弁護士は年齢で就職先が左右されるのか?
弁護士は年齢で就職先が左右されるのか?
2018/12/07
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日本社会では一般に、年齢を重ねるにつれて、就職先・転職先となる選択肢が狭まっていく傾向があると言われています。では、司法試験に合格して弁護士になっても、年齢によって就職の有利や不利が決まってしまうのでしょうか。高齢者が弁護士になることで、よりキャリアの道が開けていくのかどうか検討します。
弁護士の就職において、年齢は重視されない
司法試験に合格し、弁護士になることができれば、資格がないと選択できない就職先を選ぶこともできます。代表的なものは法律事務所にアソシエイト弁護士として参画し、事務所に対して依頼が来た案件を手分けして処理する業務です。
多くの場合は事務所から給与として収入を受け取ることになりますので、安定的に収入を得られるメリットがあります。そこからパートナー(共同経営弁護士)に登用されると、役員待遇となり、さらに収入がアップする道が開かれます。
また、組織内弁護士(インハウスローヤー)という選択肢もあります。企業の法務部や総務部など、法律が深く関わるセクションで、法律実務家としてコンプライアンスや契約の締結、交渉活動などをサポートすることで、企業の収益向上に寄与する活動を行うこともできるのです。
法律事務所に勤務すれば、さまざまな企業や個人から依頼を受けるために、多種多様な案件に関わることもできますが、それは当事者としての関わりではなく、あくまでも「代理人」「弁護人」といったクライアントから一歩離れた立場です。また、依頼をくれるクライアントを獲得するための営業活動にも配慮しなければなりません。
一方で、インハウスローヤーであれば、外部から依頼を受けるわけではなく、その組織の利益のために法律的な知識や技能を使うことを常に考えなければなりません。ただ、代理人などの一歩離れた立場ではなく、組織の内部でプロジェクトの当事者として案件に関わることができるのは大きな魅力です。
以上のことから、弁護士になれば、年齢や性別だけで就職差別されることはありません。インハウスローヤーに関しても、男女雇用機会均等法の適用から、少なくとも性別での差別はありません。また、弁護士資格の取得者を高く評価する組織であれば、年齢だけで採否が決まることもないでしょう。
弁護士の就職で年齢よりも重視されるポイントは?
弁護士において、若いか年配かよりも重視されるポイントは、弁護士になる前に積み上げてきたキャリア・職歴に関してです。
つまり、大学卒業後に即、法科大学院に進み、司法試験にストレート合格したような若手弁護士は、確かにフレッシュで優秀なのかもしれません。しかし、裏を返すと「弁護士資格しかない」状態なのです。
弁護士のような一種のコンサルタントに属する職種は、あまりに若いと相談者にとって頼りなく見えて逆効果となるおそれがあります。
司法試験合格枠が広がり、弁護士人口が増加し続けるにつれて、弁護士資格の社会的価値は目減りしていきます。
つまり、弁護士であること自体には希少価値が失われつつあるのです。そこで注目されているのが、弁護士になる前の学歴や職歴です。もともと、法科大学院制度は法学部以外の他学部出身者や、社会人から法曹に転身する志望者を増やして、法曹界に人材の背景の多様性を確保するために導入された経緯があります。
しかし、法科大学院制度や新司法試験制度の狙いとは反して、法学部以外の出身者や社会人からの転身者はそれほど増えていません。それだけに、そうした「王道ではないキャリアを積んでいる弁護士」であれば、法律知識とキャリアの掛け合わせによって、他の弁護士との差別化を図ることができるのです。
よって、法学部から法科大学院へ進んでストレートに司法試験の合格を目指すよりも、2~3年ほど、法律とは別ジャンルの社会人経験を積んでいたほうが、同じ若手弁護士でも背景に奥行きがあるように見えて、採用担当者の印象に残りやすいと考えられます。
就職先で面接官が見ているものとは
弁護士が就職活動をするとき、あまりにも法律知識や技能、経験などをアピールしすぎるのも逆効果です。アピールすればするほど、かえって自信が無いように見えてしまうからです。特にインハウスローヤーであれば、豊富で正確な法律知識を持っているのは弁護士であれば当然だと期待しています。
それよりも、組織の中で輪を乱しすぎずに適応できる能力や、肩書きを振りかざして他の従業員を下に見たり、注釈なしに専門用語を多用したりせず、対等に接する最低限のコミュニケーション能力が問われています。
まとめ
弁護士の資格を取得すれば、取得していない場合に比べて、年齢や性別などで就職差別される危険性は格段に下がります。ただし、そのぶん職歴やコミュニケーション能力、組織適応性など、司法試験では問われない要素が求められます。
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