弁護士の守秘義務はどこまで?破ったらどうなるのか?

弁護士の守秘義務はどこまで?破ったらどうなるのか?

2018/06/22

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弁護士に守秘義務が課されているからこそ、人々は安心して、他人には言えない秘密を弁護士に打ち明けることができます。その職責が信頼を維持するための根幹となる法的義務です。
では、弁護士はどのような秘密を漏らしてはいけないのでしょうか。守秘義務を破ると、どのようなペナルティが科されるのでしょうか。

弁護士の守秘義務とは?

弁護士法23条では「弁護士又は弁護士であった者は、その職務上知り得た秘密を保持する権利を有し、義務を負う」と定められています。現役弁護士はもちろん、元弁護士であっても、一生涯にわたって、仕事上で知った秘密を他人に漏らしてはならない法的義務を負い続けます。家族にも話せず、文字通り墓場まで持っていかなければなりません。

日本弁護士連合会が定める業界内規としての「弁護士職務基本規程」でも、同じく23条で「弁護士は、正当な理由なく、依頼者について職務上知り得た秘密を他に漏らし、又は利用してはならない」と定めているのです。
弁護士法の規定に比べると、「正当な理由なく」と限定している一方で、「(秘密を)利用してはならない」と規制範囲を拡張している点が特徴的です。
なお、弁護士法も23条但し書きで「法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。」と、守秘義務が法律上、例外的に課されない場面がありうることを認めています。

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守秘義務が課される範囲とは?

まず「職務上知り得た秘密」という言葉の意味(定義)が問題となります。「職務上知り得た」とは、弁護士がその資格において職務を進めている過程で知ることをいいます。必ずしも、受任している案件や紛争案件の中で知った場合に限られず、弁護士の信頼に基づいて打ち明けられた他人の秘密まで広く含まれると考えられています。ただし、弁護士が職務を離れてプライベートの場で知った秘密は含まれません。

また「秘密」とは、一般人の立場からみて秘匿しておきたいと考える性質をもつ事項(客観的意味の秘密)と、一般に知られていない事実であって、本人が特に秘匿しておきたいと考える性質をもつ事項(主観的意味の秘密)を両方含むと解するのが一般的です。

特に弁護士法23条但し書きでは、法律上の守秘義務適用例外の存在を認めています。具体的には、以下の通りです。

民事訴訟法上の証言拒絶権の例外
「職務上知り得た事実で黙秘すべきものについて尋問を受ける場合」(民事訴訟法197条1項2号)
刑事訴訟法上の証言拒絶権の例外
「本人が承諾した場合、証言の拒絶が被告人のためのみにする権利の濫用と認められる場合(被告人が本人である場合を除く。)その他裁判所の規則で定める事由がある場合」(刑事訴訟法149条但書)

弁護士職務基本規程23条では「依頼者について」とありますが、これは具体的に委任契約を結んでいる依頼人に限らず、受任にまで至らなかった法律相談者(無料相談)や、すでに事件処理が終了した元依頼人まで広く含みます。
さらに、顧問弁護士の顧問先企業や、組織内弁護士(インハウスローヤー)を雇用する組織(会社)も、ここでいう「依頼者」に含まれます。

さらに、同条の適用が除外されて、守秘義務違反に問われない場面である「正当な理由」が何かも問題となります。一般的には、以下の場合は他人の秘密を開示してもやむを得ないと考えられています。

・秘密を明かした本人の承諾がある場合
・殺人など、将来の重大な犯行計画が明かされた場合
・弁護士が紛争の当事者となり、裁判などでの主張・立証に必要な場合

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守秘義務を破ったらどうなる?

20180622column-2.jpg弁護士法23条に違反する行為について、直接の罰則は規定されていません。
ただし、守秘義務を破ることで民事上のペナルティ・刑法上の罰則・弁護士会からの懲戒処分を受けるおそれがあります。

<民事上のペナルティ>
弁護士は依頼人との間で、「委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う」(民法644条)ことから、ここからの派生で民事上の秘密保持義務が発生すると考えられています。よって、弁護士が守秘義務を破ったことで、依頼人の法律上保護されるべき利益が侵害された場合には、損害賠償を支払う義務を負います。また、依頼人のほうから契約を解除することもできます。

また、依頼人との間で、事前に特別な秘密保持契約書を取り交わしていた場合、その契約条項に基づいて、弁護士はペナルティを負います。

<刑法上の罰則>
刑法134条では、「秘密漏示罪」が規定されています。
弁護士が「正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたとき」には、最高で懲役6カ月の刑に処される可能性があります。

<弁護士会からの懲戒>
弁護士が守秘義務に違反する行為は、弁護士に「所属弁護士会の秩序又は信用を害し、その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があつたとき」(弁護士法56条1項)に該当する可能性が高く、所属弁護士会から懲戒処分を受けることがあります。

懲戒には「戒告処分」「2年以内の業務停止」「退会命令」「除名処分」の4種類があります。退会命令を受ければ、弁護士を名乗っての活動ができなくなります。除名処分も同様ですが、さらに3年間は再び弁護士資格を取得することも許されません。
さらに、懲戒を受けると、日弁連の機関誌『自由と正義』に掲載され、公表される点にも注意です。

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まとめ

弁護士には、依頼人だけでなく、無料法律相談の相談者や顧問先企業の秘密まで、広範に守らなければなりません。他者のプライバシーや企業秘密に踏み込む職業だからこそ、他者の秘密を漏らさないことが重要なのです。
守秘義務を破ることは、自分自身だけでなく、法曹界全体の社会的信頼を損なうものと心得ましょう。

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<参考>
弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)のHP-弁護士の守秘義務,弁護士職務基本規程等
弁護士法人みずほ中央法律事務所 司法書士法人みずほ中央事務所-【弁護士・司法書士の秘密保持義務(秘密の範囲と例外)】

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