「○○州弁護士」と名乗ることができるようになるためです。

日本で弁護士として働くにあたり、アメリカの弁護士資格は必須ではありませんが、企業法務を担う際に「○○州弁護士」と名乗ることが信頼を得るための一助となる場合があります。
例えば、海外企業との取引や海外に拠点を設けようとする際が挙げられます。海外の弁護士とのやり取りが必要な場合、アメリカの弁護士資格を有していると、信頼関係の構築に役立つ場面があります。
また、アメリカの法律用語に触れることができるため、海外の取引先に向けた契約書のチェックなどに留学時に得た知識を活かせます。

さらに、世界各国の人々との人脈を築く機会も留学の大きな魅力の一つです。アメリカのロースクールを留学先として選ぶのは日本人だけでなく、他の国も同様であり、世界各国から法曹が集まってきます。
それらの有能な人々と時間をともにし、一緒に成長していけるのは一生ものの財産に他なりません。
留学中には現地の法律事務所などで実務経験を積む機会にも恵まれるので、ロースクール外でも人脈形成の機会を得られます。
日本以上にダイナミックな法務を目の当たりにできるのも、貴重な経験になるでしょう。


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どれぐらいの年次の弁護士が留学に行く?

大手事務所を中心に留学費用を補助している事務所もありますが、入所後すぐに留学費用補助が適用される場合もあれば、一定の期間勤続した人のみを対象にしている場合など、事務所ごとに規定が異なるため、必ずしも何年目の弁護士が留学するといった決まりはありません

傾向としては、弁護士としての基礎が固まり、更にキャリアの幅を広げる選択として留学する弁護士が多いため、3~5年程度勤務したアソシエイト弁護士が留学するケースが多いですが、中には日々の業務に忙殺され、英語学習に時間が使えず、5年目以降に留学するといった弁護士もいます。

また、近年は円安による留学先での生活費・学費の高騰や留学後に海外の法律事務所に勤務するハードルが高くなっている影響などから、あえて留学をしないという選択をする弁護士も一定数います。
そういった方は、留学の代わりに企業や官庁へ出向し、弁護士・ビジネスパーソンとして研鑽を積むケースも多いです。


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弁護士の留学(LL.M.)の流れ

アメリカのロースクールには3年かけて基礎からじっくり法律を学ぶJ.D.コースと、海外で既に法律を勉強した人向けのLL.M.コースがあります。日本の弁護士がアメリカのロースクールに留学する場合、ほぼ全員が約9カ月かけて学ぶLL.M.コースに進みます。

LL.M.コースは法律のある分野に特化したコースとなっており、入学には弁護士資格または法学を専攻した大卒であることが要件となっています。卒業後はニューヨーク州・カリフォルニア州・ジョージア州・ワシントン州・ウィスコンシン州の5つの州の司法試験受験資格が与えられます。
LL.M.コースは基本的に9月の秋学期からスタートして12月に冬休みに入り、1~4月にかけて春学期が始まり、5月に卒業する流れとなります。

なお、アメリカのロースクールへ留学する場合に必要な準備は以下の通りです。

留学中の目標の設定

弁護士としての留学を有意義なものにするためには、まずは留学中の明確な目標を定めることがポイントです。単に「キャリアアップにつなげたい」などの漠然とした目的ではなく、「このジャンルの知識を深めて自分の強みにしたい」といった具体的なゴールを設定しましょう。

もし帰国後に転職することを検討している場合は、志望先の業務内容や経営方針等をあらかじめ確認したうえで目標を設定し、目標達成を目指すために適した留学先や受講科目を選ぶことをおすすめします。
また、留学前から転職エージェントを利用して帰国後の転職について相談し、「留学中に学んだことを活かして転職したい」と伝えておくことで、留学後の転職活動をよりスムーズに進められるでしょう。

所属事務所/企業との相談

留学を決意したら、なるべく早めに上司へ相談することが大切です。特に少数精鋭で行っているような規模の小さな事務所に所属している弁護士の場合、あるいは企業内弁護士の場合は、長期間の欠員による業務への影響が大きいと考えられるためです。

早めに留学の希望を伝えておけば、事務所や企業はその期間の欠員に向けて準備や心づもりができます。逆に出発の1か月前といった直前では事務所や企業に大きな負担がかかり、快く送り出してもらえない可能性もあるため注意が必要です。

なお、所属先によっては留学費用を一部負担してくれる場合もあることから、留学の相談時に福利厚生の内容もあわせて確認しておくとよいでしょう。

留学プランの検討

留学プランについても早めに検討しておきましょう。基本的には個人で留学先やプランを選定し、すべての費用を自分自身で負担するケースが一般的です。
費用は留学するロースクールや受講プログラムによっても異なり、たとえばLL.M.コースにかかる学費は6万ドル~7万ドルといわれています。ドル円の為替レートは日々変動しますが、仮に1ドル140円で計算すると840万円~980万円程度です。

もちろん、学費以外に現地での生活費も必要となります。アメリカの場合は地域によって物価が大きく異なるため、ロースクールの所在地によって家賃や食費といった生活コストは変わってくると認識しておきましょう。

基本的に、物価の高いニューヨークやロサンゼルスなどの都市圏においては生活費が高くなりやすく、郊外であればコストを抑えられます。もしロースクールが運営する学生寮への入所が可能であれば、さらに少ない費用負担で生活できるでしょう。

このようにロースクールの所在地によって生活コストは大きく左右されますが、目安としては学費と生活費を合わせて10万ドルほど(1ドル140円で計算すると1,400万円程度)の準備が必要であるといわれています。留学時期の為替レートにも注目しながら、ゆとりを持って資金の用意を進めていきましょう。

ちなみに、一定の要件を満たせば支援を受けて留学する選択肢もあります。特にメジャーとなっているのは日本弁護士連合会が運営している「日弁連海外ロースクール推薦留学制度」で、例年、所定の大学のロースクールへ客員研究員またはLL.M.コースの学生として会員を推薦・派遣しています。

ここでは、一例として2024年度の募集概要をまとめました。

【日弁連海外ロースクール推薦留学制度の募集要項(2024年度)】

派遣人数 【ニューヨーク大学】
客員研究員原則1名

【カリフォルニア大学バークレー校】
客員研究員原則1名

【イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校】
客員研究員1~2名、LL.M.コース1~2名

【エセックス大学】
人権センター客員研究員1名、ロースクールLL.M.コース1名

【シンガポール国立大学】
LL.M.コース原則1名
応募条件 日本弁護士連合会の会員であること(年齢不問)
留学期間 原則として8月または10月開始の秋学期から1年間
活動支援費 100万円(イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校LL.M.コースを除く)(※1)
窓口 日本弁護士連合会企画部国際課
電話:03-3580-9741
メール:international@nichibenren.or.jp

(※1)イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校LL.M.コースへの推薦留学生には、同大学からの奨学金(約35,000米ドル)が支給されます。

ロースクールへの留学には非常に高額な費用がかかるため、上記のような支援制度を利用できるかどうかをしっかりとリサーチしながら留学プランを立てることをおすすめします。

必要書類の準備

海外のロースクールへ留学するためには、志望校に出願して合格することが大前提です。とはいえ試験を受けるわけではなく、所定の書類を提出することで合否が決まります。

出願に必要な書類はロースクールによっても異なりますが、基本的には以下の通りです。

・履歴書
・志望理由を記したエッセイ
・TOEFLのスコア
・日本の大学や法科大学院などの成績証明書
・大学の教授や職場の上司の推薦状

これらの書類は英語で書く必要があり、さらには留学中の講義はもちろん英語で行われることから、留学前に高いレベルの英語力を身に付けておかなければなりません。
一般的には、TOEFLのスコアが90~100あれば大半のロースクールが求める英語力の基準を満たせるといわれていますが、帰国子女や留学経験のある方でもスムーズに100点を取ることは難しいとされています。

そのため、留学を意識し始めた頃から弁護士業務の傍らで英語力強化に励み、TOEFL受験にも積極的にチャレンジするとよいでしょう。

なお、履歴書やエッセイはなるべく早めに作成し、英語が得意な第三者に確認してもらうことをおすすめします。また、成績証明書や推薦状については現在の職場の上司や大学時代の教授、司法研修所の教官などに依頼をして書いてもらうケースが一般的ですが、提出時期の直前に連絡をして迷惑をかけることのないように、時期にゆとりを持って依頼することが大切です。


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留学後の弁護士のキャリアは?

弁護士がアメリカのロースクールへの留学によってLL.M.またはJ.D.プログラムを修了した後は、要件を満たしていれば米国司法試験の「BAR」を受験し、資格を取得する方が多くみられます。
また、英語圏の法律事務所にて“研修生”あるいは“海外弁護士”として10か月~1年程度研修するケースも人気です。

ただし、近年では英語圏において研修先を見つけることが難しくなってきていることから、タイやミャンマー、ベトナムといったアジア圏の事務所で研修する弁護士も少なくありません。
なかにはフランスやドイツ、ドバイ、ブラジルなどのローファームを紹介してもらえるケースもあり、全体的に見て英語圏ではない第三国のオフィスでの研修事例が増えてきている印象です。


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帰国後の弁護士のキャリアは?

帰国後の弁護士のキャリアは?LL.M.コースは海外留学生向けのプログラムなので、卒業後は日本へ帰国する弁護士がほとんどであり、帰国後は留学で得られた知識や経験をもとに、弁護士としてのキャリアを再開するのが一般的です。

英語による法務を担うことのできる弁護士としても評価されるため、国際法務をはじめとする英語案件を担当する機会にも恵まれやすくなります。
グローバル展開している大企業では自社でLL.M.コースへの留学支援を行っているケースもあり、そういった企業にとってLL.M.コースを卒業した弁護士はとても魅力的に映るため、それらの企業に中途入社して法務を担うのも選択肢のひとつです。

留学後のキャリアを考える上で大切なのは、年齢に応じたキャリアプランであるかどうかを熟慮することです。
LL.M.コース取得後のキャリアの長短によって、その活かし方も変わってくるため、20~30代前半の弁護士と30代後半~40代の弁護士では選択すべきキャリアが異なってきます。
今後のキャリアについて熟慮したいとお考えであれば、この機会に転職エージェントに相談してみるのもおススメです。

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まとめ

留学してアメリカのロースクールが設けているLL.M.コースを卒業し、州の弁護士試験に合格すれば「○○州弁護士」と名乗ることができるため、弁護士として活躍できるフィールドが広がります。
また、国際法務を担うスキルも身についているため、グローバル展開している企業での活躍も十分に見込めます。
しかし、選択肢が豊富だからこそ、今後のキャリアを決めるのが難しいのも実際のところです。
今後のキャリアについて専門家に相談したいとお考えの際には、「MS Agent」へとご相談してみるのがおススメです。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

佐藤 颯馬

大学卒業後、新卒でMS-Japanに入社。
法律事務所・会計事務所・監査法人・FAS系コンサルティングファーム等の士業領域において事務所側担当として採用支援に従事。その後、事務所側担当兼キャリアアドバイザーとして一気通貫で担当。

会計事務所・監査法人 ・ 法律・特許事務所 ・ コンサルティング ・ 金融 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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