追い出し部屋は合法なのか!?
追い出し部屋 大企業で増加中?
さんざんこき使われる若手社員から中高年社員は楽をして高給取りなどと言うやっかみがよく聞こえる。決してそんなことはないが、会社から無能扱いされる中高年社員がいるのは事実である。「お前は役立たず」と口に出されなくても窓際に追いやられる中高年社員は昔からいた。それが今ではダメ社員のレッテルを張られると"追い出し部屋"へと配置転換される。
追い出し部屋とは、企業業績が悪化していった90年代以降、大企業に出現した退職強要を行う部署である。部署といっても人けはまばら。まともなオフィスとは思えない部屋で同僚社員と会話することもなく1日を過ごす。気がつけば心が折れてしまい自主退職というシナリオを会社は描く。とはいえ現実には企業のシナリオ通りにことは運ばない。証券会社に勤める男性社員(42)は追い出し部屋に転籍させられ、嫌がらせを受けたとして大和証券などを相手に損害賠償を起こした。
会社の責任を認める!
原告の男性は勤めていた大和証券からグループ企業の日の出証券に転籍した。男性社員によると、「閑散とした100平方メートルの空間に、ロの字型に長机が配置され、そこにパイプ椅子が並んでいた。机の上にあるのはパソコン1台と電話が数台。人けのない殺風景な部屋を見渡し、男性は直観した。ここは『追い出し部屋』に違いない(産経新聞より)」と感じたという。まさに絵に描いたような追い出し部屋である。
仕事をしなくても給与がもらえるのだからいいじゃないかとの意見もありそうだが、心理的に追い込み退職を促すのだからまさにイジメのような行為だ。無理難題な営業ノルマを課す、ひたすらルーチンワークをさせるなど、追い出し部屋は多様な顔をもつ。日の出証券の男性社員は、日に日にエスカレートする嫌がらせに業を煮やして民事裁判に打って出る。4月に開かれた大阪地裁では原告の主張を認め、大和証券と日の出証券に対し150万円の賠償を命じた。
解雇要件の緩和が実現すれば......
原告は大和証券から転籍していたため同社に籍はないが、判決では大和証券の共同不法行為責任を認めている。原告の弁護人もこの指摘を高く評価している。大和、日の出両証券が控訴したため、今後の上告審にいっそう注目が集まる。原告男性の会社での処遇をみると、少なくとも会社からの評価はかなり低いように感じられる。日本企業では社員を一旦採用すれば法令違反などが発生しない限り解雇は難しい。このため識者の間からは解雇要件の緩和を求める声があるのも事実だ。
外資系企業では単年契約が一般的で、社員の評価が低ければ契約の更新はなされない。また、景気が後退すると大量にリストラをする。雇用の流動性を求める動きがあるが明日は我が身。誰もが自分は大丈夫と思う。解雇要件が緩和されれば追い出し部屋は必要ない。堂々と契約に基づき解雇できる。今回の民事訴訟は日本型雇用問題と絡んで目が離せない。
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